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米労働省が発表した米12月雇用動態調査(JOLTS)で、求人数は560.7万人と市場予想の541.3万人を大幅に上回った。前月の534.6万人(543.1万人)から4.9%増加となり、増加に反転。2000年の統計開始以来で最高を記録した7月の566.8万人に接近している。なお米12月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)は、改定値で26.2万人増とホリデー商戦前の臨時雇用で煽られた10月の30.7万件を下回りながら、2015年平均22万人増を超えた。
新規採用人数は前月比2.0%増の536.1万人と3ヵ月連続で増加し、2006年11月以来で最高に。リセッションが開始した2007年12月時点の500万人という大台を10ヵ月連続で超えた。
離職者数は2.2%増の507.2万人となり、3ヵ月連続で増加した。2007年11月以来で最高を達成。定年や自己都合による退職者は6.9%増の305.5万人となり、2006年12月以来の高水準を遂げている。解雇者数は4.7%減の160.7万人と、2014年11月以来で最低だった
求人率は3.8%となり、前月の3.6%から上昇した。7月に続き、統計開始以来で最高となる2001年1月の水準に並んだ。民間が3.8%と、前月の3.6%から上昇。民間のうち財生産業が好調で建設が前月の2.1%から3.1%へ急伸し、製造業も2.2%から2.9%へ大幅に上振れしている。サービスでは貿易・輸送・公益が上向いた程度で、専門・サービス、娯楽・宿泊、教育・ヘルスケアは前月から低下した。政府は5ヵ月連続で2.2%だった。
就業者に対する新規採用率は、2ヵ月連続で3.7%だった。2014年12月の高水準に並んだ6月に並ぶ。ただ、リセッションに陥った2007年12月の3.8%以下を保った。民間が前月に続き4.1%、政府のみ前月の1.6%から1.7%へ上昇した。
自発的および引退、解雇などを含めた離職率は前月と変わらず、3.5%だった。ヘッドラインこそ変動がなかったものの、民間は前月の3.8%から3.9%へ上昇、政府も前月の1.5%から1.6%へそれぞれ上向いている。自発的離職率が2.1%と、2008年4月以来の高水準に。解雇率は2ヵ月連続で1.2%を経て今回は1.1%と、2000年12月の統計開始以来の最低に並んだ。
12月までの過去1年間で、離職者数は5880万人だったところ採用人数は6140万人だった。採用者の純増幅は、260万人増となる。求人1件当たりの競争倍率は3ヵ月連続で1.5倍を経て、1.4倍。景気後退に突入した2007年12月の1.8倍を下回る水準を維持した。
JOLTS、求人数だけでなく新規採用者数や離職者数も上方向。
離職者数のうち自発的離職者数が急増、2007年11月以来で最高
(作成:My Big Apple NY)
――以上の結果を踏まえ、イエレン・ダッシュボードをおさらいしてみましょう。3ヵ月連続で9項目中4項目を経て、5項目が合格点に達していました。採用率も改善が進み、かつての3項目から増加トレンドに入ったかのようです。()内の最悪時点とは、金融危機以降での最も弱い数字を示します。
1)求人率—○
2009年7月(最悪時点) 1.6%
2004-07年平均 3.0%
現時点 3.8%
2)解雇率—○
2009年4月(最悪時点)2.0%
2004-07年平均 1.4%
現時点 1.1%
3)自発的離職率—○
2010年2月(最悪時点) 1.3%
2004-07年平均 2.1%
現時点 2.1%
4)採用率—×
2009年6月(最悪時点) 2.8%
2004-07年平均 3.8%
現時時点 3.7%
5)非農業部門就労者数—○
2009年3月までの3ヵ月平均(最悪時点) 82.6万人減
2004-07年の3ヵ月平均 16.2万人増
現時点の3ヵ月平均 23.1万人増
6)失業率—○
2009年10月(最悪時点) 10%
2004-07年平均 5.0%
現時点 4.9%
7)不完全失業率—×
2010年4月(最悪時点) 17.2%
2004-07年平均 8.8%
現時点 9.9%
8)長期失業者の割合—×
2010年4月(最悪時点) 45.3%
2004-07年平均 19.1%
現時点 26.9%
9)労働参加率—×
2014年9月(最悪時点) 62.7%
2004-07年平均 66.1%
現時点 62.7%
――米12月雇用動態調査は遂に求人数、新規採用数、離職者数と三拍子そろって増加しました。2ヵ月連続で快挙を成し遂げています。労働市場の改善を裏打ちする内容だったものの、米1月労働市場情勢指数(LMCI)や米1月雇用統計が鈍化した点は、懸念材料。年明け早々に大規模リストラのニュースも相次いでおり、求人数もつれて鈍化しかねません。一方で特殊技能職はひっ迫傾向が続き、賃上げを促す力が試されます。
(カバー写真:The Open University/Flickr)
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