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米2月貿易赤字は09年以来の低水準、西海岸の港湾ストが背景

by • April 2, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off2310

Trade Deficit Shrinks 5-Year Low On West Coast Port Strike.

米2月貿易収支は354.44億ドルの赤字となり、市場予想の412億ドルより赤字幅を縮小させた。前月の426.76億ドル(418億ドルから修正)を16.9%も下回り、2009年10月以来の低水準を示現。ドル高により輸出が減少しただけでなく輸入も落ち込みを見せており、西海岸の港湾労働者ストライキに伴う影響が及んだとみられる。

内訳をみると、輸出が前月比1.6%減の1862.49億ドルと4ヵ月連続で減少。輸入も4.4%減の2216.93億ドルと、2ヵ月連続で減少している。国内総生産(GDP)の算出に使用される実質ベースのモノの赤字は507.64億ドルと、直近で最大だった1月の545.82億ドルから大きく縮小した。なお2014年の貿易赤字は5050億ドルとなり、2009年以来の水準まで改善した2013年の4715億ドルから増加していた。

米2月貿易収支、輸出・輸入そろって減少。
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(出所:BEA)

バークレイズのジェシー・ヒューウィッツ米エコノミストは、結果を受け「2月に輸入が減少したとはいえモノの貿易赤字はヘッドラインより下げ幅が小さい上に、1−2月期平均は527億ドルと2014年10−12月期の508億ドルを上回った」と分析。その上で「純輸出は引き続き米1−3月期GDPにとって下押し材料」とし、米2月製造業受注と合わせ米1−3月期GDP予想を「従来の1.1%増から1.0%増」ヘ引き下げた。

以下は、米2月貿易収支の輸出および輸入の内訳と各国ごとの貿易収支動向。

輸出の内訳をみると、モノは前月比2.3%減と前月の3.0%減と合わせ4ヵ月連続で減少した。ドル高や西海岸での港湾労働者ストライキが災いし自動車をはじめ産業財、資本財、食品・飲料など幅広く弱含んでいる。

(減少項目)
・自動車 8.7%減と前月の7.0%減と合わせ2ヵ月連続で減少
・食品/飲料 1.5%減と前月の8.9%減と合わせ3ヵ月連続で減少
・産業材 3.8%減と前月の5.5%減と合わせ3ヵ月連続で減少
・資本財 3.6%減と前月の1.2%減と合わせ2ヵ月連続で減少
・サービス 0.1%減と前月の0.1%増と合わせ2ヵ月連続で減少
(増加項目)
・消費財 7.9%増と前月の0.2%増と合わせ2ヵ月連続で増加

輸入の内訳をみると、モノが5.4%減となり前月の4.1%減を含め2ヵ月連続で減少した。原油を除いた場合は4.2%減と、前月の1.5%減と合わせ2ヵ月連続で減少している。

(増加項目)
なし
(減少項目)
・産業財 9.3%減と前月の10.9%減と合わせ2ヵ月連続で減少
・自動車 6.1%減と前月の1.9%減と合わせ2ヵ月連続で減少
・資本財 5.1%減と前月の0.5%増から反転
・消費財 3.1%減と前月の3.8%減と合わせ3ヵ月連続で減少
・食品/飲料 3.0%減と前月の1.8%増から転じ3ヵ月ぶりに減少

国別での貿易赤字動向をみると、最も赤字が大きくドル・ペッグ制を採用する中国への赤字が前月比21.2%減の225.40億ドルと減少に転じた。ドル高を受け日本も27.5%減の41.82億ドル、欧州も0.4%減の103.99億ドルと減少が続く。主な原油輸出国への赤字は前月に続き、減少が優勢。カナダは52.6%減の13.95億ドル、石油輸出国(OPEC)も36%減の0.72億ドルとなる。メキシコのみ、49.0%増の43.49億ドルと前月分の減少を打ち消した。

——米2月製造業受注は前月比0.2%増と、市場予想の0.5%減より強い結果となりました。前月の0.7%減(0.2%減から下方修正)を上回り、7ヵ月ぶりに増加に反転しています。ただし非耐久財が1.8%増と押し上げており、耐久財は1.4%減で輸送機器を除く場合は5ヵ月連続で減少していました。コア資本財(民間航空機を除く非防衛財)の出荷は0.3%増と前月の0.6%減から増加に転じた一方、1月分は下方修正。在庫は0.1%増で耐久財は0.3%増と増加基調を保ちました。

BNPパリバは、米2月貿易赤字と米2月製造業受注を受け「当方の米1−3月期GDP予想1.3%増を小幅ながら上回る可能性が出て来た」と指摘。ゴールドマン・サックスは、米1−3月期GDPの予想を1.0%増から1.1%増へ引き上げました。アトランタ地区連銀が試算するGDPより格段に強い数字が並びますが、果たして4月29日公表の米1−3月期GDPはどのような結果になるのでしょうか。

(カバ—写真:Ted S. Warren/AP)

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