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米1月CPI、前年比コアは12年6月以来の高水準と予想外の上振れ

by • February 22, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off3123

Consumer Price Index Accelerates, Core Hits 3-1/2 High.

米1月消費者物価指数(CPI)は前月比±0%で、市場予想並びに前月の0.1%の低下より強い結果となった。原油先物が2009年3月以来の水準まで下落したため、エネルギーが2.8%低下し前月に並んだ。そのうちガソリン価格も4.8%低下し、エネルギーと合わせ2ヵ月連続で下振れしている。エネルギー情報局(EIA)によると、ガソリン平均価格は2015年6月に一時2.835ドルと2014年11月の水準まで切り返した後、1月は一時1.856ドルへ下落。2009年3月以来の2ドル割れに至った。食品・飲料は±0%となり、2ヵ月連続でのマイナス圏から脱した。

CPIコアは3ヵ月連続で前月比0.3%上昇し、市場予想および前月の0.2%(0.1%から上方修正)を超えた。2011年8月以来の高水準に並ぶ。サービスが0.3%上昇し、前月の0.1%から加速し直近で最高に。これまで伸びを牽引していた医療費が0.5%上昇し、少なくとも1997年以来で最高を記録した2015年10月の0.8%に次ぐ水準を示した。服飾も北東部を中心に大寒波と積雪に見舞われた影響で0.6%上昇し、5ヵ月ぶりに大幅反発している。娯楽も0.2%上昇し、前月の±0%を超え3ヵ月ぶりにプラスへ転じた。0.2%の低下から回復も横ばいにとどまった。航空運賃は、パリ同時多発テロ事件やサンバーナディーノ銃乱射事件を背景にテロ警戒が高まった2015年12月に0.1%低下したものの、今回は1.2%上昇した。足元横ばいが続いた新車は0.3%上昇、中古車も前月の0.2%に続き0.1%上昇している。シェアの大きい帰属家賃は前月に続き0.2%上昇し、堅調なペースを維持。家賃も0.3%と、17ヵ月連続で上昇した。住宅は0.3%上昇し、9ヵ月連続で上向いた。

CPIの前年比では1.4%上昇し前月の0.7%から加速し、2014年10月以来で最高を示した。ただ、市場予想の1.3%も上回った。CPIコアの前年比は2.2%上昇し、市場予想および前月の2.1%を超えた。2012年6月以来の高水準に並ぶ。

Fedが注目するコアPCE(実線、青と赤)より、コアCPI(点線、緑)は加速。
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(作成:My Big Apple NY)

JPモルガンのマイケル・フェローリ米主席エコノミストは、結果に対し「過去1年半の間にドルが20%上昇し原油先物が70%下落したなかで、今回の上振れは国内の下振れ圧力が安定してきた可能性を示す」と評価した。米1月個人消費支出(PCE)コア・デフレーターの見通しも、「前月比は0.2%、前年比は2015年12月の1.4%から1.6%への加速を予想する。ただし「当方の6月利上げ予想が依然として手堅い状況ではない」と指摘。理由として「インフレ見通しが低迷する上、Fedは2000年2月からCPIではなく個人消費支出(PCE)に重点を置くと変更した」ことを挙げた。

――米1月輸入物価指数が下振れしたのみで、米1月生産者物価指数(PPI)と合わせ米1月CPIは加速しました。インフレの上向きに反応し、クリーブランド連銀のメスタ―総裁(投票権あり)は19日に「経済は底堅く、ゆるやかな利上げの道筋にある」との見解を表明。その一方で1月開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録では、金融市場の混乱や世界経済減速の懸念に対応し追加利上げに急がないスタンスを明らかにしていました。もっとも、米2月ミシガン大学消費者信頼感・速報値の5-10年先インフレ見通しが統計開始以来で最低に、かつ5年物・5年先ブレークイーブン・インフレ率が11日に1.352%と過去最低を更新した後も1.4%付近で推移する状況。しかも米国の国内総生産(GDP)発表のスケジュールも併せ、3~6月利上げは難しいように映ります。

(カバー写真:frankieleon/Flickr)

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