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Fed、QE縮小開始を決定し低金利維持も強調

by • December 18, 2013 • Latest NewsComments (0)737

It’s Taper Time : Dow And S&P500 Closed At New High.

FOMC、大方の予想に反しテーパリングを開始いたしました。読者の皆さまには、またしても筆者が見通しを外した点に付きお詫び申し上げます。

成長および労働市場の改善に自信が高まるなか、経済成長・FF金利見通しではGDPと失業率の見通しを強含みに修正してきました。米下院が2年間の予算案を可決し米上院も倣う見通しで財政不安の後退が払拭された事情もあり、「下方リスク」も削除。準備が整ったと判断し、FOMCは遂にテーパリングに着手したようです。

バーナンキFRB議長に、「花を持たせた」粋な計らいともいえるかもしれません。

同議長は2006年にFRB議長に就任してから、苦労の連続でした。CNBCの名物司会者マリア・バリチェロモによるオフレコ暴露事件が発生したのが、今から思えば受難の序章。グリーンスパン前FRB議長に批判の矛先を向けられ議会にも槍玉に挙げられ、全米でも嫌われ続けるなど、金融危機後は心労もあったと推察されおやつれになりましたよね。グリーンスパンFRB前議長が退任前、ジャクソン・ホールでの年次シンポジウムで拍手喝采を浴びて去っていったのと対照的に、同議長が欠席を決断したのも、彼の人となりを思わせます。そんなバーナンキFRB議長の片隅には、せめて自分の任期中に開始したQEの幕引きに着手したいという願いがあったのかもしれません。同議長が自らそうお膳立てしなくとも、チームワークを重んじる同議長の傍らにいたイエレン次期FRB議長が率先してコンセンサス作りに励んだのかと想像してしまいます。

何はともあれ、住宅ローン担保証券(MBS)を含んだテーパリングは100億ドルとエコノミスト予想のレンジ下限近くにとどめました。

バーナンキFRB議長は記者会見でインフレが「懸念する以上」に弱いと警戒を表明したこともあり、低金利は続くとの安心感をマーケットに与えダウ平均とS&P500を終値ベースで過去最高値へ押し上げました。立つ鳥後を濁さず。バーナンキ議長は2014年1月末のFOMCに出席予定ですが、もしかしたら欠席してイエレン議長に引導を渡す可能性も濃厚に成ってきたのではないでしょうか。以下はFOMC声明文の主な変更点とポイント、経済・FF金利見通し改訂版、エコノミストのレビューです。

▽FOMC声明文の主な変更点とポイント

【景況認識】
前回:「緩やかなペースでの拡大を続けている」

今回:「緩やかなペースで拡大し続けている」
※米7-9期国内総生産(GDP)改定値が3.6%増となり、1-3月期の1.1%増、4-6月期も2.5%増から加速した点に配慮。

前回:「一部の労働指標の動向はここ数ヵ月でさらなる改善を示した」

今回:「労働市場はさらなる改善を示し失業率は低下したが、高止まりしたままだ」
※11月失業率は7.0%と2008年11月以来の水準まで改善し、同月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)も3ヵ月平均が19.3万人増と20万人近い水準へ戻し、文言を上方修正。

前回:「財政政策が経済成長を抑制している」

今回:「財政政策が経済成長を抑制しているが、下押しは消えつつある」。
※12月第2週に米下院が2年間の予算案を可決し米上院も可決見通しで政府機関の閉鎖リスクが後退したため、連邦政府の政策に対する不透明感が後退。

【統治目標の遵守について】
前回:「委員会は経済および労働市場見通しへの下方リスクにつき、概して昨年の秋以降に減退したと認識する(金融引き締め、つまり金利上昇に伴う労働市場および景気の鈍化懸念を削除)。委員会はまた、インフレが中期的に目標値の2%を下回って推移すれば経済活動にリスクを及ぼすと認識する一方、中期的には同水準を回復すると予想している。」

今回:「委員会は経済および労働市場の見通しのリスクにつき(下方リスクを削除)、より均衡に近い水準になったと判断する。委員会はまた、インフレが中期的に目標値の2%を下回って推移すれば経済活動にリスクを及ぼすと認識する一方、中期的には同水準を回復するインフレ動向の兆候を注視していく。」
※指標の改善に対応し、経済動向と労働市場の見通しに対する下方リスクを削除。

