Strong Dollar And Oil Price Plunge Push December CPI To The Lowest In 6years.
米12月消費者物価指数(CPI)は前月比0.4%の低下となり、市場予想と一致した。前月の0.3%から下げ幅を広げ、リーマン・ショックの衝撃が冷めやらぬ2008年12月以来の低水準。エネルギーが4.7%と前月の3.8%を含め6ヵ月連続でマイナスへ沈み、引き続き全体を押し下げた。特に、ガソリン価格が9.4%も落ち込んでいる。全米自動車協会(AAA)によると、ガソリン平均価格は1月15日時点で2.08ドルと2009年5月以来の水準まで下落していた。一方で、食品・飲料は0.2%の上昇と6ヵ月連続で上向いた。
CPIコアは前月比±0%となり、市場予想および前月の0.1%の上昇から失速をみせた。ホリデー商戦の最終戦を背景に値引き合戦が激化し、服飾が1.2%と前月の1.1%を合わせ3ヵ月連続でマイナスに陥っている。約2年ぶりの低水準を示した。教育も0.1%と3ヵ月連続で低下し、パソコンが2.1%の低下と引き続き足を引っ張った。娯楽は±0%と、前月の0.2%の低下から上昇に反転できず。その他、中古自動車やトラックも7ヵ月連続で低下した。輸送も3.0%低下し、エアアジア航空の墜落事故を背景に航空運賃が3ヵ月ぶりにマイナスに転じ5.0%と押し下げている。
シェアの大きい帰属家賃は5ヵ月連続で0.2%上昇したほか、住宅も4ヵ月連続で0.2%の上昇となった。家賃は0.17%と4ヵ月連続で上向いたものの、2012年6月以来の低水準。サービスは0.2%と、4ヵ月連続の伸びを示した。医療費は0.5%と、4ヵ月連続で上昇したなかで最も伸びが加速した。
CPIの前年比では、0.8%の上昇と前月の1.3%から減速。市場予想の0.7%を上回ったものの、2009年10月以来の低水準だった。CPIコアの前年比は1.6%にとどまり、市場予想および前月の1.7%を下回った。7月の2.0%で頭打ちを示し、10ヵ月ぶりの水準へ減速した。
JPモルガンのマイケル・フェローリ米主席エコノミストは、結果を受け「エネルギー価格の下落のほか、服飾が体現するようにドル高に伴う輸入物価の下落を反映している」と説明。コアCPIも全体的に弱含みがみられることもあって「コアPCEは12月に0.02%の低下を示し、前年比では11月分を下回り1.31%へ伸びを縮めるだろう」と見込む。一段のインフレ鈍化で「第1弾の利上げ時期を6月とする当方の予想は困難に直面しつつある」としながら、2013年12月に量的緩和(QE)の縮小を決断した当時のコアPCEデフレーターは「1.13%だった」と言及することも忘れていない。成長見通しにも、今回の結果はネガティブ。CPIのヘッドラインは四捨五入前で0.37%の低下と予想をやや上回ったため実質所得を削ることになり、米10−12月期国内総生産(GDP)見通しを「従来の3.0%から2.8%」へ下方修正した。
——以上、エネルギー価格だけではなくコアの鈍化を確認しあらためてディスインフレ懸念を煽る内容でした。ボラティリティの激しい航空運賃が押し下げたことは間違いないものの、服飾や娯楽の低迷に加えこれまで上昇をけん引していた家賃も失速しており、27−28日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)声明文でインフレへの文言が下方修正するのか注目です。失望に終わった米12月小売売上高、スイス国立銀行による衝撃的な政策決定もあって、経済への現状認識も確かめる必要が出てきました。
米1月ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値でも、インフレ見通しが鈍化しています。12ヵ月先の物価見通しはガソリン価格が2009年5月以来の水準へ落ち込むなか2.4%となり、前月の2.8%から減速しました。5年先は2.8%と前月から横ばいにとどまったものの、原油安・ガソリン価格下落の爪痕がいかに大きいかが分かりますね。
センチメントは98.2と、市場予想の94.1を上回りました。前月の93.6を超え、2004年1月以来の水準へ上昇しています。見通し指数が91.6と前月の86.4を超えただけでなく、現況指数も108.3と前月の104.8を抜けていいました。2014年をバラ色トーンで締めくくったセンチメントは、2015年も続行中のようです。
BNPパリバのブリックリン・ドワイヤー米エコノミストは、今回の結果を踏まえ「米12月小売売上高の落ち込みを乗り越え、1月に消費が拡大する期待が高まる」と結んでいました。
株価にボラティリティが生じながら、ガソリン価格の下落がセンチメントを支えたのでしょう。エコノミストも大勢が消費への強気な見通しを固めており、米株の6営業日ぶり反発を促しました。
(カバー写真: Lm Otero/AP)
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