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米新規失業保険申請件数は低水準、継続需給数は増加

by • September 2, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off1550

Jobless Claims Fall, Continuing Claims Rise.

米新規失業保険申請件数は8月27日週に26.3万件と、市場予想の26.5万件を下回った。前週の26.1万件からも減少。労働省は特殊要因を指摘しなかったが、30万件割れは78週連続で1973年以来の最長とのコメントを寄せた。4週平均は26万3000件と、6月25日週以来の水準へ増えた前週分の26万4000件(修正値)を下回った。1973年以来で最低を示した4月23日週の25万6000件を超えた水準を保つ。

8月27日週までの継続受給者数は215.9万人と、前週の214.5万人(修正値)を上回った。被保険者に占める失業者の割合は6週連続で1.6%となり、過去最低の1.5%を上回った水準を維持している。

継続受給者数、今週は再び増加に反転。

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(作成:My Big Apple NY)

8月27日週の州別動向は、以下の通り。

(増加が顕著だった州)
・ミシガン 2652人増→卸売が牽引
・ルイジアナ 2280人増
・ノースダコタ 493人増
・プエルトリコ 352人増
・ペンシルベニア 325人増

(減少が顕著だった州)
・カリフォルニア 2692人減→サービス産業が牽引
・バージニア 1168人減→製造業が牽引
・オレゴン 985人減
・メリーランド 675人減
・バージニア 544人減

▽米Q2労働生産性は低下、単位労働コストは上振れで業績圧迫懸念

米4~6月期労働生産性・速報値は年率0.6%低下し、市場予想に並んだ。速報値の0.5%の低下から下方修正。前期の0.6%の低下に続き、3期連続でマイナスとなる。米4~6月期国内総生産(GDP)改定値に歩調を合わせ、低調な生産動向を裏打ちした。内訳は、以下の通り。

・生産  1.1%、上昇トレンドを維持<速報値1.2%、前期は0.7%と直近で最低
・労働時間 1.7%、3期連続で上昇<速報値1.8%、前期は1.4%
・時間当たり賃金 3.7%>速報値1.5%、前期は0.8%の低下
・実質賃金 1.1%の上昇>速報値は1.1%の低下、前期は0.4%の低下
・単位労働コスト(一定量を生産するために必要な労働経費を示す) 4.3%、6期ぶり高水準>速報値3.0%、前期は1.8%

労働生産性、リセッション後は低迷継続。

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(作成:My Big Apple NY)

4~6月期の労働生産性は前年同期比で0.4%低下し、2013年4~6月期以来、3年ぶりのマイナスに反転した。生産性の低下を受けて、単位労働コストは2.6%上昇し前期の2.4%を超え、再加速の気配が伺える。業績を圧迫するとみられ、2015年からの業績リセッションは下半期に幕引きの見通しながら7~9月期に売上の増収のみにとどまり増益に転じるのは少なくとも10~12月期となりそうだ。

――米新規失業保険信施件数は引き続き文句ない水準で推移する一方、継続受給者数の増加が今週は前週値を下回ったとはいえ減少に歯止めが掛かっている点が気掛かり、失業率の低下一服と整合的で、非労働力人口が意識されます。労働市場の環境変化を受け労働力としてカムバックした長期失業者が職にありつけていないのではないでしょうか。Fedはイエレン議長をはじめ、完全雇用に近づいたと発言するものの、まだ労働市場にたるみ=slackがあるとすれば、失業率が上向きに転じる可能性は拭えません。

労働生産性が低下を続けるなかで単位労働コストが上昇したとあって、企業収益を圧迫する構図は変わらず。労働者にはポジティブ要因ながら、反動が懸念されます。

(カバー写真:Tax Credits/Flickr)

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