8351496476_e6bd91ca45_z

米2月NFIB中小企業楽観度指数、2004年の高水準から鈍化

by • March 15, 2017 • Finance, Latest NewsComments Off1535

NFIB Small Business Optimism Edges Down From 13-Year High.

米2月NFIB中小企業楽観度指数と米2月生産者物価指数をおさらいしていきます。

米2月NFIB中小企業楽観度指数は105.9となり、市場予想の105を上回った。ただ2004年12月以来の高水準だった前月の105.8から、若干低下している。なお同指数は、米連邦準備制度理事会(FRB)が公表する労働市場情勢指数(LMCI)に含まれる。

発表元である全米独立企業盟(NFIB)のウィリアム・ダンケルベルグ主席エコノミストは、結果に対し「高まる期待に反し雇用増加や設備投資拡大といった実際の行動を伴っていない」と指摘。その上で「中小企業オーナーは医療保険コストや税制改革を注視しており、対応が講じられなければ楽観度が後退するだろう」と予想した。

楽観度指数のうち「雇用を増加させる」との回答も2006年11月以来の高水準から低下。

nfib

(作成:My Big Apple NY)

内訳をみると、13項目中プラス圏にのせた項目は2016年11~17年1月に続き10項目だった。今回は「経済がより良くなる」が2002年3月以来の高水準を達成した2016年12月から2ヵ月続けて低下した。そのほか「設備投資を拡大」、「売上の拡大を予想」、「事業拡大に良いタイミング」、「賃金」、「賃上げ見通し」なども軒並み前月を下回っている。以下は、項目ごとの変化。

「経済がより良くなる」47%<前月は48%、6ヵ月平均は25%
「求人件数」32%>前月は31%、6ヵ月平均は29%
「設備投資を拡大した」26%<前月は27%、6ヵ月平均は27%
「売上の拡大を予想」26%<前月は29%、6ヵ月平均は17%
「賃金」26%<前月は30%、6ヵ月平均は25%

「事業拡大に良いタイミング」22%<前月は25%、6ヵ月平均は16%
「賃上げ見通し」17%<前月は18%、6ヵ月平均は17%
「採用見通し」15%<前月は18%、6ヵ月平均は14%
「販売価格の上昇」6%>前月は5%、6ヵ月平均は4%
「在庫を増加させる」3%>前月は2%、6ヵ月平均は1%

「在庫満足度」−2%>前月は−5%、6ヵ月平均は−4%
「信用状況が緩和する」−3%=前月は−3%、6ヵ月平均は−5%
「黒字トレンドにある」−13%<前月は−12%、6ヵ月平均は−17%

ISMの製造業、非製造業とともにNFIBは高水準をキープ。

nfib1
(作成:My Big Apple NY)

――米2月NFIB中小企業楽観度指数はトランプ米大統領を祝うかのように選挙後から急伸し、その後も若干の鈍化を見せる程度で高水準をキープしています。インフラ投資、税制改革、規制緩和のほか、医療保険制度改革(オバマケア)撤廃への期待値も大きかったのでしょう。50名以上の従業員を有する企業は被雇用者に医療保険を提供する義務が生じていましたが、トランプ政権発足でこうした規制が骨抜きになると判断した経営者は少なくなかったと想定されます。その半面、オバマケア撤廃・代替案への移行や税制改革の行方は依然として不透明で、通商政策にも保護主義寄り色が強まるリスクも捨てきれず、上昇が一服したと考えられます。

▽米2月PPI、前年比では2012年9月以来の高水準

米2月生産者物価指数(PPI)は前月比0.3%上昇し、市場予想の0.1%を上回った。前月の0.6%に届なかったとはいえ、上向きの流れをたどる。PPIコアは前月比0.3%上昇し、市場予想並びに前月の0.2%を超えた。PPIとコアPPIは、そろって5か月ぶりの高水準から鈍化している。

PPIは前年同月比で2.2上昇し、市場予想の1.9%や前月の1.6%を超え6ヵ月連続でプラスをたどる。伸び率としては、2012年3月以来の水準へ加速した。コアPPIは市場予想と一致し1.5%だったが、前月の1.2%を超えた。2015年1月以来のレベルとなる2015年1月の1.6%に接近した格好だ。

PPI、原油価格の回復につれ前年比で上昇トレンド入り。
ppi
(作成:My Big Apple NY)

――エネルギー価格の上昇に合わせヘッドラインのPPIは上振れを示しつつある半面、コアPPIは一段の加速を回避しています。ドル高がブレーキとして利いているのでしょう、インフレが過去2年間のレンジ上限を多少上回る可能性を残すとはいえ、足元の原油価格の昇一服もあり3月、6月、9月と立て続けに利上げしなくてもよいような気がしますが、さてFedはどのように対応してくるのでしょうか

(カバー写真:Jorge Quinteros/Flickr)

Comments

comments

Pin It

Related Posts

Comments are closed.