Earnings Roundup : Salesforce, HP, Gap, L Brands.
20日引け後に発表された決算を中心に、おさらいしていきます。ダウ平均が一時300ドル超も急落したにも関わらず、ヒューレット・パッカードとセールスフォースは逆行高。ギャップは引き続き業績に明るい兆しが見られず世界経済への不安も重なり、売り優勢となりました。
▽ヒューレット・パッカード、決算は予想以下も見通しを上方修正
テクノロジー大手が発表した5−7月(第3四半期)決算では、純利益が前年同期比15.5%減の8億5400万ドルだった。再編や分社化、買収関連費用などの特別項目を除いた1株当たり利益は0.87ドルで、市場予想の0.88ドルより弱い。売上高は8.1%減の253億4900万ドルながら、 市場予想の254億ドルを下回った。為替差損を除いた場合は、2%減に縮小する。今期で16四半期中、15回目の減収を迎えた。
売上の内訳をみると、ヒューレッ ト・パッカード・エンタープライズ(HPE)部門および金融部門などは7.8%減の262億9200万ドル。同部門は、ハードウェアやソフトウェア、コンサルティングを含む法人向け製品・ サービスを手掛ける。減収を迎えたものの、エンタープライズ・グループのうちサーバー事業が8%増だったほか、ネットワーク事業も22%増と業績に希望の光りを灯した。一方で、パソコンとプリンター 事業で構成されるHPインクは11.6%減の125億 9900万ドルだった。
2015年度(同年10月末終了)は、調整済み1株当たり見通しを3.59−3.65ドルとし従来の3.53−3.73ドルから引き上げた。ただし、市場予想の3.64ドルを下回る。8−10月期の調整済み1株当たり利益は0.92−0.98ドルとし、市場予想の1ドルに届かなかった。
みずほ証券は決算を受け投資判断こそ「中立」で据え置きつつ、目標株価を従来の38ドルから30ドルへ引き下げた。UBSも投資判断を「買い」で維持しながら、目標株価を従来の40ドルから36ドルへ下方修正した。
なおHPは2014年10月、成長源と位置づける法人向け ハードウエア・サービス事業を ヒューレット・パッカード・エ ンタープライズ、パソコン・プリン ターはHPインクとして分社化する方針を表明。11月を予定している。決算を受けサーバー事業やネットワーク事業に目を付けられたほか見通しも引き上げたため、52週移動平均の安値から一時6%上昇した。
▽セールスフォース、利益・売上高とも予想超えで見通しも上方修正
クラウド型顧客管理大手が発表した5−7月(第2四半期)決算では、純損失が85万2000ドルだった。前年同期の6110万ドルの赤字から縮小。調整済み1株当たり利益は0.19ドルとなり、市場予想の0.17ドルより強い。営業費用は前年同期比15.8増の12億950万ドルだったものの、2−4月に続き売上の伸びが相殺している。売上高は24.0%増の16億3500万ドルとなり、市場予想の16億ドルを上回った。為替変動を除くベースでは28%増へ広がる。
売上のうち、会員収入・サポートは27.8%増の15億2130万ドル、プロフェッショナル・サービスは31.8%増の1億1340万ドルだった。国・地域別では米国大陸が27.2%増の11億1510万ドル、欧州は16.4%増の2億8700万ドル、アジア・太平洋は11.1%増の1億4560万ドル。売上シェア動向をみると米国大陸が74%(前年同期は71%)、欧州が17%(前年同期は19%)、アジア太平洋が9%(前年同期は10%)だった。
2015年度(2016年1月末終了)の売上高は、66億−66億3000万ドルとし従来の65億2000万−65億5000万ドルから上方修正した。伸び率は23%増とし従来の21−22%増から引き上げつつ、過去2年間の32%増、33.5%増から鈍化を示す。調整済みの1株当たり利益は0.70−0.72ドルとし、こちらも従来の0.69−0.71ドルから上方修正。8−10月期の売上高は16億9000万−17億ドルを掲げ、調整済み1株当たり利益は0.18−0.19ドルを予想した。
ピボタル・リサーチは決算を受け投資判断を従来の「中立」から「買い」へ、目標株価も従来の79ドルから82ドルへ引き上げた。カナコード・ジュニティは投資判断を「買い」で維持しつつ、「大型株での有望株」との見方を示す。決算を好感し、株価は一時2.4%上昇した。
