Mortgage And Auto Loans Push Household Debt To 5-Year High.
ニューヨーク連銀が11月19日に発表した調査によると、7−9月期の家計債務残高は12兆700億ドル（約1450兆円）だった。4−6月期は前期比ベースでほぼ横ばいだったものの、今回は2120億ドル増加（1.9％増）している。ピークに達した2008年7−9月期の12兆6800億ドルを4.8％下回ったとはいえ、4−9月期の6.5％から下げ幅を縮小。景気回復を追い風に、2010年1−3月期以来の水準へ膨れ上がった。
内訳は、以下の通り。
・住宅ローン→8兆2600億ドル（前期比1440億ドル増、前年比1.6％増）
・ホームエクィティ→4920億ドル（前期比70億ドル減と2期連続で減少、前年比3.9％減）
・非住宅関連債務→3兆2300億ドル（前期比640億ドル増、前年比5.2％増）
住宅ローン部門では、借換を含む新規住宅ローン組成額が5020億ドルと、4−6月期の4660億ドルから加速した。2014年4−6月期に約14年ぶりの低水準を記録した後、5期連続で増加している。過去平均でみれば低水準にとどまるものの、2000年以来で最低を記録した2014年4−6月期の2860億ドルで底打ちした格好だ。
住宅ローン融資最大手の米銀ウェルズ・ファーゴが前年同期比15％増の550億ドル、JPモルガン・チェースが41.0％増の299億ドルだった7−9月期の決算内容と整合的。90日以上の未払い率は2.3％と、4−6月期の2.5％から低下した。2014年10−12月期の3.1％を大幅に下回り、改善トレンドを維持しただけでなく約17年ぶりの低水準を記録。労働市場の拡大が後方支援したとみられる。
住宅ローンの借り手には、高水準の信用スコアが並ぶ。
非住宅関連債務、主な内訳は以下の通り。
・自動車ローン→1兆500万ドル（前期比390億ドル増、前年比12.4％増）
→ローン残高は18期連続で増加。自動車ローン組成額は1510億ドルとなり4−6月期の1190億ドルを超え、少なくとも2005年7−9月期以来で最高に達した。NY連銀は、新たに組成されたローンの330億ドル、22％相当が信用スコア620点（低信用で返済能力が乏しいサブプライム層）以下だったと指摘。約10年ぶりの高水準だったという。ただ90日以上の未払い率は3.4％と、4−6月期と変わらず。1−3月期の3.3％から上昇も、2014年10−12月期の3.5％以下を保った。
なお自動車貸出最大手の米銀ウェルズ・ファーゴは、3月にサブプライム層の融資に上限を設定したものの自動車ローン組成額は前年同期比10％増の83億ドルだった。JPモルガンも19％増の81億ドルと、そろって2桁増を遂げている。
自動車ローン、住宅と打って変わってサブプライム層（620点以下）が優勢。
自動車以外の主なローン動向は、以下の通り。
・クレジットカード→7140億ドル（前期比110億ドル増、前年比5.0％増）
→大寒波を経て、2期連続で増加。90日以上の未払い率は8.2％と、4−6月期の8.4％から低下した。2014年10−12月期の7.3％を大幅に超える水準を維持。
・学生ローン→1兆2000億ドル（前期比130億ドル増、前年比6.2％増）
→ローン残高は増加トレンドを維持。90日以上の未払い率は11.6％と、4−6月期の11.5％から上昇。
家計債務全体での支払い遅延率（90日以上）は3.8％となり、前期の4.0％から低下した。少なくとも、2008年1−3 月期以来で最低を記録している。未払い率全体は5.6％で前期と変わらず、1−3月期の5.7％を下回った水準を維持した。
——米国の雇用改善に煽られ新車販売台数が今年2000年に達成した過去最高の記録を塗り替える可能性が濃厚なように、非住宅ローンの債務は自動車が牽引してきました。未払い率は低水準をキープしており。現時点ではスピード違反といった感はありません。ホーム・エクィティ・ローン（住宅価値からローン支払い済みの差額で借入を行うシステム）への需要も低下し、借金好きのアメリカ人もさすがに無謀な借り入れは遠慮気味なのでしょうか。
（文中写真 : Federal Reserve Of New York、カバー写真 : Norman Chrysler Jeep Dodge/Flickr）
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