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米7−9月期労働生産性・速報値、予想外に上昇も労働時間短縮が一因

by • November 6, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off3211

Q3 Productivity Posts Surprise Gain While Employee Hours Decrease.

米7−9月期労働生産性・速報値は前期比年率1.6%上昇し、市場予想の0.3%の低下に反しプラスを示した。2014年10−12月期以来の水準へ上振れた4−6月期の3.5%(3.3%から上方修正)と合わせ、2期連続で上昇している。内訳をみると、生産が1.2%上昇し前期の5.1%から鈍化しつつ、6期連続で上向いた。米7−9月期国内総生産(GDP)速報値と整合的である。ただし労働生産性の前年同期比は0.4%の上昇と低水準を保ち、生産も2.3%と2014年1−3月期以来の3%割れに陥った。

労働時間は0.5%低下し、5期ぶりにマイナスに転じている。時間当たり賃金は3.0%の上昇し、前期の1.7%から加速した。実質賃金は1.4%上昇し、前期の1.2%の低下から改善。結果、一定量を生産するために必要な労働経費を示す単位労働コストは1.4%上昇し、前期の1.8%の低下(1.4%から下方修正)から転じた。もっとも、市場予想の2.5%には届かず。米7−9月期雇用コスト指数米9月個人所得が伸び悩んだように、低水準を保った。前年比での単位労働コストは2.0%上昇し、3期ぶりに2%台に乗せた。

JPモルガンのダニエル・シルバー米エコノミストは、結果を受けて「労働生産性がブルームバーグ予想値として過去3番目のギャップを示した一因は労働時間の低下が挙げられる」と指摘した。労働生産性は米雇用統計における事業所調査と家計調査に基づくところ、「事業所調査での労働時間は7-9月期に前期比年率2.2%上昇していた半面、家計調査では自営業者の労働時間が短縮していた」という。これだけでは労働時間の低下を説明できないとはいえ「算出の段階で調整が入るなか、弱含んだ可能性がある」との見解を寄せた。いずれにしても、労働生産性や単位労働コストの伸びは限定的で「トレンドは引き続き軟調」と結んでいる。

——米7−9月期労働生産性は2期連続で上昇したとはいえ、単位労働コストをみると賃金が上向く兆しは見えません。労働生産性が上向かず賃上げ圧力も見られないとあって、低成長が続く公算。Fedは12月利上げを目指すものの、利上げの道筋は非常に長く緩やかなものとなりそうです。

(カバー写真:hawkexpress/Flickr)

 

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