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ベージュブック、楽観トーンの裏でハンバーガー離れを報告

by • December 3, 2014 • Finance, Latest NewsComments Off2192

Fed’s Upbeat Beige Book Points Out Less Hamburger Consumption.

米連邦準備制度理事会(FRB)が3日に公表したベージュブック、今回は目に見えて楽観的にシフトしていました。景気動向に対し「経済は拡大を続けた(continued to expand)」と総括。前回10月時点の「穏やかから緩やかなペース( modest to moderate economic growth)」から、上方修正させていたのです。見通しも「多くの地区連銀が楽観的なままだった(remained optimistic)」としていたほか、消費支出は「ほとんどの地区連銀で増加し続けた(Consumer spending continued to advance in most Districts)」と報告。雇用も 「幅広く(widespread)」増加したと表現しており、暦の上では冬を迎えながら米経済は成長の芽をすくすく伸ばしているもようです。

今回、サマリー部分で使用されたキーワードの登場回数(同じ単語の変化形を含む)は以下の通り。

「増加した(increase)」 →38回、前回は38回
「強い(strong)」→20回、前回は14回
「緩やか(moderate)」 →2回、前回は6回
「穏やか(modest)」→1回、前回は9回
「弱い(weak)」→1回、前回は5回
「底堅い(solid)」→ゼロ回、前回は3回
「安定的(stable)」→ゼロ回、前回は2回

特に「増加(increase)」した項目として非金融機関のサービスへの需要をはじめ、貸出額、6地区連銀における住宅販売、商業不動産活動で確認されています。地区連銀別では、フィラデルフィア連銀・管轄内におけるホテル売上高、アトランタ連銀・管轄内での観光業、ボストン地区連銀・管轄内のIT雇用、クリーブランド連銀・管轄内での製造業、建設、輸送業の雇用、複数の連銀は派遣社員および派遣社員から正社員のシフト、NY連銀・管轄内での求人、ミネアポリス連銀・管轄内のサービスセクターにおける設備投資などが挙げられていました。

金融業界も、雇用の増加を報告。
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(出所:The daytraders.tumblr)

肝心の労働コストは「わずかから緩やかな増加(skight to moderate increase)」にとどまっていました。物価も原材料を中心に「抑制された(muted)」程度。フィッシャーFRB副議長が2日に「低インフレ環境では、ゼロ金利継続」と発言したのも、頷けます。

BNPパリバのデレク・リンゼー米エコノミストは、今回の内容を受け「各連銀の報告を含めたベージュブック全体で『弱い (weak)とする文言の登場回数は17回と、前回を1つ上回ったが過去平均を大幅に下回る水準を保った」と評価していました。バークレイズのジェシー・ヒューウィッツ米エコノミストも「10月FOMC声明文の文言変更と整合的」とし、第1弾の利上げ予想を「2015年6月」で据え置いています。

楽観ムードに満ちたベージュブックで、サンフランシスコ連銀による小売売上高・サービスについての報告は秀逸でした。「消費者の間でハンバーガー離れが進み、チキンをはじめピザ、メキシコ料理へ移っていった」。ビール党からワイン党へ鞍替えした当時そのままに、アメリカ人の食に地殻変動が起きつつあるようです。ヒスパニック系の移民増加と健康志向も重なり、ヘビーな牛肉からライトな鶏肉へ需要が移ってきたのでしょう。

ピザが好まれた点も、興味深い。ピザは1切れ(特大ピザ1枚、8分の1相当)で99セントで買える半面、マクドナルドのチーズバーガーは1.29ドルなので断然ピザが安上がりなんですよね。困ったときの友、ピザの人気は賃金停滞を暗示しているような気がしてなりません。

(カバー写真:Burgerbusiness)

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