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7月の鉱工業生産とPPIは市場予想超えも、夏休みの宿題を残す

by • August 14, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off2075

July Industrial Production And PPI Top Estimates.

米7月鉱工業生産指数は前月比0.6%上昇し、市場予想の0.4%を上回った。前月の0.1%(0.3%から下方修正)を超え、2ヵ月連続で上向いている。稼働率は78.0%と、市場予想の78.1%にあと一歩及ばず。前月の77.7%(78.4%から下方修正)からは改善しつつ、リセッション前の80%回復には道のりを距離を残した。

内訳をみると、製造業が0.8%上昇し前月からプラス圏へ反転。2014年11月以来の高水準を遂げている。特に自動車が10.9%上昇し、前月の4.1%の低下を完全に打ち消し全体に寄与した。米7月新車販売台数の回復と整合的である。自動車以外は0.1%の上昇と、小幅な伸びにとどまった。原油安の再燃に直面し、鋼業もわずかな上昇に。気温上昇が一服したこともあって、公益は低下に転じた。

・製造業 0.8%の上昇>前月は0.3%の低下
・自動車 10.9%の上昇、直近で最高>前月は3.7%の低下、4ヵ月ぶりにマイナス
・機械 1.3%の低下<前月は0.7%の低下
・コンピューター/電子機器 0.4%の上昇、2ヵ月連続でプラス>前月は1.4%の上昇

・公益 1.0%の低下<前月は2.3%の上昇
・電力 1.1%の低下<前月は2.1%の上昇
・天然ガス 0.1%の低下<前月は4.3%の上昇
・鋼業 0.2%の上昇、2ヵ月連続<前月は0.7%の上昇

JPモルガンのダニエル・シルバー米エコノミストは、結果を受け「今回の躍進は自動車がけん引しており、自動車工場の閉鎖に関する季節調整の歪みで上振れしたのではないか」と指摘した。フォードが夏期恒例のモデルチェンジに伴う工場閉鎖短期化を決定するなど、自動車メーカーの対応の変化により季節調整が数字を押し上げたと推測している。自動車を除いた製造業を中心に、全体的には好調とは程遠く「ドル高と足元顕著な在庫の積み上がり」が全体の伸びを抑えている可能性も点灯させた。

▽米7月生産者物価指数、サービスがけん引しモノの鈍化を相殺

米7月生産者物価指数(PPI)は前月比0.2%上昇し、市場予想の0.1%を上回った。約2年半ぶりの高水準だった5月の0.5%、6月の0.4%に続きプラス圏を維持。過去6ヵ月間で、3回目の上昇を示す。コアPPIは0.3%上昇し、こちらも前月と変わらず。市場予想の0.1%から加速した。PPIは前年同月比では0.8%低下し、前月の0.7%から下げ幅を拡大。4月には1.3%と、2010年秋以来で最大の落ち込みを示していた。6ヵ月連続でマイナスをたどる。コアPPIは0.6%上昇し前月の0.8%から鈍化した。

内訳をみると、全体の6割を超えるサービスが0.4%上昇し、前月の0.3%と合わせ2ヵ月連続で上向いた。サービスのうち3割を占める貿易・サービスが0.4%と3ヵ月連続で上昇したほか、1割弱を占める輸送・倉庫も0.2%上昇し2ヵ月連続で伸びている。サービスのうち6割を占めるその他サービスは0.4%と、2ヵ月連続で上昇した。一方で、モノは0.1%低下。6月に反し、エネルギーと食品が全体を押し下げた。エネルギーは原油安を背景に0.6%低下し、3ヵ月ぶりにマイナスへ落ち込んだ。食品は0.1%低下し、こちらも3ヵ月ぶりに沈んだ。

BNPパリバのローラ・ロスナー米エコノミストは、結果を受け「最終需要サービスのうち、客室レンタルが9.9%も急伸し上昇分の40%以上を占めた」と説明した。夏期のバケーション需要がサービスPPIに寄与していたことが分かる。反対にモノは振るわず、一時的要因で加速した可能性も否定できない。

——米7月鉱工業生産は季節調整という下駄を履いて上振れしたと考えられるほか、米7月PPIこそ堅調でも米7月輸入物価指数を踏まえるとドル高および原油安を反映し鈍化するシナリオが想定されます。人民元切り下げの影響も、じわじわと押し寄せてくるでしょう。ヘッドラインの結果だけをみれば9月利上げに追い風が吹いたように見えますが、夏に課題を残す結果となりました。

(カバー写真:darkday/Flickr)

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