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ISM製造業景況指数、11月は2009年以来の分岐点割れ

by • December 2, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off2286

ISM Manufacturing Index Failed To Stay Above 50 In November.

米ISM製造業景況指数やマークイットが発表した景況感指数をおさらいしていきます。

米11月ISM製造業景況指数は48.6となり、市場予想の50.5を下回った。前月の50.1にも届かず、2009年6月以来の分岐点割れへ沈んだ。6ヵ月平均は51.0と、前月の51.7から減速している。内訳は以下の通りで、新規受注と出荷がそれぞれ分岐点割れ。ただし10月に6ヵ月ぶりの分岐点割れを迎えた雇用は、今回50台を取り戻した。詳細は、以下の通り。

・新規受注 48.9、約3年ぶり低水準<前月は52.9、6ヵ月平均は52.7
・生産 49.2<前月は52.9、6ヵ月平均は52.9
・雇用 51.3、分岐点を回復>前月は47.6で6ヵ月ぶりの分岐点割れで09年8月以来の低水準、6ヵ月平均は51.5

・在庫 43.0、5ヵ月連続で分岐点割れ<前月は46.5、6ヵ月平均は48.2
・新規輸出受注 47.5、6ヵ月連続で分岐点割れ=前月は47.5、6ヵ月平均は47.6
・仕入れ価格 35.5、分岐点割れを継続<前月は39.0、6ヵ月平均は40.8

・入荷時間 50.6、4ヵ月連続で分岐点乗せ>前月は50.4、6ヵ月平均は49.9
・受注残 43.0、6ヵ月連続で分岐点割れ>前月は42.5、6ヵ月平均は43.8

BNPパリバのブリックリン・ドワイヤー米エコノミストは、今回の結果につき「18業種のうち5業種が拡大を報告し、10月の7業種を下回った」と指摘した。6地区連銀の製造業景況指数のうち、ISM換算で3地区連銀が50割れに至ったとしつつ、「目新しい事情で分岐点以下だったわけではなく、原油安とドル高が引き続き活動の抑制要因」との見解を寄せる。ただISMで雇用が予想外に分岐点を回復した点は評価した。

ISM製造業景況指数と各連銀景況指数、11月の結果はご覧の通り。
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(出所:My Big Apple NY)

▽米11月マークイット製造業PMI・確報値は上方修正も、約2年ぶり低水準

米11月マークイット製造業PMI・確報値は52.8となり、市場予想及び速報値の52.6を上回った。ただし、前月の54.1には届かず。2013年10月以来の低水準で変わらない。内訳をみると、新規受注が約2年ぶりの水準へ低下したほか、出荷も7ヵ月ぶりの高水準だった前月から減速している。雇用も分岐点乗せを保ちつつ、2014年6月以来の低水準だった。

——米11月ISM製造業景況指数は、景気後退が終焉を迎えた2009年6月以来の水準へ沈みました。米11月マークイット製造業PMI・確報値も上方修正されたとはいえ、2013年10月以来の低水準。10月に点灯した明るい兆しは、瞬く間に消えてしまった感があります。

例えば27日に決算を発表したエンジン製造大手カミンズは、全従業員の4%にあたる2000人の人員削減を発表しました。そのうち500人は米国インディアナ州が対象、年間1億6000万~2億ドルの節減を達成する見通しです。7-9月期決算が不振だったためで、純利益は前年同期比10.2%減の3億8000万ドル、1株当たり利益も10%減の2.14ドルでアナリスト平均2.60ドルを下回っていました。売上高も5.5%減の46億2000万ドルと、市場予想の49.1億ドルに届いていません。

7-9月期決算を振り返っても、10セクター中で減収率が最も大きかったのは原油安の痛手を負うエネルギーで35.6%減、次いで商品先物安に見舞われる素材で13.6%減、続いてドル高の爪痕が深い産業財が並び6.3%減となっています。2016年1ー3月期には2014年秋から進んだドル高効果が剥落するため、決算上では増収に転じる公算が大きい。とはいえ、ドル高のほか中国を始めエマージング国経済の減速もあって外需が芳しくなく、産業財セクターの業績は引き続き逆風にさらされそうです。

(カバー写真:Miroslav Petrasko/Flickr)

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