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アメリカの家計債務にやっぱりちらつく、「Sワード」の影

by • August 14, 2014 • Finance, Latest NewsComments Off5406

Household Increases Their Non-housing Debt Including Auto Loan.

アメリカの家計債務動向をみると、米経済のいびつな状態が垣間みれます。

ニューヨーク連銀が14日に発表した調査結果では、4−6月期の家計債務残高は 11兆6300億ドル(1186兆2600億円)でした。前期比ベースで4期ぶりの減少ながら、180億ドルと微々たるもの。ピークに達した2008年7−9月期の12兆6800億ドルを8.2%下回ったとはいえ、足元は縮小ペースに歯止めが掛かっています。

デレバレッジの波は、景気回復もあって沈静化。
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内訳は、以下の通り。
・住宅ローン→8.1兆ドル(前期比0.8%減)
・ホームエクィティ→5210億ドル (前期比1.0%減)
・非住宅関連債務→前期比1.9%増

住宅ローン部門では、特に新規住宅ロー ンが2860億ドルと2000年以来で 最低を記録していました。JPモルガン・チェースウェルズ・ファーゴなど金融機関の4−6月期決算で住宅ローン組成額が落ち込み続けるほか、住宅ローン申請件数指数の低迷が示すように販売件数もさえず、 イエレン米連邦準備制度理事会 (FRB)率いる米連邦公開市場委員会 (FOMC)が懸念を表すはずです。

注目すべきは、非住宅関連債務。自動車ローンは300億ドル増、学生ローンは70億ドル増、クレジット・ カード・ローンは100億ドル増、その他は90億ドル増と軒並み増加していました。1−3月期と比較すると、自動車ローン残高の伸びが目立ちます。

・自動車ローン→9050億ドル(前期比300億ドル増)、 自動車ローン組成額は1010億ドルと2006年7−9月期以来で最高、90日以上の未払いあるいは債務不履行が3.3%と低水準を維持
・学生ローン→1兆1200億ドル(前期比70億ドル増)、90日以上の未払いあるいは債務不履行が10.9%
・クレジットカード→6690億ドル(前期比100億ドル増)、前年比では減少、カード利用枠は前期比1.0%増

自動車ローンの債務遅延率は3.3%と1−3月期とほぼ変わらず、安定しているように見えます。しかしNY連銀はブログで、あらためてサブプライム層の借り入れ増加に警戒を表明。エクィファックスのデータを元に、2013年8月時点で自動車ローン全体のうち信用スコア620点以下が占める割合は23%だったと繰り返し指摘しています。当時から、金融危機以前の25−30%に近い水準に達していたんですね。サブプライム層の分岐点が660点であることを踏まえると、620点以下を対象としたローンが増加中という事実は見捨てておけません。

自動車ローン組成額、620点スコア以下が2番目に大きいという現状。

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特に、自動車ローン子会社が販売台数を押し上げのために大盤振る舞いしていることが 分かります。サブプライム層の「Sワード」に、通貨監督局(OCC)と足並みをそろえNY連銀が懸念を強めるはずです。GMに対し米司法省も、サブプライム層の自動車ローン動向をめぐり調査のメスを入れてましたよね。

自動車メーカー傘下の金融子会社(左) と銀行・信用組合の自動車ローン組成額。

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家計債務全体で90日以上の深刻な支払い遅延率は4−6月期に4.5%と、2008年1−3 月期以来で最低でした。しかし金利上昇局面では、サブプライム層が債務遅延を押し上げるリスクを残します。

(文中写真 : Federal Reserve Of New York、カバー写真 : Roadsidepictures)

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