▽ギャップ、業績改善の兆し見えず
服飾ブランド大手が発表した5−7月(第2四半期)決算では、純利益が前年同期比34.0%減の2億1900万ドルだった。為替差損で1株当たり0.04ドル押し下げられたほか、再編の影響が及んだとみられる。希薄後の1株当たり利益は0.52ドルで、速報値および市場予想と一致。 売上高は2.1%減の38億9800万ドルとなり、市場予想に並んだ。為替差損を除くベースでは±0%。ドル高により、1億ドル押し下げられた。引き続き、対円や対加ドルでのドル高を理由に挙げている。既存店売上高は4%減となり、前年同期比1%減から下げ幅を拡大。オンライン売上高は、2.1%減の5億6300万ドルだった。粗利益率は37.4%で、前年同期の39.4%から低下した。
既存店売上高は、以下の要通り。引き続き格安ブランドのオールド・ネイビーが健闘するのみで、他は惨敗だった。
>ギャップ
既存店売上高 6%減<前年同期は5%減
>バナナ・リパブリック
既存店売上高 4%減<前年同期は±0%
>オールド・ネイビー
既存店売上高 3%増<前年同期は4%増
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(出所:GAP)
国・地域別では、以下の通り。主力の米国が落ち込んだほかカナダ、欧州が弱い。アジアは対円でのドル高が響いたものの、増加を示した。
>米国(売上の78%、2−4月期は77%) 1.2%減の28億2800万ドル
>カナダ(売上の7%、2−4月期は6%) 3.2%減の2億7200万ドル
>欧州(売上の5%、2−4月期も5%) 15.5%減の1億9600万ドル
>アジア(売上の10%、2−4月期は9%) ±0%の3億4600万ドル
>その他(売上の2%、2−4月期は1%) 3.9%減の4900万ドル
2015年度(2016年1月末終了)の1株当たり利益見通しは2.75−2.80ドルで据え置き、市場予想の2.74ドルを上回った。今年度の再編費用は1億3000万−1億4000万ドルとし、従来の1億4000万−1億6000万ドルから縮小した。再編に伴い、250店舗閉鎖する見通しだ。
みずほ証券は、決算を受け投資判断を「中立」で維持しながら目標株価を従来の38ドルから35ドルへ引き下げた。FBRキャピタルも投資判断こそ「マーケットパフォーム」で据え置いたものの、目標株価を従来の36ドルから35ドルへ下方修正した。時間外取引で、株価は一時2.8%落ち込んだ。
小売関連としておまけに、19日引け後に発表されたLブランズをご紹介しましょう。
▽Lブランズ、売上は予想以下も見通しを上方修正
女性向け下着・バス関連ブランドが発表した5−7月(第2四半期)決算では、純利益が前年同期比7.5%増の2億250万ドルだった。希薄後の1株当たり利益は0.68ドルで、市場予想と一致。為替差損で0.02ドル押し下げられた。営業利益は7.2%増の4億300万ドル。粗利益率は40.3%と、前年同期の39%から上昇している。売上高は3.4%増の27億6500万ドルとなり、市場予想の28億ドルを下回った。既存店売上高は4%増となる。
ブランド別動向は、以下の通り。
>ビクトリアズ・シークレット
売上高 5.5%増の14億3750万ドル
既存店売上高 3%増=前年同期は3%増
7月既存店売上高 2%増<前年同期は5%増
>ビクトリアズ・シークレット直販
売上高 3.5%減の3億6890万ドル
既存店売上高 4%減<前年同期は0%
7月既存店売上高 3%増
>バス・ボディ・ワークス
売上高 5.3%増の6億720万ドル
既存店売上高 4%増>前年同期は3%増
7月既存店売上高 4%増<前年同期は7%増
>ビクトリアズ・シークレット、バス・ボディ・ワークス海外
売上高 14.8%増の7620万ドル
2015年度(2016年1月末終了)の1株当たり利益は3.58−3.73ドルとし、従来の3.50−3.70ドルから上方修正した。見通しには、為替差損0.12ドルを含む。ただ8−10月期の1株当たり利益は0.40−0.45ドルにとどめ、市場予想の0.47ドルに届かず。為替差損0.03ドルを含むなか、3期連続で見通しは予想以下が続いた。
(カバー写真:Don DeBold/Flickr)
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