Earns Goldman Sachs

GS4−6月期、法務費用が圧迫し大幅減益

by • July 16, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off1693

Goldman Sachs Earnings Hit By Litigation Costs.

ゴールドマン・サックスが発表した4−6月(第2四半期)決算では、純利益は前年同期比48.5%減の10億4800万ドルだった。希薄後の1株当たり利益は1.98ドルとなり、市場予想の3.89ドルより格段に弱い。住宅ローン担保証券をめぐる法務比よその他の規制問題向けコストを14億5000万ドル積み上げたため、大幅減益を計上している。収入は0.6%減の90億6900万ドルで減収に転じつつ、アナリスト予想平均の87億8000万ドルを上回った。

▽主力の機関投資家サービス部門
収入は前年同期比6.0%減の36億100万ドルとなり、1−3月期の54億5900万ドルからも大きく落ち込んだ。債券・通貨・商品(FICC)トレーディング収入が27.8%減の16億300万ドルと激しく、1−3月期の31億3400万ドルからも減少に反転。債券市場のボラティリティに泣いた2014年10−12月期の12億1800万ドル近くまで沈んだ。信用商品が重しとなっており、住宅ローン商品や為替も減収につながった。逆に、株式は62.9%増の7億8700万ドルと寄与。1−3月期の11億2400万ドルには届かなかったものの、欧州に加え期末に中国株安の激震に揺れるなかアジアでの需要を背景にデリバティブ・キャッシュ商品が力強かったという。トレーディング収入自体は11.6%減の23億9100万ドルとなり、1−3月期の42億5800万ドルから大幅縮小した。

競合とトレーディング部門の収入を比較してみると、以下の通り。

バンク・オブ・アメリカ 2.4%減の33億2500万ドル
JPモルガン 9%減の45億700万ドル
シティグループ 0.6%減の37億1500万ドル
ゴールドマン・サックス 11.6%減の23億9100万ドル

▽投資銀行業務

収入は前年同期比13.4%増の20億1900万ドルとなり、1−3月期の19億500万ドルからも増加した。過去2番目の記録を更新している。セクター全般での合併・買収(M&A)を支えに助言業務が62.3%増の8億2100万ドルと、1−3月期の9億6100万ドルを下回りつつ2桁増を保つ。引き受け業務は16.0%減の11億9800万ドルとなり前年比にて3期連続で減少、1−3月期の9億4400万ドルは上回った。債券が17.4%減の6億300万ドルと、3期連続で減少。1−3月期の4億1100万ドルからは増加した。前期に続き、金利上昇を背景にレバレッジド・ファイナンス(買収される側の資産を担保に借り入れて買収する仕組み)で特に落ち込みが目立った。株式は9.2%増の5億9500万ドルで、1−3月期の5億3300万ドルも上回った。公募増資が支えたという。

▽投資・貸出部門
収入は前年同期比13.1%減の18億100万ドルとなり、1−3月期の16億6900万ドルからも拡大した。私募増資(PIPE)の減少が公募投資の増加を打ち消したかたちだ。株式は13%減の12億5400万ドルだったほか、債券も金利上昇を背景に12%減の5億4700万ドルとなった。

▽投資管理部門
収入は前年同期比14%増の16億4800万ドルとなり、1−3月期の15億8400万ドルも上回った。資産管理総額は1兆1800億ドルと、3期連続でほぼ変わらず。長期預かり資産は140億ドル増加、110億ドルの純増となる。

中核的自己資本(コアTier1)比率は11.8%と、1−3月期の12.6%から低下した。法務費用の計上により株主資本収益率(ROE)は4.8%と、1−3月期の11.5%および2013年の11%からも大幅に下回った。

営業費用は前年同期比16%増の73億4000万ドルとなり、1−3月期の66億8300万ドルから増加した。非報酬費用が48%増の35億3000万ドルと、1−3月期の22億2400万ドルから大きく拡大。前述のように、法務費用を反映している。報酬費用は3%減の38億1000万ドルで、1−3月期の44億5900万ドルからも減少。ただ従業員数は7.7%増の3万4900人で、1−3月期の3万4400人からは増加していた。収入に対する割合は上半期末で42.0%と、前年同期の43%から低下している。

ロイド・ブランクファイン最高経営責任者(CEO)は、決算資料にて「今期のパフォーマンスに満足している」とコメント。欧州連合(EU)での不透明性が投資家のセンチメントを損ねたものの、「多くの事業は全般的に経済環境の改善と健全な顧客活動の恩恵を受けている」と結んだ。

——JPモルガンやシティグループをはじめとした米銀と一線を画し、MBSをめぐる米当局との和解が済んでいないGSは大幅減益を計上しました。金利上昇もあって、債券トレーディング部門も弱い。中国株安やギリシャ債務危機で揺れるなか、7−9月期も厳しい投資環境が続きそうです。株価は寄り付きまもなく一時1.7%下落しました。

(カバー写真:AP via New York Post

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