米3月リッチモンド連銀製造業景況指数、約6年ぶりの水準へ急伸

by Sawako • March 23, 2016 • Finance, Latest News • Comments Off • 2327

Richmond Manufacturing Index Hits Highest Since 2010.

米3月リッチモンド連銀製造業景況指数、米3月マークイット製造業PMI・速報値、米1月住宅価格指数をおさらいしていきます。

米3月リッチモンド連銀製造業景況指数は22となり、市場予想の0を上回った。前月のマイナス4から改善し、2010年4月以来の高水準へ急伸している。内訳は以下の通りで、新規受注や稼働率が分岐点を回復し大幅に上昇したほか、雇用や賃金なども10ポイント以上の伸びを達成した。項目別の詳細は、以下の通り。

・新規受注　24、分岐点を回復し2010年4月以来の高水準＞前月はマイナス6、6ヵ月平均は2
・出荷　27、分岐点を回復し1994年8月以来の高水準＞前月はマイナス11、6ヵ月平均はマイナス4
・稼働率　17、分岐点を回復＞前月はマイナス5、6ヵ月平均はマイナス3
・在庫／最終財　18、2014年10月以来の低水準＜前月は20、6ヵ月平均は22

・雇用　11、分岐点乗せを継続し3ヵ月ぶりの高水準＞前月は9、6ヵ月平均は6
・平均労働時間　16、4ヵ月連続で分岐点乗せ2010年4月以来の高水準＞前月は5、6ヵ月平均は2
・賃金　20、分岐点乗せを維持し2010年4月以来の高水準＞前月は10、6ヵ月平均は15

・仕入れ価格　0.6％、分岐点乗せ維持し3ヵ月ぶりの高水準＞前月は0.16％、6ヵ月平均は1％
・販売価格　0.4％、分岐点乗せを維持＞前月は0.29％、6ヵ月平均は0％

リッチモンド連銀製造業景況指数、ご覧の跳躍を果たす。

（作成：My Big Apple NY）

6ヵ月先見通しも、ヘッドラインと合わせ上昇が目立つ。項目別では新規受注が2桁の伸びだったほか出荷、稼働率、平均労働時間、賃金、仕入れ価格、販売価格など主要項目が軒並み上昇している。反対に雇用は横ばいで、設備投資は低下した。

▽米3月マークイット製造業PMI速報値、前月から小幅に改善

米3月マークイット製造業PMI・速報値は51.4となり、市場予想の51.9に届かなかった。ただし、2012年10月以来の水準へ落ち込んだ前月の51.3をわずかながら上回る。金融危機以前の平均値54.1以下なだけでなく、3ヵ月平均は51.7と2012年7－9月期以来で最低だった。内訳をみると、新規受注が52.3から52.8へ、雇用も前月の51.8から52.1へ上昇した。新規受注も前月の49.1から50と分岐点を回復しており、ヘッドラインが示すより改善が目立つ数字となっている。

マークイットのクリス・ウィリアムソン主席エコノミストは、改善を評価しつつ「受注伸び率は懸念すべき低水準であり、年初の1～2ヵ月間に天候要因を挙げた企業が多かった割に力強い反発を遂げられなかった点は失望を招く」と振り返った。サービス業PMIも弱い状態が続いており、「米1－3月期GDPは非常に控え目な数字に収まるだろう」と見込む。

▽米1月住宅価格指数、4ヵ月連続で0.5％上昇

米住宅金融公社（FHFA）が発表した米1月宅価格指数は前月比0.5％上昇し、市場予想に並んだ。前月の0.5％（0.4％から上方修正）を含め、13ヵ月連続でプラスを示す。前年比では6.0％上昇し、前月の5.7％から加速。国勢調査ベースの9地域別では7地域で上昇、前月の8地域には届いていない。

FHFAが公表する住宅価格指数は、米連邦住宅貸付機関監督局（OFHEO）傘下のFHFAの場合はプライム層向けの住宅価格がメインで、融資額が政府保証機関（GSE）の買取基準額を超えるジャンボローンや、低所得者層向けのサブプライムを含んでいない。従ってS＆Pケース／シラー住宅価格指数とは対象が異なり、数字自体は現状より強めの数字が出ると言われている。こうした背景からFHFAは2011年6月分から、フレディマックやファニーメイなどGSE以外のローンを含んだ住宅価格指数を拡大版として、公表を開始した。

――NY連銀、フィラデルフィア連銀などに合わせリッチモンド連銀製造業景況指数は分岐点へ切り返しました。ドル高が一服し米国の利上げペースが想定以上に緩やかであることを確認したためか、製造業景況指数は好転しています。マークイット製造業PMIも、わずかとはいえ前月を上回り底打ちの様相を呈し始めました。米2月鉱工業生産が表すように製造業活動が回復しており、ダラス連銀製造業景況指数やカンザスシティ連銀製造業景況指数にも回復が波及しそうです。

（カバー写真：Miles Banbery/Flickr）

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