Chicago PMI And Dallas Manufacturing Index Fall In August.
米8月シカゴ購買部協会景気指数(PMI)は54.4となり、市場予想の54.9を下回った。前月の54.7にも届かず。ただし、2ヵ月連続で分岐点の50を確保した。主な項目の内訳は以下の通り。
新規受注 56.7<前月は58.5
生産 59.0<前月は61.8
雇用 49.1>前月は46.2、少なくとも2年半ぶりの低水準
仕入れ価格 47.3<前月は54.5
直近の弱含みは、2009年以来で初。
(出所:MNI Indicators)
発表元のMNIインディケーターズのフィリップ・ウグロウ主席エコノミストは、結果に対し「8月はいたって安定的で、新規受注と生産は7月に上昇した水準近くを保つ」と振り返る。年初来の景気減速は一時的と判断しつつ、「2014年後半の力強い水準からかけ離れたままだ」と結んだ。
BNPパリバのデレク・リンゼー米エコノミストは、「ISM換算では前月の55.7と前月から2ポイント回復した」と試算。ただ米8月製造業景況指数は下振れが目立ち「米8月ISM製造業景況指数は、7月を小幅に下回ってくる」と予想した。ブルームバーグのエコノミスト予想平均は52.8で、7月の52.7を若干上回る水準を示す。
▽米8月ダラス連銀製造業景況指数、原油安再燃で13ポイントも急落
米8月ダラス連銀製造業景況指数はマイナス15.8となり、市場予想のマイナス2.5から悪化した。原油安の再燃や中国景気減速への懸念を背景に前月のマイナス4.6からも急落し、3ヵ月ぶりの低水準。テキサス州など石油生産地を含むダラス連銀の製造業マインドは、8ヵ月連続で分岐点割れを維持している。項目別では、ヘッドラインほど暗い内容でもなくまちまち。新規受注が3ヵ月ぶり低水準へ落ち込んだほか仕入れ価格も分岐点を割り込んだ半面、出荷や生産がマイナス幅を狭め雇用も改善が目立つ。内訳は、以下の通り。
新規受注 マイナス12.5、3ヵ月ぶり低水準<前月は0.7、7ヵ月ぶりに分岐点を回復
生産 マイナス0.8、6ヵ月連続で分岐点割れ>前月はマイナス1.9
出荷 マイナス3.0、7ヵ月連続で分岐点割れ>前月はマイナス4.3
稼働率 マイナス0.2、7ヵ月連続で分岐点割れ>前月はマイナス4.2
設備投資 4.0、5ヵ月連続で分岐点乗せ>前月は1.6
在庫 マイナス5.2、3ヵ月ぶりに分岐点割れ<前月は8.9
雇用 マイナス1.4、3ヵ月連続で分岐点割れ>前月はマイナス3.3
賃金 18.2、分岐点乗せを維持>前月は14.4
平均労働時間 0.6、7ヵ月ぶりに分岐点を回復>前月はマイナス6.3
仕入れ価格 マイナス8.0、3ヵ月ぶりに分岐点割れ<前月は0.1
販売価格 マイナス15.7、9ヵ月連続で分岐点割れ<前月はマイナス2.9
6ヵ月見通しは3.4となり、前月の18.8から急低下し4ヵ月連続で分岐点に乗せたなかで最も小幅にとどまる。生産、稼働率、新規受注、出荷、在庫、雇用、賃金、設備投資など軒並み前月から低下した。
——今回の結果を踏まえ、各連銀が発表した7月製造業景況指数の星取り表を見てみましょう。
・NY連銀製造業景況指数=○
→マイナス14.92となり、市場予想の4.75を大きく下回った。7月の3.86から滑り落ち分岐点を割り込んだだけでなく、金融危機の衝撃が冷めやらぬ2009年8月以来の水準へ沈んでいる。項目別では新規受注や出荷がマイナスへ落ち込むなど、軒並み前月から弱含み。
・フィラデルフィア連銀製造業景況指数=×
→8.3となり、市場予想の7.5を上回った。4ヵ月ぶりの水準に低下した前月の5.7から回復。項目別では出荷が前月を上回ったほか、雇用や在庫も分岐点を取り戻した。半面、新規受注のほか原油安を背景に仕入れ価格が下振れ。
・リッチモンド連銀製造業景況指数=×
→0となり、市場予想の10を大きく下回った。5ヵ月ぶりの高水準だった前月の13からも急減速し、4月(マイナス3)以来のマイナス圏に接近。項目別では、新規受注をはじめ低下が目立ち雇用は何とか横ばいに終わる。
以上の結果にダラス連銀製造業景況指数を合わせると、市場予想ベースでは1勝3敗で負け越しに終わります。約2年ぶりの低水準へ沈んだ米8月マークイット製造業PMIを含めれば、1勝4敗という体たらく。米8月ISM製造業景況指数が大きく上昇するとは想定しづらい環境です。原油安の再燃や中国の景気減速という逆風もあり、製造業活動に明るい材料はなかなか見当たりません。
(カバー写真:CameliaTWU/Flickr)
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