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米5月NY連銀製造業景況指数、真っ逆さまに分岐点割れ

by • May 16, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off2650

NY Fed Manufacturing Index Surprisingly Turns Negative.

米5月NY連銀製造業景況指数と、米5月NAHB住宅市場指数をおさらいしていきます。

米5月NY連銀製造業景況指数(エンパイア)はマイナス9.02となり、前月の9.56をほぼ打ち消した。もちろん、市場予想の7.00にはかすりもせず。3ヵ月ぶりに分岐点割れヘ戻した。項目別では、新規受注をはじめ出荷など主要項目が分岐点割れへ再び突入した。雇用は分岐点を確保し仕入れ価格などがプラス圏を維持したことがグッドニュースとなった程度で、平均労働時間などその他も軟調だ。詳細は、以下の通り。

エンパイア、現況指数は分岐点割れし見通し指数も鈍化(ブルーが現況、グレーが見通し)。

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(出所:Federal Reserve Bank Of New York)

・新規受注 マイナス5.54、3ヵ月ぶりに分岐点割れ<前月は11.14と2014年9月以来の高水準で2ヵ月連続で分岐点乗せ、6ヵ月平均はマイナス4.36
・出荷 マイナス1.94、3ヵ月ぶりに分岐点割れ<前月は10.17、6ヵ月平均は0.13
・在庫 マイナス7.29、年初来で最低<前月はマイナス4.81、6ヵ月平均はマイナス6.19

・雇用 2.08、2015年7月以来で最高>前月は1.92、6ヵ月平均はマイナス4.69
・平均労働時間 マイナス8.33、3ヵ月ぶりに分岐点割れで5ヵ月ぶり低水準<前月は1.92、6ヵ月平均はマイナス7.27

・仕入れ価格 16.67<前月は19.23、2014年9月以来の高水準、6ヵ月平均は10.31
・販売価格 10.42>2.88、6ヵ月平均は9.88

・入荷時間 マイナス6.25、分岐点割れへ戻し5ヵ月ぶり低水準<前月は0.96、6ヵ月平均はマイナス5.39
・受注残 マイナス6.25、分岐点割れへ戻し5ヵ月ぶり低水準<マイナス0.96、6ヵ月平均はマイナス7.54

6ヵ月先見通し指数は28.48と、2015年8月以来の高水準だった前月の29.40から鈍化した。もっとも、2009年2月以来の低水準だった1月の9.58から改善をたどる。項目別でも、鈍化が優勢。内訳をみると、現況指数と同じく新規受注(22.43<前月は36.55)をはじめ出荷(24.37<前月は37.18)、設備投資(3.13<前月は22.12)は2桁の下げ幅を記録した。また現況指数では上向いた雇用(10.42<前月は13.46)が下向き、平均労働時間(5.21<前月は10.58)も低下した。一方で仕入れ価格(28.13>前月は27.88)のほか販売価格(6.25>前月は5.77)、在庫(0>前月はマイナス1.92)は上向いた。

▽米5月NAHB住宅市場指数、4ヵ月連続で58

米5月NAHB住宅市場指数は58となり、市場予想の59を下回った。前月と合わせ、4ヵ月連続で2015年5月以来の低水準。金利が低位安定で推移するものの、2015年9月に10年ぶりの最高に達した65で一旦のピークアウトを示した。

内訳をみると、一戸建て現況指数が63で、前月通り2015年4月以来の水準に下振れしたままだ。景気回復サイクルで最高だった2015年9月の70から乖離を広げつつある。一戸建て見通し指数は65と前月の62から改善し、5ヵ月ぶりの高水準。とはいえ、少なくとも2005年10−12月期以来の高水準を達成した2015年9月の75から遠ざかったままだ。見込み客指数は44と、前月と変わらず。2015年5月以来の水準へ急落した39からも上昇を続けつつ、2014年9月以来で最高を示した2015年11月の48を下回った水準を維持した。

見通し指数のおみ、上向きを示す。
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(作成:My Big Apple NY)

4大地域別での住宅市場指数は、2地域が上昇し前月のゼロから改善した。今回は石油生産州を含む南部が60と前月から2ポイント上昇、中西部も前月の56から59へ上昇した。IT産業が集まる西部は、4ヵ月連続で67。北東部のみ前月の41から36へ落ち込み、少なくとも過去1年間で初めて40を割り込んだ。

発表元である全米ホームビルダー協会(NAHB)のエド・ブレイディ会長は、結果を受け「NAHB住宅市場指数は4ヵ月連続で58となり、一戸建てセクターが分岐点超えで堅調に推移する可能性を示す」と評価した。ただし「規制強化や供給不足の問題を抱える」と付け加え、楽観トーン一色というわけでもない。ロバート・ディエス主席エコノミストは「見通し指数が上向いたのは、住宅市場に対する自信の裏打ち」と指摘。雇用、低金利、ペントアップ・ディマンドなどが「一戸建て市場の成長を牽引する」と前回と変わらず明るい見通しを寄せた。

——米5月NY連銀製造業景況指数は、4月にフィラデルフィア連銀製造業景況指数をはじめ製造業景況指数が鈍化を示すなかひと足遅れて腰折れしました。ドル高一服と原油買い戻しで舞い上がったセンチメントは、あらためて需要の低迷を確認し押し返されたのでしょうか。1−3月期の決算を振り返ると産業財は比較的健闘していましたが、減益・減収は変わらず。初夏を迎えながら、まるで冬へ逆戻りしつつあるかのようです。

米5月NAHB住宅市場指数は、MBA住宅ローン申請件数指数と整合的で新規需要の伸び悩みを感じさせました。。金利上昇局面では需要を冷やすこと必至で、Fedは慎重な舵取りが求められます。

(カバー写真:Bernd Thaller/Flickr)

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