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オマハの賢人とHFの巨人、投資における2人の共通点とは?

by • September 8, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off4075

What Do Warren Buffett And Leon Cooperman Have In Common?

オマハの賢人ウォーレン・バフェット氏とヘッジファンド界の巨人レオン・クーパーマン氏には、共通点が2つあります。

バフェット氏は、CNBCの番組「スクォーク・ボックス」20周年を記念したインタビューで同プログラムの顔であるベッキー・クィック氏に対し「米経済は依然として、過去6年間と同じ道筋をたどっている」と発言しました。経済拡大ペースとして「悪くもなく、活況というわけでもない」との見解を寄せています。9月16−17日に開催する米連邦公開市場委員会(FOMC)をめぐっては、「仮に米国の金利が欧州を大幅に上回れば、米国の輸出に良い影響が及ぶとは考えられない」と慎重そのもの。経済学上、常に何が起こるかを想定しなければならないと語り、欧州が低金利を維持している状況下での金利引き上げをけん制します。

ただ投資の手綱を緩める気配はありません。8月に石油精製会社フィリップス66(過去に親会社コノコフィリップス株を2008年に取得、後にバークシャーの完全子会社ルーブリゾールと株式・資産交換)に対し44億8000万ドル投じたばかりであるにも関わらず、向こう4−5ヵ月でさらに320億ドル相当を投資すると明言しました。バフェット氏いわく「まだ買収につぎ込む現金はある。手元資金200億ドルを割り込んだことはない」と余裕綽々です。個別ではIBMを1−3月期、7−9月期に買い増したと述べていました。

下落局面をお好みとは、さすがバリュー投資の先駆者です。
cnbc
(出所:CNBC)

オメガ・アドバイザーズのレオン・クーパーマン氏も、ボラティリティで荒れ狂うマーケットに果敢に挑んでいます。市場は適正価格に近いと判断するものの「ここから一段の下落を演じるというより、上昇する段階に入った」と発言。株安局面で、下値を拾ってきたと明かしました。

強気な理由は3つ。

第1に、Fedが利上げを開始しても米株が下落する余地は狭い。1950年代から利上げサイクルは8回あり、平均で30ヵ月にわたって上昇し最短でも10ヵ月間はブル相場を謳歌してきたといいます。利上げ開始からの上昇率は、9.5%。利上げに怖じ気づく必要はないのだとか。またFedの利上げ開始は景気拡大の証であるとし、足元で労働市場や米新車販売台数が力強さをみせつけるなか行動しないでいるのは「いささか、無責任のように思える」との不満をちらつかせていました。利上げに慎重なバフェット氏とは、対照的ですね。

第2に、リセッション入りが視野に入っていない。ブラックストーン・アドバイザリー・パートナーズの会合でバイロン・ウィーン氏を含む著名人21名は誰一人として景気後退を予想していなかったといいます。弱気相場はリセッション観測とともに訪れると考えれば、今すぐブル相場が終焉に向かう可能性は低い。

第3に、金融市場で米株が最良の選択肢と指摘。まだ買われ過ぎのサインは現れていないため、魅力的だと説きます。ただし、S&P500が20%以上の上昇を達成する時期は終了したと発言していました。確かにクーパーマン氏、1年先の株価収益率(PER)が15〜16倍の現状では2016年にS&P500が2100程度の上昇にとどまると見込んでおり、足元から7.6%の上昇に過ぎません。注目セクターとしては、石油関連のほか再生可能エネルギーを挙げていました。

足元のボラティリティの高まりは、ファンダメンタルズを反映していないとも言及。乱高下の75%が「超高速・高頻度取引(ハイ・フリクエンシー取引)、上場投資信託(ETF)、リスク・パリティ戦略」を挙げています。

——そう、バフェット氏とクーパーマン氏そろって市場のボラティリティに負けず攻めの精神を崩していません。米株相場に、いたって楽観的なんです。おまけに、エネルギー関連への投資意欲も強い。クーパーマン氏率いるオメガ・アドバイザーズは8月の運用成績で6%の損失を計上してしまいましたが、ここから怒濤の巻き返しを図るのでしょうか。

(カバー写真:Fortune Live Media/Flickr)

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