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米10月消費者信頼感、2000年以来の高水準も購入見通しはさえず

by • November 1, 2017 • Finance, Latest NewsComments Off1643

Consumer Confidence Hits Highest Level Since 2000.

米10月消費者信頼感指数、米8月S&P/ケースシラー住宅価格指数、米7~9月期雇用コスト指数、米10月ダラス製造業景況指数を踏まえた地区連銀製造業景況指数をおさらいしていきます。

米10月消費者信頼感指数は125.9となり、市場予想の121.5を上回った。前月の120.6(119.8から上方修正)を超え、2000年12月以来の高水準。内訳をみると、現況指数が151.1と前月の146.9(146.1から下方修正)を上回り、2001年7月以来のレベルへ接近。ハリケーン“ハービー”と“イルマ”で低下した前月の反動に加え、買い替え需要や株高が奏功したとみられる。見通し指数は109.1と、前月の103.0(102.2から上方修正)を抜け、7ヵ月ぶりの水準へ上昇した。

発表元であるカンファレンス・ボードのリン・フランコ経済指標ディレクターは、結果を受け「労働市場が牽引し現況指数が上向いたほか、ビジネス見通し指数も良好」と振り返る。、「短期見通しは引き続き成長拡大を示唆している」とまとめた。

消費者信頼感指数、2000年12月以来の好記録をマーク。

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(作成:カンファレンス・ボードよりMy Big Apple NY)

今回は現状の労働市場に対し「職が豊富」から「職探しが困難」を引いたDIは18.8だった。前月の14.7(14.5から上方修正)を超え、2001年7月以来の高水準を示す。以下は、結果の詳細。

ビジネス環境については、「良い」と「悪い」が上昇
「良い」34.5%→前月の33.4%から上昇、前年同月は26.5%
「悪い」13.5%→前月の13.2%から上昇、前年同月は17.3%

労働市場については「豊富」が上昇し「困難」が低下、DIは16ヵ月連続でプラスを示す
「職が豊富」36.3%→前月の32.7%から上昇、前年同月は26.5%
「あまり職が豊富ではない」46.2%→前月の49.3%から低下、前年同月は53.0%
「職探しが困難」17.5%→前月の18.0%から低下、前年同月は21.7%

6ヵ月先のビジネス環境への見方は「良くなる」が上昇し「悪化する」が低下
「良くなる」20.3%→前月の20.5%から上昇、前年同月は17.4%
「悪化する」7.4%→前月の8.6%から上昇、前年同月は10.2%
「変わらず」72.3%→前月の70.9%から低下、前年同月は72.4%

6ヵ月先の労働市場への見方は「増加」と「減少」がそろって低下も、「増加」が12ヵ月連続で「減少」を上回る
「雇用が増加する」18.9%→前月の19.2%から低下、前年同月は14.4%
「雇用が減少する」11.8%→前月の13.0%から低下、前年同月は16.6%
「変わらず」69.3%→前月の67.8%から上昇、前年同月は69.0%

6ヵ月先の所得への見方は「増加」が上昇、「減少」が低下
「増加する」20.3%→前月の20.5%から上昇、前年同月は17.4%
「減少する」7.4%→前月の8.6%から低下、前年同月は10.2%
「変わらず」72.3%→前月の70.9%から低下、前年同月は72.4%

購入見通しは、自動車のみ上昇した。自動車は13.1%と、前月の12.1%を超え3ヵ月ぶりの水準を示す。対して主要機器は48.9%と前期の53.8%を下回り3ヵ月ぶりの低水準だった。住宅は6.0%と、前月の7.0%以下に終わり4ヵ月ぶりの低い伸びにとどまる。

――米10月消費者信頼感指数はハリケーン“ハービー”、“イルマ”を経て上昇し、センチメントの力強さを確認しました。その割に、購入見通しはさえません。以前ご指摘したように、貯蓄率が低下し個人消費の余地が狭まっている点を踏まると納得の数字。ハリケーンでの買い替えを経て、再び鈍化するのか見極めが必要です。

▽米8月S&P/ケースシラー住宅価格指数、前年比で伸び加速

米8月S&P/ケースシラー住宅価格指数(季節調整前)は202.87となり、前月の202.02(201.99から上方修正)を抜け過去最高を更新した。20都市別の季節調整前では前年同月比5.92%上昇の202.87と市場予想の5.93%とほぼ変わらず。前月の5.83%(5.81%から上方修正)を超え、上昇ペースに加速を兆しがみえている。指数ベースでは少なくとも2007年9月以来の高水準で、5年2ヵ月連続でのプラス圏を保った。季節調整済み・20都市別の前月比は0.45%の上昇と、市場予想の0.40%を上回った。前月の0.38%(0.35%から上方修正)を超えた。

20都市別での季節調整済みベース・前月比でトップはカリフォルニア州サンディエゴで0.96%の上昇、2位はネバダ州ラスベガスで0.88%の上昇、3位はオハイオ州シャーロットで0.86%の上昇だった。ワースト1位はジョージア州アトランタで0.2%の低下と20都市別で唯一マイナスに。2位はミネソタ州ミネアポリスで0.11%の上昇、3位は常連のイリノイ州シカゴで0.20%の上昇だった。

▽米7~9月期雇用コスト指数、賃金上昇の兆し顕著に

米7~9月期雇用コスト指数は前期比0.7%の上昇となり、市場予想に並んだ。前期の0.5%を上回り、2007年10~12月期以来の高い伸びだった1~3月期に次ぐ水準。内訳をみると、賃金・給与が0.7%上昇、福利厚生に至っては0.8%上昇し少なくとも過去2年間で最大の伸びとなった。セクター別では、民間の賃金が0.8%上昇し、足元で最も力強い伸びに。政府は0.6%の上昇と、足元の流れを保った。

雇用コスト指数は前年同期比2.5%上昇し、2015年1~3月期以来の高いレベルに達した。景気回復サイクルで2番目の高水準となる。賃金2.5%と前期の2.3%を超え、賃上げ圧力が徐々に高まってきた可能性を示した。福利厚生も2.4%と前期の2.5%を下回った。

▽10月の地区連銀製造業景況指数、上昇トレンドを維持

米10月ダラス地区連銀製造業景況指数を含む製造業景況指数の結果は、以下の通り。

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(作成:My Big Apple NY)

リッチモンド地区連銀(ワシントンD.C.、ウェストバージニア州、ノースカロライナ州、サウスカロライナ州、メリーランド州などを含む)のみ、全ての地区連銀でセンチメントは上昇しています。引き続きハリケーン“ハーベイ”などの復興需要に加え、世界景気拡大の恩恵が追い風となっているもよう。米10月ISM製造業景況指数は約13年ぶりの高水準をつけた前月と、遜色ない水準を維持しそうです。

(カバー写真:Dean Shareski/Flickr)

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