NY Fed Manufacturing Index And Industrial Production Suggest Slow Recovery.
米5月NY連銀製造業景況指数は3.09となり、市場予想の5.0を下回った。2014年12月(マイナス1.23)以来の分岐点割れを示現した前月のマイナス1.19からは、改善している。
項目別動向は、以下の通り。
・新規受注 3.85、3ヵ月ぶりに分岐点回復>前月はマイナス6.00で2013年1月以来の落ち込み
・出荷 14.94<前月は15.23で2014年9月以来の高水準
・在庫 7.29、2014年6月以来の高水準>前月は2.13
・雇用 5.21<前月は9.57、3月は18.56と2014年5月以来で最高
・平均労働時間 マイナス2.08、2ヵ月連続で分岐点割れ>前月はマイナス4.26
・入荷時間 マイナス10.42、年初来で最低<前月はマイナス4.26
・受注残 マイナス11.46、分岐点割れを維持>前月はマイナス11.70
・仕入れ価格 9.38、分岐点割れを迎えた2009年6月以来の低水準<前月は19.15
・販売価格 1.04、6ヵ月ぶりの分岐点ゼロに迫る<前月は4.26
天候・ストライキなど一時的要因はく落にも関わらず、見通し(黒)は低下。
(出所:Federal Reserve Bank Of New York)
6ヵ月先見通し指数は29.81となり、前月の37.06を下回った。3ヵ月ぶり低水準となる。出荷(31.75<前月は32.38)、在庫(3.13<前月は5.32)、仕入れ価格(26.04<前月は38.3)、販売価格(7.29<13.83)が低下。雇用(16.64<前月は22.34)は7ヵ月ぶりの水準へ落ち込んだほか、平均労働時間(マイナス1.04>マイナス1.06)も2ヵ月連続でマイナス圏を維持している。受注残(マイナス5.21、3ヵ月ぶり分岐点割れ)のほか、西海岸の港湾労働者ストライキが収束したものの入荷時間(マイナス5.21<前月は3.19)も4ヵ月ぶりに分岐点を割り込んだ。設備投資(15.63<24.47)も、4ヵ月ぶり低水準となる。新規受注のみ、33.94と5ヵ月ぶりの高水準だった。
BNPパリバのデレク・リンゼー米エコノミストは、結果を受け「ISM製造業景況指数で換算すると52.1でとなり、前月の51.7を上回る」と分析。ただしISM換算は2014年6月につけた55.4以下を保つほか、「見通し指数が下振れした」こともあり、製造業活動の改善ペースの鈍さを確認したかたちだ。
米4月鉱工業生産指数は前月比0.3%低下し、市場予想の±0%より弱い結果となった。前月の0.3%の低下(0.6%から下げ幅を縮小)と合わせ、5ヵ月連続でマイナスに。稼働率は78.2%と、市場予想の78.4%を下回った。前月の78.6%(78.4%から上方修正)にも届かず、リセッション前の80%回復が一段と遠のいた。
内訳をみると、製造業が±0%と前月に続く上昇を確保できず。自動車が西海岸の港湾労働者ストライキ収束を反映し上向いたものの、ドル高による世界的な需要低下や米国内での設備投資減速を受けたためか機械の落ち込みが激しい。原油先物の切り返しつつ、鋼業は4ヵ月連続で低下。春の到来により暖房需要が低下したため、公益も2ヵ月連続で低下した
・製造業 ±0%<前月は0.3%上昇
・自動車 1.3%上昇、2ヵ月連続で上昇<4.3%の上昇
・機械 0.9%の低下、2ヵ月連続で低下<前月は0.6%の低下
・コンピューター/電子機器 ±0%、前月まで2ヵ月連続で低下>0.5%の低下
・公益 1.3%の低下、2ヵ月連続で低下>前月は5.4%の低下
・電力 1.1%の低下、2ヵ月連続で低下>前月は4.3%の低下
・天然ガス 2.5%の低下、2ヵ月連続で低下>前月は12.0%の低下
・鋼業 0.8%の低下、4ヵ月連続で低下<前月は0.1%の低下
——原油安に加えドル高の打撃が製造業の足を引っ張り、春を迎えながら明るい兆候は見えません。ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙によると、今年が始まってまだ半年も経っていないにも関わらずエコノミストの成長予想から楽観なトーンが後退しています。2015年成長見通しは2.2%と、4月時点の2.7%から下方修正されました。米1−3月期国内総生産(GDP)速報値が失望的だった上、さらにその後の経済指標が芳しくなくマイナス成長を迎える公算が大きい。米4−6月期GDPのエコノミスト予想は2.8%増と回復を織り込みつつあるものの、2014年に続き第1四半期が全体を押し下げるとあって下方修正を余儀なくされたかたちです。
GDPに占める輸出の割合が13.5%を占めるほか、1−3月期決算を振り返っても企業の売上は予想以下が並び設備投資が増大する期待は薄く、ドル高は成長の足を引っ張りかねません。引き続き、米連邦公開市場委員会(FOMC)にとって頭の痛い結果となったことでしょう。
(カバー写真:darkday/Flickr)
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