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米1月チャレンジャー人員削減予定数、ホリデー商戦明けに急増

by • February 5, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off2666

Job Cuts Surge After The Holiday Season Ends.

米1月雇用統計を直前に控え、米1月チャレンジャー人員削減予定数と米新規失業保険申請件数をおさらいしていきます。

米1月チャレンジャー人員削減予定数は、前年同月比41.6%増の7万5,114人と4ヵ月ぶりに増加した。2015年7月以来の高水準。ホリデー商戦が終了した影響により、2000年6月以来で最低を更新した12月の2万3,622万人からは217.9%も急増している。エネルギー産業の人員削減は全体の26.8%を占め、2015年12月の7.1%から急伸した。

人員削減予定数、エネルギーと小売が押し上げ1月に増加。
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(作成:My Big Apple NY)

4大地域別では、前月比で1地域のみ減少。前月の2地域を下回った。今回は1月第4週に豪雪に見舞われたにも関わらず、北東部のみ34%減少の5,990人だった。一方で、エネルギー産業が集中する南部が640.8%増の2万5,297人となり、前月から急増し足元で最大を記録している。IT関連企業が集まる西部は380.5%増の3万2,301人で、2ヵ月連続で増加。4ヵ月ぶりの高水準を示す。シェール関連が多い中西部は161.2%増の1万1,526人で、前月から増加に反転した。

発表元であるチャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスのジョン・チャレンジャー最高経営責任者(CEO)は、結果を受け「油田サービスのハリバートンやシュルンベルジェでの人員削減に現れるように、エネルギー産業はコスト削減計画の手を緩めようとしていない」と指摘。その上で「原油価格が近い将来において底ばいを続けるならば、人員削減は高止まりするだろう」と見込む。チャレンジャー社によると、ハリバートンは原油安を受けて複数の人員削減を行いこれまで発表した数は2万2000人、シュルンベルジェは2014年後半以降、3万人に及ぶ。

チャレンジャーCEOは、小売業の人員削減にも注目。ホリデー商戦の反動を挙げつつ、オンライン小売の台頭を理由に挙げ「例えばメイシーズの既存店売上高は11~12月は前年同期比5.0%減だった一方、オンライン売上高は25%増だった」と振り返る。小売業者は戦略の見直しが必要であり、店舗からネット販売へのシフトが「経済が良好な局面でも、広範囲にわたる人員削減につながった」と結んだ。

年初来の州別では、原油安を背景に石油生産地を抱えるテキサス州が2015年12月に続きトップに立った。次いでシェール関連産業の帯座元であるアーカンソー州やオハイオ州などが入り、NY州やカリフォルニア州など大都市を抱える州と総入れ替えに終わった。

1位 テキサス州 2万7,297人
2位 アーカンソー州 1万6,100人
3位 オハイオ州 6,075人
4位 バージニア州 3,840人
5位 ニュージャージー州 3,020人

年初来で人員削減が多かったセクター、ランキングは以下の通りで%は前年同期比を示す。1位は2015年12月に3位だった小売が入り、これまで1位だったエネルギーは2位に滑り落ちた。3位は前月に4位だったコンピューターが浮上、政府と産業財が消え、代わりに製薬と通信がランクインしている。%は前年比であり、今回は1月しか含まない。1月は百貨店大手メイシーズが4800人、英BPが4000人、製薬大手ジョンソン・エンド・ジョンソンが3000人、スプリントが2500人の削減を発表すると伝えられた。

1位 小売 232%増の2万246人
2位 エネルギー 0.4%減の2万103人
3位 コンピューター 195%増の1万1,003人
4位 通信 455%増の3,371人
5位 製薬 1670%増の3,046人

リストラ実施の理由、1月のランキングは以下の通り。トップは前月に続き「再編」で、2位には前月に圏外だった「閉鎖」が急上昇した。3位は前月に5位だった「原油安」がランクを上げ、4位も前月に3位だった「需要低下」が入っている。5位は前月に4位だった「買収・合併(M&A)」がランクダウンした。前月2位だった「コスト削減」は、圏外に落ちた。

1位 再編 2万5,961人(全体の29.6%)
2位 閉鎖 2万2,077人(全体の26.7%)
3位 原油安 1万7,178人(全体の22.8%)
4位 需要低下 1,960人(全体の2.6%)
5位 M&A 1,776人(全体の2.4%)

採用予定人数は8,362人となり、ホリデー商戦の恩恵を受けた2015年9月~12月から大幅に減少した。1位は前月に2位のコンピューターで1,574人、2位は産業財で951人、3位は航空で900人だった。

▽米新規失業保険申請件数、豪雪を経て増加に反転

米新規失業保険申請件数は1月30日週に28.5万件と、市場予想の27.8万件を上回った。北東部を中心に豪雪に見舞われたためか、前週の27.7件(27.8万件から修正)を超えている。1973年11月24日以来の低水準に並んだ10月24日週の25.6万件から、後退を続けた。米労働省は今回、特殊要因を挙げていない。4週平均は28万4750件と、2015年4月4日週以来の水準へ上振れした2週前の28万5250件に近づいた。1973年12月以来の低水準に至った2015年10月24日週の25万9250件を上回った水準を保つ。

1月23日週までの継続受給者数は225.5万人と、2015年8月29日週以来の水準へ膨れ上がった前週の227.3万人から減少した。2000年11月以来の低水準を記録した2015年10月24日週の214.6万件(修正値)から、増加をたどる。被保険者に占める失業者の割合は2週連続で1.7%と、1971年以来の最低にあたる1.6%から上昇した。

2015年2月以来の30万人乗せのリスク、高まる。
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(作成:My Big Apple NY、単位は千人)

州別で増加が目立ったのは、カンザス州で65人増だった。一方で減少した州は前週まで2週連続で大幅増だったカリフォルニア州で2万1629人減、続いてこちらも前週に増加していたペンシルベニア州も6355人減、前週に続きジョージア州が6113人減、その他ミシガン州が5036人減、ニュージャージー州が4111人減だった。

バークレイズのロブ・マーティン米エコノミストは、結果を受け「足元の増加の震源地はカリフォルニア州で、特に1月は農業従事者で急増していた」と分析する。つまり、「非農業部門就労者数(NFP)にはカウントされない労働者が新規失業者を牽引していた」ことになる。そのほかケンタッキー州で増加が目立った程度で、その他は通常の範囲内だった。こうした背景から「労働市場の大勢に変化はなく、景気後退入りの可能性は低い」と結んだ。

――ホリデー商戦明けとあって、米1月チャレンジャー人員削減予定件数は6ヵ月ぶり高水準でした、原油先物が30ドルを割り込み2003年4月以来の安値へ突っ込んだことで、エネルギー関連も押し下げた格好です。直近の米新規失業保険申請件数の主犯がエルニーニョ現象による洪水に泣いたカリフォルニア州の農業従事者であれば、労働市場が急速に悪化したと判断するのは時期尚早と考えられます。ただし、米1月チャレンジャー人員削減予定数で明らかになった通りリストラの波は否定できず。米1月ADP全国雇用者数は予想外に20万人を越えましたが、ダウンサイド・リスクがないとは言い切れないでしょう。

(カバー写真:COD Newsroom/Flickr)

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