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ECBが予想外の利下げ、資産買い取りも決定

by • September 4, 2014 • Finance, Latest NewsComments Off2241

ECB Cut Interest Rate Further, Decided Asset Purchases.

欧州中央銀行(ECB)は3日開催の定例理事会で、政策金利であるリファイナンス金利を10bp引き下げ0.05%と過去最低水準に設定した。6月の利下げ以来、年初来で2回目となる。上限の限界貸出金利も10bp引き下げ0.30%、下限の中銀預金金利も10bp引き下げマイナス0.10%へそれぞれ変更した。

ドラギ総裁は、政策利に対し「テクニカル的な調整余地はこれ以上ない」と発言。利下げ打ち止めシグナルを点灯しただけでなく、9月から開始する”貸出に的を絞った長期流動性供給措置(TLTRO)”の参加に「銀行はためらうべきではない」と釘を刺した。

予想外の利下げに加え、ECBは10月から資産担保証券(ABS)とユーロ建てカバードボンドの買い入れを決定した。域内の信用状況を緩和するための措置だ。買い入れプログラムの詳細は、10月2日の定例知事会後に公表する予定。ロイターによると、3年間で5000億ユーロとなる公算だという。

ドラギ総裁は、今回の決定が全会一致でなかったと示すと同時に、「安定多数」が賛成票を投じたと明かした。その上でインフレ率がかなりの長期間において非常に低い水準でとどまれば、別の「非伝統的手段」を活用する責務について理事会は全会一致したと述べた。今回の政策決定が最終手段ではなく、量的緩和(QE)への道筋を残したかたちだ。今回の決定についても、ドラギ総裁は「一段の行動を求める意見と、決定内容以下を提案するメンバーがいた」と明かしており、低インフレと低成長が継続するようならば追加措置へ傾くだろう。

「非伝統的手段」を排除しない姿勢を強調。

ecb
(出所:Twitter)

ドラギ総裁は記者会見で、ECBスタッフによる経済見通しで2014年の成長・インフレ見通しを引き下げた動きに合わせ「ユーロ圏の経済見通しには下方リスクがある」との見解を表明。地政学的リスクへの影響にも言及し、景気落ち込みへの配慮する姿勢を打ち出した。インフレ・リスクに対しては、「概して均衡」との従来の文言を削除。今回は「注意深く監視する」にとどめた。

BNPパリバの欧州および中欧・東欧・中東・アフリカ(CEEMEA)地域エコノミスト、ケン・ワトレット氏は、「TLTRO実施前に利下げとABS買い取りを発表したことは特筆に値する」と指摘。また全会一致でなくとも、「ドラギ総裁が指導力を発揮して政策変更することが可能と証明し、ジャクソン・ホールでの講演内容に信ぴょう性をもたせた」と評価した。同エコノミストによると、今後の政策運営での重要点は12月に公表予定のECBスタッフ経済見通し。今回こそ2015−16年見通しは微調整にとどまったが「一段の下方修正を確認すれば」、QEへの扉を開くカギとなりうる。

ECBスタッフ見通しは、以下の通り。今回、リファイナンス金利を始め利下げに踏み切ったように、2014年の成長およびインフレ見通しを下方修正した。2015−16年は利下げ効果および緩和策の恩恵を見込んでいるため成長見通しを引き上げつつ、インフレは横ばいだった。以下は前回と今回の国内総生産(GDP)・インフレ(統合消費者物価指数=HICP)見通しの内容。なおECB見通しは四半期に1回変更され、3、6、9、12月に行なわれる。

2014年見通し(9月時点)
GDP 0.9%
HICP 0.6%
2014年見通し(6月時点)
GDP 1.0%
HICP 0.7%

2015年見通し(9月時点)
GDP 1.6%
HICP 1.1%
2015年見通し(6月時点)
GDP 1.7%
HICP 1.1%

2016年見通し(9月時点)
GDP 1.9%
HICP 1.4%
2016年見通し(6月時点)
GDP 1.8%
HICP 1.4%

(カバー写真 : CNBC)

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