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セントルイス連銀総裁、QE継続の可能性に言及

by • October 16, 2014 • Finance, Latest NewsComments Off3161

Bullard’s Surprising Suggestion To Continue QE Lifts Markets.

ボラタイルなマーケットに、救世主がやって参りました。

誰あろう、セントルイス連銀のブラード総裁です。NY時間の午前10時半頃、ブルームバーグTVに出演し量的緩和(QE)継続の可能性に言及したのです。同総裁は、「米国でのインフレ見通しは低下している」と発言。中央銀行として「論理的な政策対応は、QE終了の先送りかもしれない」との見解を明らかにしました。テーパリングについても「『経済指標に従って実施する』との確約に立ち返るべき」と述べ、世界景気が減速するなかでQE継続こそ「現在の環境で採用しうる最も簡単な手段」と語っています。さらに「我々は状況を注視しており、インフレ目標を遵守するため行動する意志と用意がある」とも、強調しました。

おかげさまで、マーケットは直前につけた安値から断続的に買い戻しが入り中盤にはプラス圏を回復。ダウ平均は9月高値から8.2%安、S&P500は9.1%安、ナスダックは調整入りとなる10%を超え10.4%まで落ち込んだ後、上昇に転じました。こちらで指摘させていただいたように、マーケットがいかに「10%」の節目を意識しているかが伺えますね。

ナスダックは序盤に9月高値から10%超も下落した後、ブラード発言を手掛かりに上昇。
nasdaq1
(出所:Google)

ただし、過剰な期待は禁物。ブラード総裁といえば、ウォールストリートのFedウォッチャーの間では「風見鶏=Flip-Flop」のレッテルを貼られています。今回ハト派寄りに急旋回した同総裁、つい1週間前には「2015年1−3月期の利上げが適切」と発言したことで分かるようにタカ派寄りでした。もっとも投票メンバーだった2013年には、同年内にテーパリング開始予定を明らかにした6月FOMCで低インフレを材料に反対票を投じていましたっけ。

確かに、今回の発言は非常に意義深かった。そもそも米9月小売売上高が8ヵ月ぶりに減少した段階で「QE4」待望論がマーケットの片隅で浮上。エボラ出血熱の懸念もあって、米景気鈍化への不安が募っていました。しかも翌17日には、イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演を控えます。テーマは経済的な不平等をめぐる「経済上の機会」であり金融政策に言及するか疑問が残るとはいえ、否が応でも「QE継続」への希望をかき立てたことでしょう。

個人的には、10月28−29日開催のFOMCでQE終了を撤回しないと考えます。確かに経済指標は弱含みが目立ちますが、今後の動向次第で「QE再開」の示唆を盛り込むことも可能だからです。

JPモルガンのマイケル・フェローリ米主席エコノミストも、「QEは10月FOMCで終了させる」と予想。労働市場の改善に加え、ハト派であり今年の投票メンバーであるサンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁の発言を参考にしています。同総裁は14日、インフレの下方圧力には「一段と緩やかな利上げ」の必要性を唱えるにとどめ、QE継続を選択肢に挙げていません。1週間前にも「2015年半ばの利上げ」の可能性に触れており、QE終了先送り期待には打ち砕かれる気配が漂っています。

(カバー写真:St. Louis Business Journal)

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