【量的緩和策について】
前回:「過去1年間にわたる連邦政府の財政削減を考慮に入れると、委員会は資産買入を開始してから、潜在的な経済全般の強さに従って経済活動と労働市場の改善を確認している。しかしながら、委員会は買取ペースを調整する前に持続的な進展となる証拠が出てくるまで、待つことを決定した。それに応じ、委員会は住宅ローン担保証券(MBS)を毎月400億ドル、米長期債も毎月450億ドルのペースで買取を行っていく。」

今回:「(過去1年間にわたるを削除)米連邦政府の財政削減を考慮に入れると、現在の資産買入を開始してから、潜在的な経済全般の強さに従って経済活動と労働市場の改善を確認している。最大限の雇用へ向けたこれまでの進展と労働市場の見通し改善に合わせ、委員会は緩やかに資産買取のペースを縮小させる。1月から、委員会は住宅ローン担保証券(MBS)を毎月350億ドル(従来400億ドル)、米長期債も毎月400億ドル(従来450億ドル)のペースで買取を続けていく
※1月からのテーパリング宣言。米国債を450億ドルから400億ドル、MBSを400億ドルから350億ドルと、850億ドルから750億ドルへ縮小。

前回:「こうした行動は長期金利に下方圧力を与え、住宅ローン市場を支援し、より広範な金融環境をより緩和的にさせ、結果的により強い経済回復をもたらし、インフレがいずれ二大責務と整合的な水準を回復することを助長する。」

今回:「委員会が保有する非常に大きく、かつ増加し続ける長期債保有高を通じ長期金利は下方圧力を与えられ、住宅ローン市場を支援し、より広範な金融環境をより緩和的にさせ、結果的により強い経済回復をもたらし、インフレがいずれ二大責務と整合的な水準を回復することを助長する。」
※MBSも買い入れ縮小に組み込んだものの、買い入れ継続により金利が低下するとの見通しを強調。

前回:「買取ペースをいつ緩めるか判断するにあたって、委員会は会合ごとに労働市場が改善するとの見通し、およびインフレが長期的な目標水準へ回復する見通しを支援するか、経済指標の進展具合を評価していく。資産買入は既定路線ではなく、委員会による買入ペースの決定は委員会の経済見通しおよび買入のコストと有効性に照らし合わせなされ続けるだろう。」

今回:「入手した情報が、労働市場とインフレが長期的な目標水準へ回復する見通しを支援すれば、委員会は将来の会合でゆっくりとしたペースで資産買入を縮小していく。しかしながら、資産買入は既定路線ではなく、委員会による買入ペースの決定は委員会の労働市場とインフレ見通し、および買入のコストと有効性に照らし合わせなされ続けるだろう。」
※資産買取の縮小はあくまでゆっくりとしたペースで行い、経済指標に左右されると説明。

【政策金利について】
前回:「とりわけ、委員会はフェデラル・ファンド(FF)金利誘導目標を0.0-0.25%で据え置くことを決定し」

今回:「現状の低金利目標レンジであるフェデラル・ファンド(FF)金利誘導目標0.0-0.25%で据え置くことを決定し、少なくとも失業率が6.5%以上でとどまり、かつ1年から2年先のインフレ見通しが目標値の2%を0.5%上回らず、かつインフレ期待が抑制され続ける限り、例外的に低い水準にとどめることを保証すると予想する」。
※据え置きだけでなく、数値目標に変更がない点を表明。

前回:なし

今回:「委員会は今回こうした要因に基づき、失業率が数値目標の6.5%以下へ低下してもインフレが長期的な目標である2%を下回り続ける限り、FF金利目標レンジの現状維持を適切と判断する」
※米11月失業率が7%と数値目標に並ぶ水準まで低下しバーナンキFRB議長の発言に沿ってテーパリング実施も、低金利政策については6.5%割れでも継続する可能性をあらためて強調。

【票決結果】

今回:資産買入の縮小に動いたため、これまで緩和策継続に反対していたカンザスシティ連銀のジョージ総裁からボストン連銀のローゼングレン総裁に交代。同総裁は、買い入れ縮小に反対票を投じた。

▽FOMCメンバーの経済見通し月改訂版、低金利見通し継続へ修正

12月17-18日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、FOMCメンバー経済見通しの改訂版が公表された。FF金利見通しでは2014年の利上げを予想するメンバーは前回の3人から2人へ減少した。2015年は12人で変わらず、2016年は2人から3人へ増加している。経済見通しは声明文に合わせGDPと労働見通しの上方修正が目立った。特に長期的な見通しのレンジ上限が強含みに修正された点は、特筆に価する。インフレ率は下方修正した。経済見通しのリンクはこちら。

