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米2月個人消費・所得を受け、米1−3月期GDPに下振れリスク

by • March 30, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off1841

Consumer Spending Rises Less Than Forecast, Adding Downside Risk To Q1 Growth.

米2月個人消費支出は前月比0.1%増となり、市場予想の0.2%増に届かなかった。ホリデー商戦の真っ盛りに2009年9月以来初めてマイナスに落ち込んだ2014年12月と1月に2ヵ月連続で減少した後、3ヵ月ぶりに増加に転じている。消費の内訳は、以下の通り。

・耐久財 1.03%減<前月の0.39%増から減少に反転
・非耐久財 0.39%増>前月の2.49%減から増加に反転
・サービス 0.19%増<前月の0.40%増から減速も増加基調を維持

耐久財は大寒波を受け新車販売台数が下押しした一方、耐久財はガソリン価格の反発を受けて増加に転じた。サービスは大寒波と積雪を背景に暖房需要が伸び公益が支えつつ、その他が弱含んだとみられる。

今年の冬、ボストンでは過去最高の積雪量に。
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(出所:WTSP)

米2月個人所得は前月比0.4%増となり、市場予想の0.3%増を上回った。14ヵ月連続での増加となる。可処分所得は0.4%増と、前月の0.5%増から鈍化。もっとも、2014年下半期の0.1−0.3%増のレンジを超えている。貯蓄率は所得の増加が支出を上回るなか5.8%を示し、1月の5.5%を超え2012年12月以来の高水準を遂げた。

所得の内訳は、以下の通り。

・賃金・所得 0.3%増<前月の0.6%増を下回りつつ9ヵ月連続で増加
(民間が0.3%増と前月の0.7%増から減速、財生産業が0.1%増と前月の0.7%増から鈍化、原油安の余波が意識されつつ、製造業も0.1%増と前月の0.7%増以下に。サービスも前月の0.7%増を下回る0.4%増。最低賃金引き上げ後の余波か。政府も0.2%増と、前月の0.3%増から伸びを縮小した。)
・不動産収入 0.5%減>前月の0.8%減、2ヵ月連続で減少
(農場が10.8%減、非農場も0.1%減とそろって2ヵ月連続で減少)
・家賃収入 0.6%増>前月の0.3%増を合わせ24ヵ月連続で増加
・資産収入 0.9%増>前月の0.2%減から反転
(配当は2.8%増と13ヵ月連続で増加したものの、金利収入は低金利を受け0.5%減と8ヵ月連続で減少)
・社会福祉 ±0%<前月の1.3%増、4ヵ月ぶりに横ばい
(メディケイド=低所得者層向け医療保険は1.5%増と前月の1.6%増を合わせ3ヵ月連続で増加、メディケア=高所得者向け医療保険は0.6%増と前月の0.4%増を含め3ヵ月連続で増加)
・社会補助 0.3%増=前月は0.3%増、少なくとも15ヵ月連続で増加

米2月個人消費支出(PCE)デフレーターは前月比0.2%の上昇となり、市場予想と一致した。前月の0.4%の低下(0.5%から上方修正)を含め、3ヵ月連続でリーマン・ショックの衝撃が冷めやらぬ2008年12月以来で最低を示す。前年比は0.3%の上昇にとどまり、2009年10月以来の低水準だった前月の0.2%を上回った。コアPCEデフレーターは前月比0.1%の上昇となり、市場予想および前月値と一致。前年比は2ヵ月連続で1.3%を経て、今回は1.4%上昇した。PCEデフレーターとコアPCEともに、米連邦公開市場委員会(FOMC)の目標値「2%」からかい離した水準を維持。目標値割れは、そろって2012年5月以来となる。

バークレイズのマイケル・ゲイピン米エコノミストは、結果を受け「実質の可処分所得は0.2%増となり、1月の0.9%増から鈍化した」と指摘。実質可処分所得の伸びが縮まっており、消費減速の可能性が点灯したかたちだ。翻って2月の実質消費は、0.1%減にとどまった。3ヵ月平均年率の実質消費は「2月までに0.8%増と、1月までの3.3%増、2014年12月までの4.0%増から大きく減速」している。原油安一服に伴いガソリン価格が上昇する今、消費の伸びしろも狭まりつつあり、消費拡大には改善をたどってきた貯蓄切り崩しに期待せざるを得ない。

バークレイズは、米1−3月期GDPの予想を従来の1.2%増から1.0%増へ引き下げた。JPモルガンも、米1−3月期GDP予想1.5%増のところ「当方の見通し以下となるリスクが高まった」とのコメントを寄せている。

——米2月個人消費が3ヵ月ぶりに増加したとはいえ、ガソリン価格の下落に割にさえない伸びにとどまりました。エネルギー情報局(EIA)によるとガソリン価格は足元、1月に約5年ぶりの2ドル割れが迫ってから2.5ドル近くまで切り返しています。1−3月期でガソリン価格下落の恩恵はいったん打ち止めとなること必至。米2月雇用統計が示すように賃金が比較的低いセクターが就業者数の伸びをけん引するなかで、消費拡大余地は限定的と言えるでしょう。

(カバー写真:adam./Flickr)

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