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米1月住宅着工件数は2ヵ月連続で減少、建設許可も鈍化

by • February 18, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off2108

Housing Starts Fell For Second Straight Month.

米1月住宅着工件数とMBA住宅ローン申請件数指数を振り返ります。

米1月住宅着工件数は年率109.9万件となり、市場予想の117.3万件より弱い結果となった。前月の114.3万件(114.9万件から下方修正)を3.8%下回りつつ、2015年10月の107.1件ほどの弱含みは回避。10月分は、大寒波で急減した2015年3月以来の低水準だった。

内訳をみると、一戸建てが前月比3.8%減の73.1万件と、3ヵ月ぶりの水準へ減少した。複合住宅も3.7%減の36.8万件となりヘッドラインを押し下げている。前年比での住宅着工件数は1.8%増となり3ヵ月連続で増加しつつ、前月の5.8%増から上げ幅を縮めた。一戸建てが3.5%増と前月の5.1%増から鈍化しつつ、10ヵ月連続で増加。複合住宅も前月の7.3%増から1.6%減となり3ヵ月ぶりに減少に転じた。

4大地域別では、すべてが減少。前月は北東部のみ、増加していた。今回は、中西部が12.8%減の13.6万件と3ヵ月連続で減少したなかで最大を記録している。北東部も3.7%減の15.616.3万件で、北東部をはじめ1月第4週に直撃した豪雪が影響した可能性を残す。石油関連企業が集まる南部は2.9%減の56.0万件で、西部は0.4%減の24.7万件でこちらも2ヵ月連続で減少した。

米1月建設許可件数は120.2万件となり、市場予想の120.0万件とほぼ変わらずだった。前月の120.4万件(123.2万件から下方修正)を0.2%減少している。内訳をみると、一戸建てが1.6%減の72.0万件で、4ヵ月ぶりに減少した。複合住宅は2.1%増の48.2万件で、前月の15.0%減から小幅に反発している。建設許可件数の前年比は13.5%増と、前月の14.4%増(速報値)から伸びを鈍化しつつ14ヵ月続けてプラスを示す。一戸建てが9.6%増で前月を上回ったものの、複合住宅が19.9%増と2桁増を維持しつつ前月から減速している。

米1月建設中件数は前月比0.2%増の97.8万件となった。増加トレンドを維持するなか、件数ベースでは少なくとも2008年4月以来の100万件乗せが迫る。一戸建てが0.5%増の42.1万件と11ヵ月連続で増加しヘッドラインを押し上げつつ、複合住宅は横ばいにとどまり55.7万件で増加記録を16ヵ月で止めた。

住宅着工件数、建設許可件数そろって減速の兆し。

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(作成:My Big Apple NY)

大和キャピタル・マーケッツのマイケル・モラン米主席エコノミストは、結果を受けて「過去2ヵ月分の下方修正と合わせ、米1-3月期国内総生産(GDP)を0.4%ポイント押し下げうる」と分析する、一戸建てが2ヵ月連続で落ち込んだほか、複合住宅も一時の勢いを失いつつあるが「特に複合住宅は直近の過熱から安定化に入ったと考えられよう」と指摘。伸びが鈍化した建設許可件数と合わせ「驚くべきことでも、厄介な問題でもない」と結んだ。

アトランタ地区連銀が発表した米1-3月期GDP予想は、従来の2.7%増から2.6%増へ下方修正された。それでも、エコノミスト平均値2.2%付近を上回る。

▽MBA住宅ローン申請件数指数、金利低下で借換需要を刺激

全米抵当貸付銀行協会(MBA)住宅ローン申請件数指数は、2月12日週に前週比8.2%上昇し544.9だった。2週連続で大幅な伸びを遂げている。特に借換が16.0%上昇の2456.7と、6週連続でプラスを示した。新規は3.7%低下の213.3と、前週の0.2%上昇から鈍化した。前年比(季節調整前)は全体で24.7%上昇し、前週の0.3%の低下から大きく上振れ。前週比で弱含んだ新規は29.8%上昇し前週の25.1%から伸びを拡大させ、借換も22.1%上昇し前週の11.6%の低下から反転させている。

MBA住宅ローン申請件数指数、直近は借換が支え。

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(作成:My Big Apple NY)

30年固定金利型の住宅ローン金利(平均)は3.83%と、前週の3.91%から低下した。世界同時株安が波及し日銀がマイナス金利導入を決定するなか、安全資産である国債へ資金が流入、住宅ローン金利もつれて2013年5月以来の低水準を示した2015年1月30日週の 3.79%に迫りつつある。15年固定金利型(平均)は前週の3.18%から3.11%へ低下し、直近で最低を更新。FHAのローン金利も3.67%と、前週の3.80%を下回った。

申請全体に占める借換の割合は65.4%と、前週の61.0%から上昇した。2009年6月以来の低水準となった2015年7月3日週の48.0%から切り返した水準を維持。ただし2013年5月以来の高水準となった2015年1月16日週の73.9%からは、大きく遠ざかったままだ。

——米1月住宅着工件数・一戸建てのうち75%が販売目的とされるため、54.8万件が住宅市場に流れ込む見通しです。米12月新築住宅販売件数に近い水準で、在庫増加は見込みづらい数字になりました。また、今回の米住宅着工件数の鈍化が米2月NAHB住宅市場指数と比例している点は気掛かり。1)世界同時株安で資産効果が剥落した高所得者層の買い控え、2)世界景気減速に伴う外国人バイヤーの先細り、3)金利低下局面でも、厳しい住宅ローン審査――などを背景に、鈍化するリスクが浮上してきました。特に3)は、金利低下でもMBA住宅ローン申請件数指数で新規がさえないところを見ても、気掛かりです。

(カバー写真:Juan Camilo Trujillo/Flickr)

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