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米10月リッチモンド連銀製造業景況指数、分岐点割れ維持も下げ幅縮小

by • October 26, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off1425

Richmond Fed Manufacturing Index Recovers Mildly.

米10月リッチモンド連銀製造業景況指数、米8月S&Pケースシラー住宅価格指数、米8月住宅価格指数をおさらいしていきます。

米10月リッチモンド連銀製造業景況指数はマイナス4となり、市場予想に並んだ。前月のマイナス8からは下げ幅を縮めつつ、3ヵ月連続で分岐点割れ。内訳をみると出荷が3ヵ月ぶり、雇用も前月から分岐点を回復した。また賃金も前月を上回ったほか、稼働率などマイナスに落ち込んだ一角も下げ幅を縮めた。

・出荷 2、3ヵ月ぶりに分岐点乗せ>前月はマイナス4、6ヵ月平均はマイナス
・新規受注 マイナス12、3ヵ月連続で分岐点割れ<前月はマイナス7、6ヵ月平均はマイナス7
・稼働率 マイナス5、3ヵ月連続で分岐点割れ>前月はマイナス11、6ヵ月平均はマイナス8
・在庫(最終財) 18<前月は20、6ヵ月平均は20

・雇用 3>前月はマイナス13と2013年8月以来の分岐点割れで2009年6月以来で最低<前月は7、6ヵ月平均は1
・平均労働時間 マイナス3、再び分岐点割れ<前月は1、6ヵ月平均はマイナス1
・賃金 18>前月は13、6ヵ月平均は16

・仕入れ価格 1.17>前月は1.1、6ヵ月平均は1.0
・販売価格 0.64>前月は0.07、6ヵ月平均は0

6ヵ月見通し指数も、上昇が優勢。出荷、新規受注、稼働率などこぞって上向き、雇用に至っては10ポイント以上もの急伸を遂げた。

リッチモンド連銀製造業景況指数、原油価格の上昇が支えに。

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(出所:Federal Reserve Bank Of Richmond)

――NY連銀フィラデルフィア連銀と一線を画し、シェール田などを有するリッチモンド連銀はマークイット製造業PMI・速報値と足並みを並べ改善しました。雇用にも裾野が広がっており、原油価格が51ドルに乗せ1年3ヵ月ぶりの高値をつけた恩恵も影響を与えたことでしょう。一方でゼネラル・エレクトリック(GE)キャタピラーをはじめとした産業財機器メーカーの業績は見通し引き下げなど悪材料が相次ぎ、必ずしも環境が好転しているようには見えません。

▽米8月S&P/ケースシラー住宅価格指数、前月から伸び加速

米8月S&P/ケースシラー住宅価格指数(季節調整前、20都市別)は前年同月比5.13%上昇の184.42となり、市場予想の5.0%を上回った。前月の4.98%(5.02%から下方修正)からも改善し、4ヵ月ぶりの力強い伸びに。5%台の伸びを回復し、3年4ヵ月連続でプラス圏を保つ。季節調整済み・20都市別の前月比は0.24%の上昇と、市場予想の0.10%を上回った。3ヵ月ぶりにプラスに転じた前月の0.02%よりも高い伸びを示す。

季調済みの前月比では、上昇した都市が15となり前月の12から増えた。トップはカリフォルニア州サンフランシスコが入り0.96%の上昇。2位はワシントン州シアトルで0.80%の上昇、3位はフロリダ州マイアミで0.58%の上昇と、それぞれ前月の圏外から3位以内にランクアップした。ワースト1位はミシガン州デトロイトで0.15%の低下、次いで前月に最も弱かったイリノイ州シカゴが0.11%の低下と3ヵ月連続で低下。3位はネバダ州ラスベガスで0.09%低下していた。

▽米8月住宅価格指数は5ヵ月ぶりの強い伸び、全地域で上昇

米住宅金融公社(FHFA)が発表した米8月宅価格指数は前月比0.7%上昇し、市場予想の0.4%を上回った。前月の0.5%の上昇を超え、5ヵ月ぶりの高水準。20 ヵ月連続でプラスを示す。前年比は6.4上昇し、前月の5.8%から加速、1〜3月の6%台へ戻した。国勢調査ベースの9地域別では7月に続き全て上昇した。

FHFAが公表する住宅価格指数は、米連邦住宅貸付機関監督局(OFHEO)傘下のFHFAの場合はプライム層向けの住宅価格がメインで、融資額が政府保証機関(GSE)の買取基準額を超えるジャンボ・ローンや、低所得者層向けのサブプライムを含んでいない。従ってS&Pケース/シラー住宅価格指数とは対象が異なり、数字自体は現状より強めの数字が出ると言われている。こうした背景からFHFAは2011年6月分から、フレディマックやファニーメイなどGSE以外のローンを含んだ住宅価格指数を拡大版として、公表を開始した。

――米8月S&P/ケースシラー住宅価格指数とFHFAが発表する米8月住宅価格指数はそろって伸びを加速させました。ただ米9月中古住宅販売件数が3ヵ月ぶりの水準を回復したように、価格自体は頭打ち状態。手頃な住宅が先に買われていくのでしょうが、米8月新築住宅販売件数と合わせ価格自体が上振れしている様子はありません。金利上昇が住宅購入の足枷となるなか、S&P/ケースシラー住宅価格指数とFHFAが発表する住宅価格指数は9月に低下する余地を残します。

(カバー写真:Bill Dickinson/Flickr )

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