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12月の製造業景況指数、エンパイアとフィリーは現況と見通し共に急伸

by • December 16, 2016 • Finance, Latest NewsComments Off2119

Philly, Empire Manufacturing Indicators Jump Boosted By Trump Hype.

米12月NY連銀製造業景況指数、米12月フィラデルフィア連銀製造業景況指数、米11月鉱工業生産をおさらいしていきます。

米12月NY連銀製造業景況指数(エンパイア)は9となり、市場予想の4より強い結果となった。前月の1.5を超え、8ヵ月ぶりの高水準。項目別では、新規受注が一段と上昇したほか出荷も前月と変わらずながら堅調。一方で雇用が下げ幅を拡大し明暗が分かれている。詳細は、以下の通り。

・新規受注 11.4、2ヵ月連続で分岐点に乗せ2014年9月以来の高水準>3.1、6ヵ月平均は0.1
・出荷 8.5、2ヵ月連続で分岐点乗せ=前月は8.5、6ヵ月平均は2.8
・在庫 マイナス13.9、10ヵ月連続で分岐点割れ>前月はマイナス23.6、6ヵ月平均はマイナス12.5

・雇用 マイナス12.2、6ヵ月連続で分岐点割れで年初来最低<前月はマイナス10.9、6ヵ月平均はマイナス7.9
・平均労働時間 マイナス7、4ヵ月連続で分岐点割れ>前月はマイナス10.9、6ヵ月平均はマイナス7.2

・仕入れ価格 22.6、2014年9月以来の高水準>前月は15.5、6ヵ月平均は18.7
・販売価格 3.5、6ヵ月連続で分岐点乗せ>前月は2.7、6ヵ月平均は2.7

・入荷時間 マイナス7.8、5ヵ月連続で分岐点割れ<前月はマイナス5.5、6ヵ月平均はマイナス5.3
・受注残 マイナス10.4、8ヵ月連続で分岐点割れ>前月はマイナス12.7、6ヵ月平均はマイナス11.1

6ヵ月先見通し指数は50.2と前月の29.9から急伸、2010年11月以来で最高を記録した。

▽米12月フィリー、前月から鈍化も詳細は堅調

米12月フィラデルフィア連銀製造業景況指数(フィリー)は21.5となり、市場予想の9.1を大幅に上回った。前月の7.6から急伸し、2015年1月以来の高水準を遂げている。主要な項目の内訳をみると、雇用が年初来で最高に達し全体を牽引したほか、出荷や仕入れ価格も上昇した。ただし新規受注や在庫は下振れしている。詳細は、以下の通り。

・新規受注 13.9、4ヵ月連続で分岐点乗せ<前月は18.6と2014年11月以来の高水準、6ヵ月平均は9.1
・出荷 22、3ヵ月連続で分岐点に乗せ9ヵ月ぶりの高水準>前月は19.5、6ヵ月平均は10.5
・在庫 1.1<前月は23.4、2015年7月以来の分岐点を回復、6ヵ月平均はマイナス6.3

・雇用 6.4、年初来で初の分岐点回復>前月はマイナス2.6、6ヵ月平均はマイナス4.5
・週当たり平均労働時間 9.8、2ヵ月連続で分岐点に乗せ2014年11月以来の高水準>前月は7.4、6ヵ月平均はマイナス2.0

・受注残 5.7、2ヵ月連続で分岐点に乗せ2014年10月以来の高水準>前月は4.1、6ヵ月平均はマイナス2.5
・入荷時間 7.6、2ヵ月連続で分岐点に乗せ2014年10月以来の高水準>前月は6.1、6ヵ月平均は0.3

・仕入れ価格 29.4、9ヵ月連続で分岐点乗せ2012年2月以来の高水準>前月は27.5、6月平均は19.0
・販売価格 5.8、2ヵ月連続で分岐点乗せ<前月は16、2015年12月以来の分岐点乗せ、6ヵ月平均は5.9

6ヵ月先見通し指数は52.6と、前月の29.3を超え2015年1月以来の高水準を達成した。

製造業景況指数、金利上昇・ドル高局面でもセンチメントに劇的に好転。

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(作成:My Big Apple NY)

▽米11月鉱工業生産、暖冬が米大統領選後のフィーバー打ち消す

米11月鉱工業生産指数は前月比0.4%低下し、市場予想の0.3%より下げ幅を広げた。前月の0.1%の上昇(±0%から上方修正)から、再び下振れし2015年11月以来の低水準。稼働率は75.0%と、市場予想の75.1%に届かず。10月の75.4%(75.3%から上方修正)も下回り、2015年10月以来の力強さを示した8月の75.9%でピークアウト感が漂う。リセッション前の80%は依然として遠い。

内訳をみると、製造業(全体の78.47%)が3ヵ月ぶりに低下した。米11月新車販売台数が前月から鈍化したように、自動車の落ち込みが激しい。自動車を除いた製造業は0.1%の上昇と、小幅ながら3ヵ月連続で上昇していた。コンピューター・電子機器が堅調で、機械の弱さを埋めている。一方で公益(全体の10.76%)は平年を上回る気温を背景に3ヵ月連続で低下し、全体の足を引っ張った。鉱業(全体の10.76%)は、原油先物が40~50ドル台で安定推移するなか、2ヵ月連続でプラスをたどる。

・製造業 0.1%の低下<前月は0.3%の上昇、6ヵ月平均は0.1%の上昇
あ自動車 2.3%の低下<前月は0.9%の上昇、6ヵ月平均は1.0%の上昇
あ機械 1.5%の低下<前月は0.4%の上昇、6ヵ月平均は0.1%の上昇
あコンピューター/電気製品 0.5%の上昇<前月は1.3%の上昇、6ヵ月平均は0.4%の上昇

・公益 4.4%の低下<前月は2.8%の低下、6ヵ月平均は0.7%の低下
あ電力 4.7%の低下<前月は2.6%の低下、6ヵ月平均は0.5%の低下
あ天然ガス 1.0%の上昇>前月は2.0%の低下、6ヵ月平均は1.9%の低下

・鉱業 1.1%の上昇<前月は1.9%の上昇、6ヵ月平均は0.6%の上昇

鉱工業生産、前年比は15ヵ月連続で低下も下げ幅は縮小。

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(出所:FRBより作成、My Big Apple NY)

――エンパイアとフィリーは、共に力強い内容でした。見通し指数の躍進ぶりは目覚ましく、トランプ次期大統領がいかに製造業活動の信頼感を高めたかが伺えます。フィリーでは雇用も分岐点を回復し、労働市場の拡大に期待が募りますよね。ただフィリーでは販売価格が急低下し利ザヤ縮小のリスクをはらみ、エンパイアでは肝心の雇用が下振れするなど全方位で絶好調とはなりませんでした。

米11月鉱工業生産は、製造業センチメントと裏腹な結果となりました。暖冬を背景とした公益に加え、今回は自動車も下振れし弱い。さすがにトランプ次期大統領の期待感だけで、生産活動が持ち上がるはずもなく。期待先行のトランプ・ラリーを支えるには、政策の実効性が求められます。

(カバー写真:Bernd Thaller/Flickr)

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