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中国発のブラック・マンデーで、長期ブル相場にサヨナラ?

by • August 24, 2015 • NewsComments Off2670

Long Bull Market May Be Coming To End After China’s ‘Black Monday’.

本日、夏の嵐もとい中国発の世界同時株安が直撃した米株市場を振り返ります。前週末に続き、本日はダウ平均をはじめS&P500やナスダックなどが総崩れ。2009年3月から続いたブル相場は、遂に終焉を迎えたかのようです。以下、相場を振り返ります。

ダウ平均  15871.28 -588.47 -3.58%
S&P500  1893.21 -77.69 -3.94%
ナスダック 4526.25 -179.79 -3.82%

ダウ平均は大幅に5日続落。立ち会い早々、上海総合をはじめ世界同時株安の荒波に抗えずフラッシュ・クラッシュの下げ幅を超えていった。わずか10分の間に瞬く間に数々の大台を滑り抜け、 一時は1089.42ドル安の15370.33ドルと2014年2月以来の水準へ暴落。サーキット・ブレーカー作動が危惧されたものの、米連邦準備制度理事会(FRB)がブラック・マンデー当時のように翌朝に声明を公表するあるいは9月利上げ観測を払拭させるとの期待が募り、下げ渋りをみせた。アリアンツのモハメド・エラリアン主席経済アドバイザーが9月利上げは困難と発言したほか、バークレイズも9月利上げ予想を2016年3月へ後ろ倒ししたことも、下げ幅縮小に寄与。怒濤の買い戻しが入るなか中盤には一時150ドル安近く、16300ドル超えまでまで怒濤の巻き戻しを果たした。

ただ終盤にかけてはホワイトハウス報道官のコメントや米財務省の声明に反応薄で売りが再燃、売り遅れ組の注文が流れ込み約600ドル安の16000ドル割れへ押し返された。アトランタ連銀のロックハート総裁が年内利上げに言及しつつ9月利上げは妥当との掲げなかったものの、引け際だったため影響は限定的となる。年初来リターンは23日連続でマイナス。2014年2月以来の安値で引けた。ダウは2日連続で500ドル以上の急落を示現。ただし、2008年9月29日に記録した過去最大の下げ幅(777ドル安)を回避している。

S&P500とナスダックも大幅に4 日続落。S&P500は終値で2014年10月以来、ナスダックは約7ヵ月ぶりの安値で引けした。年初来リターンはS&P500が3日連続、ナスダックは 2日連続でマイナスをたどる。そろって、調整入りを迎えた。S&P500セクターのうち10セクターが調整入りし、残るは生活必需品のみがあと1%以下のところで踏ん張る状況だ。

S&P500、52週移動平均線を割り込んだ後は一足飛びに急落。

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(出所:Stockcharts)

気になるアトランタ連銀のロックハート総裁、米株の引け5分前に行った講演で9月利上げに言及せず。「年内に利上げを行う道筋にある」と述べつつ、7月FOMC議事録公表まもなく明かしたような「9月利上げが妥当」との表現を避けた。米経済は「緩やかな成長軌道を維持する」との見通しを示しながらドル高、商品先物の下落、中国の人民元切り下げなどを背景に予測が困難とも発言している。さらに「金利は低水準で推移し続ける」とも述べ、9月利上げが消滅した可能性をちらつかせた。翌25日に予定するNY連銀のダドリー総裁の講演が、ハト派寄りとなる期待が否が応でも高まる。

ホワイトハウスと米財務省は、本日の急落に対応。ホワイトハウスのジョシュ・アーネスト報道官は記者会見で、オバマ米大統領が世界の金融市場における乱高下について状況報告を受けたと明かした。また米当局は、中国に金融改革の実施を求めていると発言。「中国は為替市場の柔軟性を拡大させ、マーケットが決定力をもつシステムへ移行するよう努力し続けるべき」とし、 中国政府による同国株式市場への介入は多くの関係者から批判を招いているとも述べた。

米財務省の広報官は短い声明で、「マーケットの進展を常に注視している」との見解を示した。また「日々のマーケット動向にはコメントしない」とも付け加えている。

中国の景気減速、株安、人民元切り下げなどを受け7月に中国ブルを撤回したブリッジウォーターは、顧客向けのレポートでFedの年内利上げ見送り以上にハト派寄りな見通しを寄せた。中国のほかエマージング国、およびシェールガスなどの石油関連が低金利のドル建て長期債務に依存していた時代の終焉を指摘。影響は甚大とし、結局のところFedによる次の一手は「利上げ」ではなく「緩和策=QE4」と大胆に予想している。

レッグ・メイソンの元会長、ビル・ミラー氏はこの急落相場でどの銘柄を狙っているのか。同氏は現状が「ビールのジョッキから泡を取り除いた」状態とし、シーキング・アルファに続き住宅建設のほか航空株を選好するスタンスを貫いた。1年先に25%のリターンを得られると、算盤を弾く。他にアップルといったテクノロジー関連のほか大手銀、イントレクソンやジオファームなどのバイオテクノロジーにも熱い視線を寄せているという。グルーポン、エンデュランス、プラットフォーム・スペシャルティなど下落が目立った銘柄にも買い意欲をちらつかせた。

——ウォールストリートの強者は、少なくとも「人の行く 裏に道あり 花の山」精神で買い場を虎視眈々と狙っているようです。知り合いの市場関係者も「米経済のファンダメンタルズは底堅く、9月を切り抜ければ上昇に転じる」と楽観そのもの。万年ブルのペンシルベニア大学ジェレミー・シーゲル教授も、短期的には本日の安値を抜けるリスクを意識しつつ「ダウ平均は年内、2万ドルの大台を達成できる」と豪語します。パイパー・ジャフレイは2015年末のS&P500見通しを従来の2350から2135へ下方修正しましたが、強気派の方々はサンタ・ラリーを見据え戦略を練っているのかもしれません。

(カバー写真:Abir Anwar/Flickr)

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