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米8月消費者信頼感指数、株安・中国景気不安を乗り越え上昇

by • August 25, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off1251

Consumer Confidence Surges While Uncertainty Rises.

米8月消費者信頼感指数は101.5と、市場予想の94.0を上回った。2014年9月以来の低水準だった7月の91.0(90.9から上方修正)を超え、2007年8月以来の水準へ舞い上がった2月の103.8に迫る。3ヵ月平均は97.4と、前月の95.1を超え5ヵ月ぶりの高水準。内訳をみると現況指数が115.1と前月の104.0.1を超え直近で最高を遂げたほか、見通し指数も92.5と前月の82.3から急伸し6月の水準に並ぶ。

発表元であるカンファレンス・ボードのリン・フランコ・経済指標ディレクターは、今回の結果に対し「消費者マインドは7月の低下から回復を果たした」と振り返る。その上で「現況は労働市場がけん引し以前より上振れし、見通し指数も前月こそ不透明性が増した環境を裏打ちしたものの楽観を取り戻している」とコメント。もっとも「所得をめぐっては、ほとんど改善していない」と付け加え手放しでは歓迎していない。

バークレイズのロブ・マーティン米エコノミストは、結果を受け「7月の低下は金融市場のボラティリティと中国景気への不安を表した証左」と指摘。労働市場への見方が特に改善した点を評価している。ただ24日の暴落を含め足元で再び米株相場が急降下しており、楽観は禁物との認識をにじませた。

今回は現状の労働市場に対し「職が豊富」から「職探しが困難」を引いたDIは、ゼロ。6月のマイナス7.5から縮小し、2008年1月以来のブレークイーブンを達成した。雇用が好転したほか、見通し指数もビジネス環境と雇用で楽観度が強まっている。以下は、結果の詳細。

ビジネス環境については、「良い」と「悪い」が低下
「良い」23.2%→前月の23.4%から低下、前年同月は23.5%
「悪い」17.6%→前月の18.2%から低下、前年同月は21.3%

労働市場については、「豊富」が上昇し「困難」が低下しブレークイーブンに到達
「職が豊富」21.9%→前月の19.9%から上昇、前年同月は17.6%
「職探しが困難」21.9%→前月の27.4%から低下、前年同月は30.0%

6ヵ月先のビジネス環境への見方は、「良くなる」が上昇し「悪化する」が低下
「良くなる」15.8%→前月の15.3%から上昇、前年同月は20.8%
「悪化する」8.3%→前月の10.3%から低下、前年同月は9.9%

6ヵ月先の労働市場への見方は、「増加」が上昇し「減少」が大幅に低下
「雇用が増加する」14.6%→前月の13.7%から上昇、前年同月は17.8%
「雇用が減少する」13.6%→前月の19.0%から低下、前年同月は15.2%

6ヵ月先の所得への見方は、「増加」と「減少」がそろって低下
「増加する」16.2%→前月の17.0%から低下、前年同月は15.5%
「減少する」10.0%→前月の11.3%から低下、前年同月は11.6%

購入見通しは、低下が優勢。住宅が4.1%と前月の5.9%から低下し足元で最低を更新したほか、自動車も10.6%と少なくとも年初来で最低を示す。主要機器も48.9%と、直近で最高だった前月の52.1%を下回った。旅行のみ45.5%となり、前回の45.1%から上昇している。

▽米8月マークイット・サービス業PMI速報値、前月から鈍化も予想超え

米8月マークイット・サービス業PMI確報値は55.2となり、市場予想の54.8を上回った。中国発の世界景気減速リスクに耐性をみせつつ、前月の55.7からは鈍化。1月から、2番目に低い水準となる。内訳をみると、新規受注が7ヵ月ぶり低水準。ただし雇用は横ばいとなり下振れを免れた。総合PMIは55.0と、前月の55.7から低下。小幅にとどまっており、5ヵ月ぶり水準へ減速した6月の54.6は超えている。

サービス業PMI、足元の上昇を打ち消してから小幅に改善。

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(出所:Markit)

発表元であるマークイットのクリス・ウィリアムソン主席エコノミストは、結果を受け「22ヵ月ぶり低水準だった製造業PMIと合わせ、サービス部門が鈍化する兆しが現れた」とあくまで慎重なスタンスを貫く。新規受注の弱含みにも注目し「世界市場の急落と中国景気不安が高まる以前に、米経済は方向転換したように見える」と指摘。雇用は堅調なものの、「原油先物の下落がコスト負担を軽減させるように、仕入れ価格はインフレのさらなる鈍化を表す」と振り返った。

——調査期間中は中国株安や中国の景気減速に伴う人民元切り下げに加え、エマージング国への波及を確認しましたが、消費者マインドは悪化するどころか健全そのもの。マークイットでの低下も、わずかにとどまります。再度マーケットを襲った米株急落に加え、原油安、ドル高、不透明な世界経済動向があらためてセンチメントを押し下げるのでしょうか。あるいは、米株さえ回復歩調に転じれば中国をはじめ世界経済の減速を対岸の火事と判断するのか。アメリカ人に根っからの楽天家が多く海外情報に比較的疎い部分もあり、意外に底堅さを見せつける可能性も残ります。

(カバー写真:elysiumcore/Flickr)

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