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1月のADP全国雇用者数は20万人乗せ、採用予定数も前月比で大幅増

by • February 2, 2018 • Finance, Latest NewsComments Off1323

National Employment Continues To Increase Strongly In January.

1月のADP全国雇用者数、チャレンジャー人員削減予定数をおさらいしていきます。

米1月ADP全国雇用者数は前月比23.4万人増となり、市場予想の18.5万人増を上回った。ホリデー商戦明けながら、税制改革実現を受けアップルなど雇用拡大を発表する企業が増えるなか、ハリケーン直撃を受けた2017年9月を除き5ヵ月連続で20万人増を達成している。ADP全国雇用者数は2010年2月以来の増加トレンドを維持した。なおADP全国雇用者数は民間のみであり、政府を含まない。

ADP全国雇用者数、2017年9月を除き5ヵ月連続で20万人乗せ。

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(作成:My Big Apple NY)

セクター別では、サービス部門が21.2万人増と前月の19.2万人増(修正値)を超え、6ヵ月ぶりの20万人台に乗せた。内訳をみると、娯楽・宿泊が4.6万人増と3ヵ月ぶりの高水準だったほか、オンライン売上の増加もあって貿易・輸送(4.5万人増→5.1万人増)、金融(1.3万人増→1.6万人増)、教育(4.1万人増→4.7万人増)と前月を上回った。一方で、専門サービスは前月の7.2万人増から4.6万人増へ鈍化、情報は引き続き減少(0.4万人減→0.3万人減)した。

一方で、財部門(製造業、建設、鉱業)は2.2万人増と前月の4.9万人増(修正値)を下回った。ただし、10ヵ月連続で増加している。ハリケーン後の復興需要を追い風に力強かった建設が0.9万人増と7ヵ月連続で増加しつつ、前月の3.0万人から鈍化。原油先物が約3年ぶりの60ドル台に乗せたものの、鉱業も0.1万人増と小幅増加にとどまる。製造業も1.2万人増と、4ヵ月ぶりの低水準だった。

ADPとともに統計を担当するムーディーズ・アナリティクスのマーク・ザンディ主席エコノミストは、結果を受け「2018年も年間で200万人を超える雇用創出が期待できる」と評価した。そうなれば8年連続となり、仮に達成できなくとも「人材不足が背景になるだろう」と判断。経済成長が続くなか、悪材料による雇用減速の可能性は低いとの考えを寄せた。

▽米1月チャレンジャー人員削減予定数は減少、通年では93年以来で最低

米1月チャレンジャー人員削減予定数は、前年同月比2.8%減の44,653人と2ヵ月連続で減少した。ホリデー商戦明けとなるため臨時雇用の削減が入ったとみられ、前月比では37.7%増と増加に反転している。。

発表元であるチャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスのジョン・チャレンジャー最高経営責任者(CEO)は、結果を受け「多くの企業は比較的健全な財務環境と力強い経済を謳歌している」と指摘し、問題はむしろ「人材不足にある」と説明した。小売業界で引き続きオンライン販売へのシフトが進むなか、セクター別で2位の削減予定数を示すなど自動化の波に襲われるものの「短期的にネガティブでも、高賃金の職が創出されている」と楽観的。税制改革の影響をめぐり、多くの企業が最低賃金の引き上げや設備投資の拡大に加え採用増加を発表したものの「判断は時期尚早」と結んだ。

1月は人員削減予定数、2ヵ月連続で前年比で減少。

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(作成:My Big Apple NY)

人員削減が多かったセクターのランキングは以下の通り。2017年1〜12月と変わらず1位が小売で15,378人となる。なお2017年12月は1位が小売、2位がヘルスケア、3位がサービス、4位が産業、5位が食品だった。

1位 小売 15,378人(全体の34.4%)
2位 ヘルスケア 7,158人(全体の16.0%)
3位 サービス 6,531人(全体の14.6%)
4位 産業 3,212人(全体の8.2%)
5位 食品 1,472人(全体の5.0%)

州別動向は、2017年10~12月から様変わりした。1位は石油関連企業が多いテキサス州、2位はラストベルトの一角を担い日本企業も進出するオハイオ州、3位は2017年10月から1位を維持し、IT企業のメッカであるカリフォルニア州、他は人口の多いニューヨーク州が4位、ペンシルベニア州が5位となった。2017年12月の1位はカリフォルニア州、2位はテキサス州、3位はニューヨーク州、4位はオハイオ州、5位はマサチューセッツ州だった。

1位 テキサス州 8,951人(全体の20.5%)
2位 カリフォルニア州 7,215人(全体の16.2%)
3位 オハイオ州 6,579人(全体の14.7%)
4位 ニューヨーク州 2,811人(全体の6.3%)
5位 ペンシルベニア州 2,350人(全体の5.3%)

単月の人員削減数ワースト5は、前述のの通り。2017年12月の1位は産業、2位はサービス、3位はヘルスケア、4位は教育、5位は小売だった。

1位 小売 15,378人(全体の34.4%)
2位 ヘルスケア 7,158人(全体の16.0%)
3位 サービス 6,531人(全体の14.6%)
4位 産業 3,212人(全体の8.2%)
5位 食品 1,472人(全体の5.0%)

リストラ実施の理由、1月のランキングは以下の通り。前月の1位はコスト削減、2位は閉鎖、3位は自主退職、4位は移民、5位は契約切れとなる。

1位 閉鎖 23,785人(全体の53.3%)
2位 コスト削減 10,660人(全体の23.9%)
3位 リストラ 6,625人(全体の14.8%)
4位 契約切れ 1,748人(全体の3.9%)
5位 M&A 762人(全体の1.7%)

採用予定数は、前年同月比69.4%減の41,890人だった。逆に前月比では5倍増となる。なお前月の1位はサービス、2位は小売、3位は自動車、4位は保険、5位は金融だった。

1位 電子製品 20,000人
2位 娯楽/宿泊 9,200人
3位 金融 6,500人
4位 自動車 2,500人
5位 サービス 993人

――米1月ADP全国雇用者数がサービスを中心に増加し、米1月雇用統計・非農業部門就労者数は市場予想の18万人増を超えるサインを点灯させました。税制改革法案の成立を受け、これまでの報道通り企業が雇用増加に踏み切ったかが試されます。採用予定数では電子製品を中心に大幅増となっていますが、果たしてどうなるのか。最低賃金の引き上げも合わせて発表されたため、数ヵ月以内に効果が現れる公算で、結果次第では米国債利回りに一段の上昇圧力が掛かりかねません。

(カバー写真:Les Chatfield/Flickr)

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