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新債券王、2015年の利上げを予想ーファンダメンタルズとは無関係に

by • November 24, 2014 • Finance, Latest NewsComments Off3773

Gundlach Expects Fed To Raise Rate In 2015 To See ‘What Happens’.

新債券王こと、ダブルライン・キャピタルの最高経営責任者(CEO)兼最高投資責任者(CIO)のジェフリー・ガンドラック氏。債券王の名を欲しいままにしたビル・グロス氏が創業者として名を連ねるPIMCOから辞任に追い込まれる寸前、移籍をめぐり交渉した相手としても知られます。このガンドラック氏、Fedが2015年に利上げに踏み切ると予想しています。CNBCのインタビューで明かしました。

ウォールストリートも織り込んでおり、同氏の予想にニュース性に乏しいようにみえます。ところが興味深いことに、ガンドラック氏はファンダメンタルズが利上げを正当化せずとも、Fedがゼロ金利を解除すると見込んでいるのです。同氏いわく「Fedは利上げすべきではない一方で、Fedはゼロ金利を維持したいわけでもない」。難しい局面に立たされるFedは、いわばマーケットから利上げを期待されている事情もあり「ひとまず利上げして様子をみるだろう」といいます。そういわれると足元で声明文にてタカ派、議事録でタカ派トーン緩和を繰り返すFedの迷い足の理由に合点がいきます。

Fedによる第1弾の利上げがファンダメンタルズに沿ったものにならないと予想するだけに、米債相場に対しては強気を貫きます。フラットニングを想定するほか、「2015−16年には誰もが想定しなかった水準」にたどり着くと考えているのです。

原油安は、継続を予想。WTI原油先物が80ドル割れを迎え採算に見合わないなか、産油国は増産を余儀なくされる「悪循環(vicious cycle)」に陥ると読んでいるからです。正念場は、70ドル。ガンドラック氏は「譲れない防衛ライン(line in the sand)」と説きます。

OPEC、11月27日の総会で減産を見送れば「60ドルまで下落」説も浮上。
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(出所:Gulf Business)

原油安のおかげで、低インフレも続く見通し。原油価格が75ドル付近であれば消費者物価指数(CPI)はゼロ近辺で推移すると論じています。米10月消費者物価指数(CPI)をみるとコアが多少、上向いたとはいえ前年比は抑制的でした。

個別株では、アップルの電子決済システム「アップル・ペイ」の成功を見込む半面、「私は安値を拾うタイプの人間だ」と保有への意欲は強調せず。ただしテスラになると話は別で、上場来の最高値近辺で推移しながら電池テクノロジーの強みを背景に「業界の主流になる」期待を前面に押し出していました。奇しくも独シュピーゲル誌はインタビューが放送された同日、宿敵とみられたBMWとテスラの提携話を報道。テスラはギガファクトリーという強力な武器を背景に、EVメーカーの地位を確固としつつあります。

そんなガンドラック氏率いるダブルライン・キャピタル、9ヵ月連続で資金流入を達成しています。ビル・グロス氏がPIMCOからジャナス・キャピタル移籍後の10月だけで「ダブルライン・トータル・リターン・ボンド・ファンド」は18億2000万ドルもの流入を実現させました。年初来からの流入額は56億ドルを記録した結果、運用資産は386億ドルに膨らんでいます。さすが、新債券王と呼ばれるにふさわしい実績をみせつけています。

(カバー写真:CNBC)

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