Durable Goods Orders Except Transportation Disappoint Economists Again.
米3月耐久財受注は前月比4.0%増となり、市場予想の0.5%増より格段に強い結果となった。前月の1.4%減から大きく増加に反転し、過去6ヵ月間で3回目の増加を示す。ヘッドラインこそ力強い回復を示したものの変動の大きい航空機がけん引しており、引き続きドル高や西海岸の港湾労働者ストライキ収束後の貨物輸送の遅れが影響し製造業関連はさえなかった。
輸送用機器は13.5%増、前月の1.8%減から大幅増加に反転。
・民間航空機 30.6%増と前月の2.2%減から大幅増加に反転
・自動車 5.4%増と3ヵ月ぶりに増加
防衛財は17.0%増と、前月の7.7%増に続き2ヵ月連続で増加した。輸送用機器を除いた場合は0.2%減と市場予想の0.3%増に反し、前月の1.3%減(0.7%減から下方修正)を含め6ヵ月連続で減少している。
コア資本財(企業の設備投資を示す航空機を除いた非防衛財)は0.5%減、前月の2.2%減(1.4%減から下方修正)に続き、7ヵ月連続で減少。コンピューター/電子機器以外が軒並み減少した。
・機械 1.5%減、減少トレンドを維持
・電気機器 1.1%減と前月の2.9%減から減少に反転
・組み立て金属 0.4%減と3ヵ月連続で減少
・一次金属 0.2%減と6ヵ月連続で減少
・コンピューター/電子機器 3.0%増と前月の1.2%減から増加に反転
耐久財出荷は前月比1.1%増となり、3ヵ月ぶりに増加に転じた。過去6ヵ月間では、2回目のプラスを示す。国内総生産(GDP)に反映されるコア資本財は0.4%減となり、前月の0.1%増(0.2%増から下方修正)から減少に反転。過去6ヵ月間で4回目の減少となった。
耐久財在庫は0.1%増と、前月の0.2%増を含め22ヵ月連続で増加した。出荷の伸びが在庫を上回ったため、在庫相当は1.67ヵ月と前月の1.69ヵ月から短縮した。
JPモルガンのダニエル・シルバー米エコノミストは、結果を受けて「コア資本財受注が3月に0.5%減だった上に2月も1.4%減から2.2%減に下方修正され、国内総生産(GDP)に反映されるコア出荷も3月は0.4%減、2月分も0.2%増から0.1%増へ引き下げられた」と指摘。製造業活動の不振を確認するなか、米1−3月期GDP予想を「従来の0.7%増から0.6%増」へ引き下げた。さらに「4−6月期の機器投資と輸出の回復に疑問符が点く」と付け加え、「悪天候や西海岸の港湾ストライキといった一時的要因ではなくドル高というファンダメンタルズ要因が作用しているのではないか」との認識を示した。
ドイツ銀行も米3月耐久財受注を受け米1−3月期GDP予想を従来の1.7%増から0.7%増へ、バークレイズも従来の1.2%増から1.1%増へ引き下げた。
——米3月耐久財受注はヘッドラインこそ輸送用機器に持ち上げられ増加したものの、製造業の根幹部分を示すコア資本財は弱いトレンドを維持していました。これまでの米1−3月期GDPのエコノミスト平均は約1.5%増だったところ、米3月耐久財受注後は1%付近まで引き下げられたと考えられ、28−29日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)でタカ派寄りへシフトする公算は一段と小さくなったと言えるでしょう。ドル円が上昇しきれないのも、金利先高感の後退を表しているようです。
アトランタ地区連銀が発表するGDP試算値も、4月16日時点で0.1%程度に。
(出所:Federal Reserve Bank Of Atlanta)
FOMC声明文が公表される29日には、米1−3月期GDP速報値がリリースされます。興味深いことに、アトランタ地区連銀のロックハート総裁が奇しくも最新版のGDP試算値を発表した16日に「6−9月利上げ派」から「利上げに慎重たるべき」との立場へ鞍替えしていました。同総裁はFOMC投票メンバーであるだけに、FOMC前の見解変更の意図を勘繰ってしまいます。
(カバー写真:CDP)
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