NY Fed Manufacturing Index And Industrial Production Disappoint Again.
米6月NY連銀製造業景況指数はマイナス1.98となり、市場予想の5.90を下回った。5月の3.09以下に終わっただけでなく、2014年12月以来(マイナス3.58)の落ち込みを示す。
項目別動向は、以下の通り。
・新規受注 マイナス2.12、2013年1月以来の低水準だった4月はマイナス6.00<前月は3.85
・出荷 12.01<前月は14.94
・在庫 1.92、3ヵ月連続で分岐点乗せ<前月は7.29、2014年6月以来の高水準
・雇用 8.65>前月は5.21、3月は18.56と2014年5月以来で最高
・平均労働時間 3.85、3ヵ月ぶりに分岐点を回復>前月はマイナス2.08
・入荷時間 1.92>前月はマイナス10.42、年初来で最低
・受注残 マイナス4.81>前月はマイナス11.46
・仕入れ価格 9.62>前月は9.38、分岐点割れを迎えた2009年6月以来の低水準
・販売価格 0.96、7ヵ月ぶりの分岐点割れに迫る<前月は1.04
現況指数、見通し指数そろって再び弱含み。
(出所:Federal Reserve Bank Of New York)
6ヵ月先見通し指数は25.84となり、前月の29.81を下回った。4ヵ月ぶり低水準となる。新規受注(26.10<33.94)、出荷(22.11<前月は31.75)、雇用(13.46<前月は16.64)、在庫(マイナス17.31<前月は3.13)、設備投資(11.54<前月は15.63)、仕入れ価格(24.04<前月は26.04)、販売価格(5.77<7.29)とそろって低下した。一方で平均労働時間(0.0>マイナス1.04)と、3ヵ月ぶりに分岐点を回復。受注残は分岐点を回復し、入荷時間もマイナス幅を縮めた。
BNPパリバのデレク・リンゼー米エコノミストは、結果を受け「ISM製造業景況指数で換算すると51.9となり、前月の52.1を下回る」と分析。ISM換算は2014年6月につけたピークの55.4以下を保つほか、「現況指数と見通し指数そろって弱含み」を示す。ただし「労働市場は改善しており、雇用と平均労働時間が上向いた」と評価した。
米5月鉱工業生産指数は前月比0.2%低下し、市場予想の0.2%の上昇に反する結果となった。前月の0.5%の低下(0.3%の低下から下方修正)のほか、横ばいにとどまった月を合わせ少なくとも6ヵ月連続で上昇できずにいる。稼働率は78.1%と、市場予想の78.3%を下回った。前月の78.3%(78.2%から上方修正)にも届かず、リセッション前の80%回復が一段と遠のいた。
内訳をみると、製造業が0.2%低下し3ヵ月ぶりにマイナスへ転じた。自動車が西海岸の港湾労働者ストライキ収束を反映し1.7%の上昇と2ヵ月連続で上向き、新車販売台数の動向と整合的。ドル高を一因に、自動車以外は0.3%低下し過去4ヵ月で最大の落ち込みを示す。ただ機械は0.4%上昇したほか、コンピューター・電子機器も0.4%と4ヵ月ぶりに上昇に転じた。原油先物の切り返しつつ、鋼業は0.3%と4ヵ月連続で低下。5月にニューヨークで30度を超える真夏日を計測したせいもあってクーラー需要が高まり、公益は0.2%と3ヵ月ぶりに上昇した。
・製造業 0.2%の低下<前月は0.1%上昇
・自動車 1.7%の上昇、3ヵ月連続で上昇<前月は2.0%の上昇
・機械 0.4%の上昇>前月は±0%
・コンピューター/電子機器 0.4%の上昇、4ヵ月ぶりに反転>前月は0.1%の低下
・公益 0.2%の上昇、3ヵ月ぶりに上昇>前月は3.7%の低下
・電力 ±0%>前月は3.3%の低下
・天然ガス1.3%の上昇、3ヵ月ぶりに上昇>前月は5.9%の低下
・鋼業 0.3%の低下、5ヵ月連続で低下>前月は1.3%の低下
バークレイズのジェシー・ヒューウィッツ米エコノミストは、結果を受け「原油安の余波で鋼業が足枷となっているほか、ドル高が向かい風となっている」と振り返った。もっとも、鉱工業の下げ幅は7.9%と前月の14.5%から大幅縮小したほか予想より小幅にとどまったため「米4−6月期国内総生産(GDP)の予想を従来の3.2%増から3.3%増」ヘ引き上げた。
——米6月NY連銀製造業景況指数と米5月鉱工業生産は、なかなか回復トレンドを回復できず。足元で成長率見通しを圧迫していないものの、企業の設備投資に疑問を残す結果となりました。
(カバー写真:Peter Miller/Flickr)
Comments
米下院はTPA関連法案を否決、ギリシャも膠着続く Next Post:
米6月NAHB住宅市場指数、2014年9月の高水準に並ぶ