Pending Home Sales Tumble, S&P Case/Shiller House Price Index Rises.
米11月中古住宅販売成約件数指数は前月比0.9%低下の106.9となり、市場予想の0.7%の上昇に反する結果となった。3ヵ月ぶりにプラスを回復した前月の0.4%の上昇(0.2%から上方修正)から反転、過去4ヵ月で3回目の低下を示す。前年比では5.1%上昇し10月の2.3%(2.1%から上方修正)を超え、15ヵ月連続でプラスを示す。
4大地域別では、10月に続き2地域で上昇。今回は北東部が3.0%低下、IT企業がひしめく西部も5.5%低下しそれぞれ前月からマイナスに転じた。一方で中西部は1.0%上昇し前月分の低下を打消し、エネルギー関連企業が集まる南部は1.3%上昇し4ヵ月ぶりにプラスに転じた。
発表元である全米リアルター協会(NAR)のローレンス・ユン主席エコノミストは、結果を受け「複数の市場で住宅価格の急伸が著しかった上に、経済モメンタムが失われつつある兆候が見て取れ供給水準も低下し向かい風になった」と説明。また「不動産業者からのフィードバックは買い手の関心度は健全な水準であるとものの、引っ越し可能な物件及び手頃な価格帯の物件が限られている」と結んだ。
なお中古住宅販売成約件数指数は、中古の一戸建ておよびコンドミニアムにおける契約が仮契約から最終契約にいたった件数を指数化したもので、中古住宅販売件数は引き渡しの件数を示す。従って、成約件数の約80%が1-2カ月後に中古住宅販売件数として組み込まれる。
▽米10月S&P/ケースシラー住宅価格指数、上昇トレンドを維持
米10月S&P/ケースシラー住宅価格指数(季節調整前、20都市別)は前年同月比5.54%上昇の182.83となり、市場予想の5.60%を下回った。2年5ヵ月連続でプラス圏を保ち、伸び率は前月の5.36%(5.45%から下方修正)を超えている。2013年2月以来の10%割れは維持した。季節調整済み・20都市別の前月比は0.84%の上昇と前月の0.50%を上回り、2ヵ月連続で上昇した。
S&Pケースシラー住宅価格指数、前年比は失速トレンドをキープ。
(出所:S&P Dow Jones Indices)
季節調整済みでは、前月比で全て上昇。9月の19都市から増加した。ワースト1位は前月に続きミシガン州デトロイトで0.20%の上昇に。2位はネバダ州ラスベガスで0.21%の上昇、3位はカリフォルニア州サンディエゴで0.22%だった。上昇率トップはカリフォルニア州サンフランシスコで1.33%、ワシントン州シアトルも同率首位だった。3位はフロリダ州タンパで1.26%となる。
発表元のS&Pダウ・ジョーンズ・インデシーズのデビッド・ビルザー会長は、結果に対し「消費者のインフレ見通しが低水準に収まる上に経済成長の加速、一戸建て住宅着工件数の増加など好材料を確認するものの、中古住宅の在庫ひっ迫を踏まえると状況はまちまち」と指摘。米連邦公開市場委員会(FOMC)の利上げを意識する市場関係者に対しては「2004年5月から2007年7月までにFF金利は1.0%から5.25%まで上昇し、その間に住宅ローン金利は6.0〜6.75%だった」と振り返った上で、足元のFOMC経済・金利見通しを踏まえれば「懸念する必要はない」と楽観的に結んだ。
――米11月中古住宅販売件数が5年ぶりの高水準から急落するなど、足元で住宅市場のボラティリティは激しさを増しています。住宅ローン規制の変更も、足を引っ張っている感はぬぐえず。ただ米連邦公開市場委員会(FOMC)の利上げ後も金利は上振れしていませんし、S&Pダウ・ジョーンズ・インデシーズのビルザー会長の見解が正しければ中古住宅販売成約件数指数の弱含みは変動の範囲内で片付けられそうですが、果たしてどうなるでしょうか。
(カバー写真:Dan Moyle/Flickr)
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