FF金利の引き上げ予想
2014年末までの引き上げ→2人(前回3人)
2015年末までの引き上げ→12人(前回12人)
2016年末までの引き上げ→3人(前回2人)
※ FOMCメンバーはデューク理事、ラスキン理事が退任したため投票権のない地区連銀メンバーを含め17名

FF金利の水準予想
▽12月時点(前回に続き、全般的に利上げ予想が後退しFF金利予想の上限も引き下げ)
2013年)0.25%→17人
2014年)1.25%→1人、1.0%→1人、0.25%→15人
2015年)3.25%→1人、2.75%→1人、2.0%→1人、1.5%→1人、1.25%→1人、1.0%→2人、0.75%→4人、0.50%→3人、0.25%→3人
2016年)4.25%→1人、4.0%→1人、3.25%→1人、3.0%→1人、2.75%→1人、2.5%→2人、2.0%→1人、1.75%→4人、1.5%→2人、1.25%→1人、1.0%→1人、0.50%→1人
長期的予想)4.25%→2人、4.0%→9人、3.75%→2人、3.5%→4人

▽9月時点(前回に続き、全般的に利上げ予想が後退しFF金利予想の上限も引き下げ)
2013年)0.25%→17人
2014年)1.25%→1人、1.0%→2人、0.25%→14人
2015年)3.25%→1人、3.0%→2人、1.5%→2人、1.25%→1人、1.0%→3人、0.75%→5人、0.5%→1人、0.25%→2人2016年)4.25%→1人、4.0%→2人、2.75%→2人、2.5%→2人、2.0%→2人、1.75%→5人、1.50%→1人、1.0%→1人、0.5%→1人
長期的予想)4.25%→3人、4.0%→10人、3.75%→1人、3.5%→2人、3.25%→1人

成長率 長期的成長見通しは2.3-2.4%(前回2.3-2.5%)
2013年 2.2-2.3%(9月時点2.3-2.6%)
2014年 2.8-3.2%(9月時点2.9-3.1%)
2015年 3.0-3.4%(9月時点3.0-3.5%)
2016年 2.5-3.2%(9月時点 2.5-3.3%)

失業率 長期的失業率見通しは5.2-5.8%(前回5.2-6.0%)
2013年 7.0-7.1%(9月時点7.1-7.3%)
2014年 6.3-6.6%(9月時点6.4-6.8%)
2015年 5.8-6.1%(9月時点5.9-6.2%)
2016年 5.3-5.8%(9月時点5.4-5.9%)

インフレ(PCE) 長期的見通し2.0%(前回は2.0%)
2013年 0.9-1.0%(9月時点1.1-1.2%)
2014年 1.4-1.6%(9月時点1.3-1.8%)
2015年 1.5-2.0%(9月時点1.6-2.0%)
2016年 1.7-2.0%(9月時点1.7-2.0%)

コアインフレ(食品・エネルギーを除くPCE)
2013年 1.1-1.2%(9月時点1.2-1.3%)
2014年 1.4-1.6%(9月時点1.5-1.7%)
2015年 1.6-2.0%(9月時点1.7-2.0%)
2016年 1.8-2.0%(9月時点1.9-2.0%)

▽FOMC声明文レビュー

バークレイズのマイケル・ギャピン米エコノミスト

FOMCは「経済と労働市場のリスクはより均衡に強い」との文言を組み入れおり、これまで「下方リスク」を意識していた当時より、予想外に強いスタンスへシフトしたといえよう。超党派の予算特別委員会がまとめた2年間の予算案を米下院が可決したことがスタンスの変更を促したと考えられる。数値目標こそ変更しなかったが、失業率が6.5%を下回っても低金利政策につきインフレ目標値2%以下で下回る場合は低金利を維持すると強調した。インフレが低迷を続けた場合、失業率の数値目標を変更する余地を残したといえる。

BNPパリバのジュリア・コロナド米国担当主席エコノミスト

FOMC声明文では「経済と労働市場のリスクはより均衡に近い」とまとめた上で、米国債とMBSを均等に50億ドルずつ、100億ドルの量的緩和(QE)縮小を開始した。低金利に関する文言でインフレに注意を払ったように、物価の協議は熱を帯びた議論になったのだろう。とはいえ、ハト派寄りの意見はQE縮小のペースや低金利の動向で反映された程度。良かれ悪しかれ、Fedは移行期に入ったのだろう。

 

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