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米11月貿易赤字、輸入の下げ幅拡大で赤字縮小

by • January 7, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off1647

Trade Deficit Improves As Imports Keep Falling.

米11月貿易収支は423.74億ドルの赤字となり、市場予想の440億ドルから縮小した。10月の424.57億ドル(408.12億ドルから修正)を5.0%下回り、前月分の増加を相殺。ただ輸出が増加したのではなく、輸入の減少幅が輸出を超えたため赤字縮小につながった。

内訳をみると、輸出が前月比0.9%減の1822.12億ドル。11月の1837.77億ドルから減少し、少なくとも2012年10月以来の水準へ縮小している。輸入も1.7%減の2245.87億ドルと3ヵ月連続で減少した。国内総生産(GDP)の算出に使用されるインフレを除いた実質ベースのモノの赤字は、596.03億ドル。直近で最大を記録した8月の630.12億ドル以下なだけでなく、10月の610.33億ドからも減少した。なお2014年の貿易赤字は5050億ドルとなり、2009年以来の水準まで改善した2013年の4715億ドルから増加していた。

米11月貿易収支、今回は輸出が弱く前月より赤字増加。

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(出所:My Big Apple NY)

大和キャピタル・マーケッツのマイケル・モラン米主席エコノミストは、結果を受けて「実質の貿易赤字が縮小した背景は(ドル高・原油安などによる)価格の下落で、過去2ヵ月間の実質貿易赤字は7-9月期平均を上回る」と指摘。純輸出が低下する可能性があり、「米10-12月期GDPを0.4%ポイント押し下げるだろう」と予想した。以下は、今回の貿易収支における輸と輸入の内訳のほか各国ごとの貿易収支動向。

輸出の内訳をみると、モノは前月比0.9%減と10月の1.6%減に続き減少した。ドル高と世界景気の減速を背景に前月と同じく産業財が弱い。また米11月個人消費がさえなかったように、消費財の落ち込みも目立つ。

(増加項目)
・自動車 0.7%増、前月の1.3%減から増加に反転
・食品/飲料 0.3%増、前月の5.5%減から増加に反転

(減少項目)・消費財 3.9%減、前月の3.0%減と合わせ2ヵ月連続で減少
・産業財 2.0%減、前月の4.6%減と合わせ2ヵ月連続で減少
・サービス 0.2%減、前月の0.5%増を下回り少なくとも8ヵ月ぶりに減少
・資本財 ±0%、前月の2.1%減から横ばいに反転

輸入の内訳をみると、モノが2.0%減となり前月の0.4%減を含め3ヵ月連続で減少した。10月に続き価格の下落だけでなく、量ベースでの原油輸入が0.4%減と前月の10.6%減と合わせ落ち込んだ。ただ原油を除いた場合は2.4%減と下げ幅を広げている。

(増加項目)
・食品/飲料 1.0%増、前月の4.1%減から反転

(減少項目)
・消費財 5.7%減、前月の0.6%増から反転
・産業財 0.9%減、前月の5.1%減と合わせ4ヵ月連続で減少
・資本財 1.2%減、前月の1.3%増から反転

・自動車 ±0%、前月の1.2%増から横ばいに反転

国別での貿易赤字動向をみると、最大の赤字を抱える中国への赤字は前月比5.2%減の316.26億ドルと2ヵ月連続で少した。8月11日から3日間にわたり中国人民銀が人民元を切り下げた後、初めて減少に転じた格好だ。1月6日に中国人民銀行が中心為替レートを引き下げており、中国からの輸入が増加基調に転じるのか注目される。日本は2.2%増の57.31億ドル。欧州への赤字額は微増の157.30億ドルで、2ヵ月連続で増加した。主な原油輸出国への貿易収支はまちまち。メキシコへの貿易赤字は18.6%減の51.70億ドルへ縮小し、石油輸出国機構(OPEC)への黒字も77.1%増加した。一方でカナダは5月に続き貿易黒字に転じた10月の1.04億ドルから、今回は3.45億ドルの赤字に転じた。

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(出所:My Big Apple NY)

▽米11月製造業受注、市場予想通りもコア資本財出荷は軟調続き

米11月製造業受注は前月比0.2%減となり、市場予想と一致した。前月の1.3%増(1.5%増から下方修正)を下回り、過去4ヵ月間で3回目の減少を示す。企業の設備投資を示す民間航空機を除く非防衛財(コア資本財)は0.3%減となり、前月の0.6%増からマイナスに反転。ただし、国内総生産(GDP)に反映されるコア資本財の出荷は0.1%減と、前月の0.5%減に続き減少した。

——米11月貿易収支と米11月製造業受注を経て、アトランタ連銀の10-12月期のGDP予想は従来の0.7%増から1.0%増へ上方修正されています。仮に1.0%増だとしても、2015年の成長率は12月米連邦公開市場委員会(FOMC)の2015年予想の2.1%増を下回る見通し。12月FOMC議事録では低インフレに関する文言に注目しがちですが、成長鈍化への懸念もあってハト派へ軸足を移していた余地を残します。

(カバー写真:Louis Vest/Flickr)

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