Workers are reflected in the windows of the Canary Wharf offices of JP Morgan in London

JPモルガンは黒字回復も、商業部門と住宅ローン部門は減収

by • October 14, 2014 • Finance, Latest NewsComments Off1737

JP Morgan Returns Profit While Mortgage And Commercial Banking Revenue Decline.

JPモルガン・チェースが14日寄り前に発表した7−9月(第3四半期)決算は、純利益が55億7200万ドルだった。訴訟費用の影響で大幅減益となった前年同期の3億8000万ドルの赤字から、黒字に転換している。調整済み1株当たり利益は1.36ドルとなり、市場予想の1.39ドルより弱い。法務費用の確保を受け、26セント相当の利益が押し下げられたという。収入は5.4%増の251億5900万ドルと、アナリスト予想平均の240億ドルを上回った。

トレーディング収入は、前年同期比15%増の61億ドルだった。債券が2.1%増の35億1000万ドルとなり、為替変動とエマージング市場が支え市場予想の32億ドルを上回っている。株式はデリバティブ収入の減速を反映し1.4%減の12億3000万ドルとなる。

コーポレート・投資銀行部門の利益は前年同期比33.7%減の14億8500万ドルだった。4−6月期の19億6300万ドルにも届かず。収入は7.3%増の87億8700億ドルだったが、4−6月期の89億9100万ドル以下に終わった。投資銀行手数料は、2.1%増の15億4000万ドル。助言業務の手数料が28%増の4億1300万ドルとけん引し、そのうち株式引き受け手数料が活発な新規株式公開(IPO)動向に支えられ24%増の4億1400万ドルとなっている。反対に、債券引き受け業務は2%減の10億ドルだった。

消費者・地銀部門の純利益は、前年同期比8.7%減の24億6800万ドルだった。収入が2.6%増の112億6700万ドルと前年比で増加したものの、4−6月期の114億3100万ドルを下回る。純金利収入は1%減の71億ドルと、前期に続き前年比マイナス。非金利収入は6%増の42億ドルで、住宅ローンおよび関連業務のほか消費者向け貸出が押し上げ要因となった。非金利費用は8.2%減の63億500万ドルだった。平均預金額は前年同期比8%増の4920億ドルとなり、4−6月期の4861億ドルからも増加した。

住宅ローン部門の純利益は、前年同期比38%減の4億3900万ドルだった。ただし、4−6月期の4億3300万ドルから増加している。収入は1.8%減の20億ドル。住宅ローン組成額は前年同期比48%減の212億ドルだったが、4−6月期に示した66%減の168億ドルから改善した。

クレジットカード/自動車ローン部門は、純利益が前年同期比10%減の11億ドルだった。収入は横ばいの46億ドル。非金利収入は3.2%増の14億ドルで、特に自動車ローンが押し上げている。クレジットカードの売上額は12%増の1195億ドルとなり、26期連続で強い伸びを維持。クレジットカード・ローン残高は、2%増の1270億ドルだった。自動車ローン組成額は6%増の68億ドルだった一方、4−6月期の71億ドルからは減少した。

企業向け銀行部門は、純利益が前年同期比2.4%減の6億4900万ドルだった。収入は3.4%減の16億6700万ドル。ローン組成額は27%増の16億ドルだった半面、過去最高を記録した4−6月期の19億ドルには届かなかった。

中小企業の間で、借り入れ需要に鈍化の兆し。
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(出所:Reuters)

資産運用部門は、純利益が前年同期比20.2%増の5億7200万ドルだった。収入も9.2%増の30億1600万ドルだった。前期比でも、それぞれ増加した。運用資産は2.3兆ドルと、前年同期比4%増を示した。

純金利マージンは2.59%と、4−6月期の2.64%から低下。引当金は前年同期比39.4%増の7億5700万ドルとなり、4−6月期の6億9200万ドルも上回った。中核的自己資本(コアTier1)比率は10.2%と、4−6月期の9.8%から上昇。ただ前年同期の11.7%には届いていない。株主資本利益率(ROE)は10%と、4−6月期の11%から低下。総資産利益率(ROA)も0.9%と、4−6月期の0.99%を下回った。

純金利マージン(一番上のオレンジ棒グラフ)は、低金利もあって低下をたどっています。
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(出所:JP Morgan Chase)

ジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は、カンファレンス・コールにて米経済に「全般的な回復」がみられると発言。また「多少の鈍化を確認する可能性があるものの、米国の成長を予想する」と楽観寄りな見方を示した。

——なお、JPモルガンの決算発表は米東部時間の午前7時発表予定だったものの、第3者のウェブサイトが2時間前倒しでリリースするトラブルに見舞われました。以上の結果を踏まえ、株価はウェルズ・ファーゴと同じく軟調。1株当たり利益が予想以下となったほか、企業向け貸出の減収、クレジット・カード/自動車部門で伸び悩みが嫌気されたと見込まれます。引き当て金も増加しており、景気鈍化局面では収入全体が押し下げる懸念が残ります。

(カバー写真:Reuters)

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