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米2月貿易収支、米中首脳会談前に赤字改善

by • April 5, 2017 • Finance, Latest NewsComments Off490

Trade Deficit Narrows From 5-Year High As Imports Decline.

米2月貿易収支は435.57億ドルの赤字となり、市場予想の436億ドルとほぼ一致した。2012年3月以来で最大の赤字幅を記録した前月の481.73億ドル(484.92億ドルから修正)を9.6%下回り、4ヵ月ぶりの低水準となる。原油関連を除く貿易赤字は362.50億ドルと5ヵ月ぶりの水準へ改善した。

内訳をみると、輸出が前月比0.2%増(3ヵ月連続で増加)の1,928.72億ドルだった上に、輸入が1.8%減(5ヵ月ぶりに減少)の2,364.29億ドルと赤字縮小を促した。

エネルギーを含め輸入が減少、ドル高局面でも赤字縮小。

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(作成:My Big Apple NY)

国内総生産(GDP)の算出に使用されるインフレを除いた実質ベースのモノの赤字は597.10億ドルと、2007年7月以来で最大を記録した前月の651.02億ドル(653.46億ドルから修正)を大幅に下回った。2月の実質貿易赤字は、5ヵ月ぶりの水準へ縮小している。

なお2016年の貿易赤字はモノ・サービスを合わせて国際収支ベースで前年比0.4%増の5025.52億ドルで、2012年以来で最大を示した。商品市況の下落を背景に輸入が1.9%減の2兆7,116億ドルだったものの、ドル高を背景に輸出が2.3%減の2兆2,094億ドルだったため赤字が膨らんだ。2015年の貿易赤字は前年比4.6%増の5,315億ドルと、2012年以来で最大を記録した。モノの貿易赤字は米国勢調査局ベースで1.5%減の7,343.32億ドルとなる。

2月の輸出内訳をみると、モノは前月比0.3%増と3ヵ月連続で増加した。ドル高ながら消費財が牽引したほか前月に続き自動車、産業材が堅調。逆に、食料/飲料は前月から大幅減に転じた。

(増加項目)
・消費財 4.0%増、過去5ヵ月間で3回目の増加>前月は0.1%減
・自動車 1.4%増、過去5ヵ月間で3回目の増加<前月は10.9%増
・産業財 1.1%増、過去5ヵ月間で4回目の増加<前月は5.9%増

・サービス ±0%増、過去5ヵ月間で増加は3回<前月は0.4%増

(減少項目)
・食品/飲料 6.0%減、過去5ヵ月間で4回目の減少<前月は5.8%増
・資本財 1.4%減、過去5ヵ月間で3回目の減少<前月は4.1%減

輸入の内訳をみると、モノは2.1%減と5ヵ月ぶりに減少した。原油価格が2015年半ば以来の高値を示すなか、量ベースでのエネルギー関連輸入は10.9%減と前月の11.3%増から転じている。金額ベースでも、下落に転じた。エネルギー製品を除いたモノの輸入は2.6%減と、前月の1.3%増から転じ5ヵ月ぶりに減少した。項目別では自動車や産業材など、全て増加した。

(増加項目)
・産業財 3.3%増、過去5ヵ月間で4回目の増加>前月は2.5%増
・食品/飲料 2.3%増、過去5ヵ月間で4回目の増加>前月は0.3%減
・資本財 0.2%増、過去5ヵ月間で3回目の増加<前月は1.3%増

(減少項目)
・消費財 5.9%減、過去5ヵ月間で2回目の減少<前月は4.8%増
・自動車 8.3%減、過去5ヵ月間で2回目の減少<前月は2.9%増

モノの実質貿易赤字、5ヵ月ぶり低水準。
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(作成:My Big Apple NY)

国別でのモノの貿易収支動向をみると、米中首脳会談を控え中国への赤字は前月比26.6%減の229.66億ドルと減少に転じた。日本への赤字は14.6%減の46.72億ドルと、2ヵ月連続で減少。欧州全体への赤字額は23.4%減の106.50億ドルと、減少へ転じた。欧州のうち英国との貿易収支は4.47億ドルの黒字と、5ヵ月ぶりに黒字だった。

