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コーチとケイト・スペード、真冬に消費の春を先取り?

by • January 29, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off4207

Coach And Kate Spade Feed Confidence In Consumer Consumption.

高級革製品メーカーのコーチが29日寄り前に決算を発表いたしました。ホリデー商戦の消費者購買力を測る上でキーファクターとなる同社の決算は雇用改善やガソリン価格の下落を支えに健闘し、株価は6.8%高で終了しています。詳細は、以下の通り。

10−12月(第2四半期)決算で、純利益は前年同期比38.3%減の1億8350万ドルだった。売上減少のほか、再編費用が減益の一因となっている。特別項目を除く1 株当たり利益は0.72ドルと、市場予想の0.66ドルを上回った。売上高は14%減の12億1900万ドルで、6期連続のマイナスに。市場予想の12億3000万ドルも下回った。売上は減少したものの、主力のハンドバックでは 400ドル以上の価格帯の売上が全体の30%を占め、前年同期の20%から上昇するというポジティブ・サプライズも隠されていた。

地域別では、北米が前年同期比20%減の7億8500万ドル。ただし 7−9月期の6億3400万ドルからは、23.8%増を達成。既存店売上高も22%減となり、7−9月期の24%減から下げ幅を縮小した。

海外は前年同期比1%減の4 億2100万ドルながら、為替 変動を除いたベースは5%増に転じる。中国が既存店売上高を支えに13%増と昇竜のごとき勢いをみせ、 為替変動を含めた場合でも12%増と際立つ強さを発揮した。欧州も2桁を記録。一方で日本は為替変動を除いたベース で7%減、為替変動を含む場合では18%減と下げ幅を広げた。

なおコーチは1月4日、高級靴ブランドのスチュワート・ワイツマンを最大5億7400万ドルで買収することで合意した。

新作”スワッガー(Swagger)”、手提げカバンの意味のほか、自信家の意味も。
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(出所:Coach)

小売セクターに明るいニュースを届けたのは、コーチだけではありません。ライバルのケイト・スペードが発表した2014年の売上高見通しは11億3000万−11億4000万ドルとなり、市場予想の11億ドルを超えていきました。既存店売上高は26%増を予想しています。2015年も、楽観的スタンスを維持。2015年売上高を12億−12億8000万ドルとし、華麗なる増収シナリオを描いてるんですね。2015年の売上高は市場予想の13億9000万ドルからかけ離れていますが、ご安心を。これには、投資家を納得させる理由があるんです。

セール依存からの脱却を宣言しました。今後は店舗での値引き、フラッシュ・セール(ネット販売の手法、時間設定での割引)を縮小させます。プロモーション活動を削減させれば実入りも減るとあって、売上高は1億2500万ドルの押し下げを試算しています。これさえなければ、レンジ上限を当てはめると市場予想の13億9000万ドルを上回るのですよ。しかも値引き抑制イコール売上への自信、という図式が成り立つわけで、投資家が嫌気するはずもなく。

一歩進んで、再編にも着手します。低価格帯ラインの”ケイト・スペード・サタデー”と男性ライン”ジャック・スペード”の既存店を閉鎖すると発表しました。2003年に開始した”ケイト・スペード・サタデー”は直営の16店、提携の3店舗を上半期末までにクローズさせ、オンライン店舗のみ”ケイト・スペード・ニューヨーク”として生まれ変わるまで存続させます。”ジャック・スペード”の12店舗も、上半期末までに完全撤退させる方針。両ラインの再編費用はそれぞれ2500万—3000万ドルだといいます。

サヨナラ、ケイト・スペード・サタデー。
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(出所:Bex Walton/Flickr)

クレイグ・リービット最高経営責任者(CEO)いわく「地域・製品カテゴリーの拡大に注力しつつ、長期的に株主価値を高める」狙いがあるとか。経営戦略の多角化より、保守的に女性顧客のハートをがっちりつかんで行くべし。そんな意志を固めたように見えます。ニュースを好感し、株価は6.7%高と躍進しました。

ケイト・スペードの決断とコーチの決算は、真冬に消費の春を先取りした感が。投資家も一足先に、うららかな気持ちになって買いで反応したのでしょうか。

(カバー写真:scion_cho/Flickr)

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