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米3月ADP全国雇用者数、20万人台を維持し労働市場に安心感

by • March 31, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off2187

Private Sector Job Creation On ‘Amazing’ Streak.

米3月ADP全国雇用者数と、MBA住宅ローン申請件数指数を振り返ります。

米3月ADP全国雇用者数は前月比20.0万人増となり、市場予想の19.5万人増を上回った。前月の20.5万人増(21.4万人増から下方修正)と合わせ2ヵ月連続で大台に乗せ、2015年の平均値20.7万人増に近い数字となる。2010年2月以来の増加トレンドも保った。なおADP全国雇用者数は民間のみであり、政府を含まない。

ADP全国雇用者数、2011年以降の平均値も上回る水準。

adp
(作成:My Big Apple NY)

内訳は、以下の通り。

▽企業規模別
中小企業 16.1万人増>前月は12.8万人増、6ヵ月平均は15.0万人増
大企業 3.9万人増<前月は7.7万人増、6ヵ月平均は6.0万人増

▽業種別
サービス業 19.1万人増<前月は20.4万人増、6ヵ月平均は16.9万人増
米3月マークイット・サービス業PMI速報値の雇用は前月から改善、米2月ISM非製造業景況指数の雇用は49.7、2012年4月以来の分岐点割れ)
・貿易/輸送/公益 4.2万人増、直近で最高>前月は2.4万人増、6ヵ月平均は3.5万人増
・専門/ビジネス・サービス(派遣を含む) 2.8万人増、5ヵ月ぶり低水準<前月は5.1万人増、6ヵ月平均は4.3万人増
・金融 1.4万人増>前月は0.8万人増、6ヵ月平均は1.3万人増

財生産業 0.9万人増>前月は0.2万人増、6ヵ月平均は
米3月マークイット製造業PMI・速報値は52.1と前月の51.8から上昇、米2月ISM製造業景況指数の雇用は48.5と前月の45.9から改善)
・建設 1.7万人増<前月は2.4万人増、6ヵ月平均は2.0万人増
・製造業 0.3万人増>前月は0.9万人減と4ヵ月ぶりに減少、6ヵ月平均は0.2万人増

ADPとともに統計を担当するムーディーズ・アナリティクスのマーク・ザンディ主席エコノミストは、結果を受けて「労働市場は素晴らしい(amazing)モメンタムを維持し、3月の結果は過去4年間の月平均に沿う」と振り返った。雇用が減少している産業はエネルギー関連のみで、「あらゆるセクターで雇用が伸びている」と評価する。

バークレイズのジェシー・ヒューウィッツ米エコノミストは、今回の結果を踏まえ「「米3月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)の予想を22.5万人増で据え置く」とまとめた。ブルームバーグのエコノミスト予想平均値の20.5万人増を上回る数字に設定している。2月の24.2万人増からは、鈍化する見通しだ。

――3月米連邦公開市場委員会(FOMC)声明文で「労働資源の活用不足」を削除し、イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長も講演で労働市場のモメンタムを評価したように、雇用は堅調な軌道を描いています。足元のFF金利先物動向では、6月利上げ織り込み度は22%程度で、前週の46%から低下。織り込み度の50%超えは、12月という状況です。米3月雇用統計で好結果が出れば再び利上げ見通しが前倒しされる余地が残るものの、賃金動向が改善するか注目です。

▽MBA住宅ローン申請件数指数、金利低下でも2週連続で低下

全米抵当貸付銀行協会(MBA)住宅ローン申請件数指数は、3月25日週に前週比1.0%低下し460.5だった。3週続けて、低下している。特に借換が3.3%低下の1784.7と、6週連続でマイナスに。逆に新規は2.1%上昇の228.6.と、過去4週間で3回目の上昇を示す。米連邦公開市場委員会(FOMC)で年内利上げ示唆が4回から2回へ修正されたものの、米指標の改善を背景にセントルイス連銀のブラード総裁など4月利上げに言及したため、借換については需要を低下させ新規は駆け込み需要を刺激したとみられる。MBA住宅ローン申請件数指数の前年比(季節調整前)は1.7%上昇し、前週の7.3%上昇から鈍化した。新規が21.0%上昇(前週は25.3%の上昇)と上げ幅を狭め、借換に至っては11.2%の低下と前週の9.6%の上昇から失速した。

30年固定金利型の住宅ローン金利(平均)は3.94%と、前週の3.93%から上昇した。1年前の水準である3.89%も超えている。15年固定金利型(平均)は前週の3.18%から3.19%へ上昇。FHAのローン金利のみ3.825と、前週の3.85%を下回った。

申請全体に占める借換の割合は52.9%と、前週の53.9%から低下した。2009年6月以来の低水準となった2015年7月3日週の48.0%から切り返した水準を維持。ただし2013年5月以来の高水準となった2015年1月16日週の73.9%からは、大きく遠ざかったままだ。

――セントルイス連銀のブラード総裁をはじめアトランタ連銀のロックハート総裁、サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁などが上半期の利上げを支持するような発言が飛び出すなかで、新規が上昇したことは心強い。米2月中古住宅販売件数では購入別内訳で新規のシェアが低下していたものの、金利上昇が顕著となる前に需要を押し上げた可能性を残します。ただ金利が低下しFedも利上げしないとなれば、こうした需要が後ろ倒しとなるリスクもはらみます。

(カバー写真:Andrés García/Flickr)

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