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1月FOMC、イエレン氏の置き土産はインフレ文言の上方修正

by • February 4, 2018 • Finance, Latest NewsComments Off2259

Yellen’s Last FOMC Statement Sees Rising This Year.

遅ればせながら、1月30〜31日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)を振り返ります。

1月開催のFOMCでは、予想通りFF誘導金利目標を1.25〜1.50%で据え置いた。イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長として最後のFOMCでは、インフレ見通しを上方修正している。今回の主な変更点とポイントは、以下の通り。

【景況判断】
前回:「ハリケーン関連の変動を平均すれば雇用は堅調で、失業率は一段と低下した」

今回:「雇用の増加、家計の支出、企業の固定投資は堅調で、失業率は低水準を保つ
※2017年12月までの雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)は修正前で14.8万人増だったが、10〜12月期では20.4万人増と、2016年平均の18.7万人増を超える水準に。失業率は2000年以来の低水準を維持しており、表現を修正。

前回:「前年比ベースで、全体並びに食品と燃料を除いたインフレ動向は今年低下し、2%以下で推移している」

今回:「前年比ベースで、全体並びに食品と燃料を除いたインフレ動向は2%以下で推移し続けている」
米12月コアPCEデフレーターは前年比1.5%上昇、2015年11月以来の低水準に並び1.3%だった8月から改善の兆し。

【統治目標の遵守について】
前回:「ハリケーン関連の損失と再建は足元、経済活動をはじめ雇用、インフレに影響を与えてきたが、米国の経済見通しを変更させるに至っていない」

今回:削除

前回:「その結果、委員会はゆるやかな金融政策姿勢の調整をもって、経済活動は緩やかに拡大し、労働市場は力強さを保ち続けるとの予想を維持する」

今回:「委員会は、さらなる金融政策のゆるやかな調整をもって、経済活動は緩やかに拡大し、労働市場は力強さを保ち続けるとの予想を維持する」
※これまで利上げを5回行ってきたが、経済成長を阻害しないよう追加利上げを続けるとの意思を表明。

前回:「インフレは短期的に前年比で2%をいく分下回り続けると予想するが、中期的には目標値である2%付近で安定していくと見込まれる」

今回:「インフレは年内、前年比で2%ヘ向かい、中期的には目標値である2%付近で安定していくと見込まれる」
※税制改革法案の成立を受け、インフレ見通しを上方修正。

2017年12月FOMCでは、インフレ見通しを変更していなかったのですが。

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(作成:My Big Apple NY)

【政策金利について】
FF金利誘導目標を1.25~1.50%を維持するとの文言に変更

【バランスシート政策】
利上げに関する文言に「一段と(further)」を追加。

【票決結果】
票決は全会一致。輪番制である地区連銀総裁からは今年、サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁、クリーブランド連銀のメスター総裁、リッチモンド連銀に就任予定のバーキン総裁、アトランタ連銀のボスティック総裁が就任した。なお2017年は1月、5月、7月、9月、11月の5回で全会一致だったが、年内は3月と6月にミネアポリス連銀総裁1人が据え置きを求め反対票を投じ、12月はミネアポリス連銀総裁にシカゴ連銀総裁が加わった格好である。2017年の地区連銀総裁の投票メンバーはシカゴ連銀のエバンス総裁、フィラデルフィア連銀のハーカー総裁、ダラス連銀のカプラン総裁、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁だった。なお2016年の全会一致での決定は1月をはじめ6月、12月と8会合のうち3回目のみだった。

——イエレンFRB議長の置き土産がインフレ見通しの上方修正で、市場では年4回利上げ見通しが高まりつつあります。今年の投票メンバーが2017年と打って変わってタカ派が優勢である点も、市場の不安を煽っているのでしょう。ちなみに、サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁と言えば、FRB副議長の候補の一人との報道が思い出されます。彼は足元で年3回の利上げに支持を表明することで知られる一方、同総裁の執筆ではないものの自身がトップを務める連銀から足元の米株のバリュエーションが長期金利の低下などで正当化されるとの説を発表していましたね。2017年6月にはイエレン、フィッシャー正副議長(当時)、NY連銀総裁と足並みをそろえ、2017年6月に割高感を警告していたウィリアムズ総裁が、今後どのような見解を寄せるのか目が離せません。

(カバー写真:Federalreserve/Flickr)

 

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