主な原油輸出国への貿易収支は、輸入量が減少したため赤字縮小が優勢。カナダへの貿易赤字は38.1%減の21.13億ドルと、赤字幅こそ縮小したものの6ヵ月連続で赤字となっている。石油輸出国機構(OPEC)への貿易収支も46.0%減の15.18億ドルの赤字と、2ヵ月連続で赤字を計上しつつ大幅に縮小した。一方で、メキシコに対する赤字額のみ46.0%増の57.63億ドルと3ヵ月ぶりに拡大した。

以下は、今回の貿易収支における輸出と輸入の内訳のほか各国ごとのモノの貿易収支動向。貿易動向のランキングは変わらなかったが、輸出動向は前月10位のベルギーが13位へ転落、代わりにブラジルが13位から浮上し10位に食い込んだ。輸入動向のランキングは前月13位のアイルランドが8位、前月12位だったベトナムが9位にランクインした。一方で前月9位だったフランスが11位、前月10位だった台湾が13位へ後退している。

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(作成:My Big Apple NY)

――米中首脳会談直前、トランプ米大統領は貿易赤字縮小に乗り出しました。3月31日には、商務省や通商代表部に対し貿易不正を調査したレポートを90日以内に提出することなどを求める大統領令に署名。最高経営責任者(CEO)などとの会合を開いた4月4日には、北朝鮮問題のほか「貿易赤字について協議し、貿易不均衡是正を求める」と明かしたものです。ツイッターでも、貿易協議を行う可能性を示唆していました。

英フィナンシャル・タイムズ紙のインタビューでは、対中関税に絡む協議は「次回」と述べつつ、北朝鮮問題で中国からの協力を得る上でのインセンティブは「貿易」と発言しています。しかも、米中首脳会談前のセンシティブな時期に、商務省は反ダンピングや相殺関税の法制度に基づいて中国を”非市場経済国”として調査すると通知しました。

中国の世界貿易機関(WTO)加盟は2001年12月11日に発効し、加盟から15年間は厳格な反ダンピング措置などを受け入れる”非市場経済国”として扱われることが取り決められました。2016年12月11日に”非市場経済国”から外れると計算していた中国に、米国は2016年11月に鉄鋼などダンピング問題を背景に中国に対する”市場経済国”認定見送りを表明し、冷や水を浴びせます。欧州委員会も同年7月に”市場経済国”と認めない基本方針を固め、日本も同年12月にならいました。結果、同年12月に中国はWTOに”市場経済国”認定を狙い米欧を提訴したわけですが、今回の商務省による中国への反ダンピング関連調査は中国への”返礼”と言えるかもしれません。

▽米2月製造業受注、3ヵ月連続で増加し在庫も堅調

米2月製造業受注は前月比1.0%増と、市場予想と一致した。前月の1.5%増(1.2%増から上方修正)に続き、3ヵ月連続で増加している。耐久財受注は1.8%増と、市場予想並びに速報値の1.7%増を超え、前月の2.4%増と合わせ2ヵ月連続で増加した。コア資本財(民間航空機を除く非防衛財)の受注は速報値と同じく前月比0.1%減で、前月の0.2%増を下回り5ヵ月ぶりの減少を示す。

製造業出荷は前月比0.3%増と、増加トレンドを維持。コア資本財の出荷は速報値通り1.0%増で、前月の0.4%増から改善した。在庫は0.2%増と、5ヵ月連続で増加。在庫相当は出荷の伸びとほぼ変わらず、3ヵ月連続で1.31ヵ月だった。

――2月は製造業受注が市場予想と一致し貿易赤字も改善したとはいえ、肝心要の個人消費が減速する見通しに変わりありません。米2月新車販売台数が約2年ぶりの低水準だったため、バークレイズは米1~3月期GDP見通しを従来の1.2%増から1.0%増へ下方修正してきました。アトランタ連銀は1.2%増で変更しなかったものの、1%付近の低成長見通しとなっています。NY連銀は3%近い成長を見込みますが、アトランタ連銀の予想に収れんしつつあるようです。

(カバー写真:Jose Mesa/Flickr)

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