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米1月住宅着工は2007年8月以来の高水準、世帯数の増加も追い風?

by • February 20, 2018 • Finance, Latest NewsComments Off2768

Multifamily Push Housing Starts To The Highest In 10 Years In January.

米1月住宅着工件数と米2月NAHB住宅市場指数をおさらいしていきます。

米1月住宅着工件数は年率132.6万件と、市場予想の123.4万件を大幅に超えた。前月の120.9万件(119.2万件から上方修正)を9.7%上回り、リセッション前にあたる2007年8月以来の高水準を遂げている。

内訳をみると、一戸建てが前月比3.7%増の87.7万件と過去4ヵ月間で3回目の増加を示した。複合住宅は23.7%増の44.9万件と2ヵ月連続で増加しただけでなく、2016年10月以来の高水準となる。前年比は一戸建てが7.6%増と、2016年9月から続く増加トレンドを維持。複合住宅は6.7%増と、前月の21.1%減から増加に転じた。

4大地域別では、2地域で増加。前月の1地域から増えた。前月に唯一増加した西部は10.7%増(2ヵ月連続で増加)の39.3万件となる。他に増加が顕著だったのは北東部で45.5%増の12.8万件だった。逆に中西部は3ヵ月連続で減少、南部は2ヵ月連続で減少した。

米1月建設許可件数は139.6万件となり、市場予想の130.0万件を超えた。前月の130.0万件(130.3万件から下方修正)を7.4%上回り、2007年6月以来で最高となる。内訳をみると、一戸建てが1.7%減の86.6万件と5ヵ月ぶりに減少したが、複合住宅が26.5%増の53.0万件と3ヵ月ぶりに増加した。

米1月建設中件数は前月比0.9%増の112.0万件だった2007年8月以来の高水準となる。一戸建てが±0%の49.9万件と増加トレンドを5ヵ月で止めたものの、複合住宅が1.6%増の62.1万件と2ヵ月連続で増加した。

住宅着工と建設中件数、そろって増加もリセッション後の減少を相殺も2005年のレベルには程遠い。

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(作成:My Big Apple NY)

――住宅着工件数の一戸建てのうち75%が住宅市場に流入すると試算されるため、65.8万件が販売向けとなる見通しです。足元の新築販売件数を上回るため在庫逼迫の解消には繋がる可能性を残すものの、今回は複合住宅が牽引しており、一戸建ては引き続き厳しい環境。労働市場の拡大が続くものの、住宅の値上がりペースは賃金の伸びを上回り、そこへ物価上昇まで重なれば、富裕層でない限り住宅購入への障害は高いと言えそうです。

▽米2月NAHB住宅市場指数、1999年7月以降で2番目の高水準

米2月NAHB住宅市場指数は72となり、市場予想と前月値と一致した。1999年7月以来の高水準を達成した前月の74に届かなかったとはいえ、同年以降で2番目の高水準となる。税制改革法案が成立し所得税減税が実現するほか、労働市場の拡大もあって、住宅建設業者のセンチメントは勢いを維持しているようだ。

内訳をみると、一戸建て現況指数は78と前月の79を下回った。一戸建て見通し指数は80と前月の78を上回り、少なくとも2005年6月以来で最高に。客足の動向を表す見込み客指数は前月と変わらず54だった。

NAHB住宅市場指数、2004年以降で2番目の高水準を維持。

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(作成:My Big Apple NYが作成)

発表元である全米ホームビルダー協会(NAHB)のランディ・ノエル会長は、結果を受け「建設業者は住宅市場を力強くさせ、かつ経済成長を支援するビジネス寄りの政治的環境を歓迎する」と評価した。もっとも「人材不足や素材価格の上昇など、建設の障害となる供給側の問題に取り組むべき」とも注文をつけた。ロバート・ディエス主席エコノミストは「見通し指数は景気後退後の最高を遂げ、住宅需要は数ヵ月先に強まる見通し」と予想。雇用の増加や世帯数の増加もあって、一戸建て住宅市場は「ゆるやかながら継続的に拡大していく」と見込む。

――世帯数は確かに、人口に合わせゆるやかな増加の一途をたどります。人口比での世帯数も、景気回復の追い風を受けて36.66%と改定を行った2002年以降で3番目の高水準を示しました。確かに、世帯数は持ち直しつつあります。

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(作成:My Big Apple NY)

さらに世帯数の伸びは最新のデータである2016年で前年比1.1%増と、改定を実施した2002年以降の平均値0.7%増を上回っていました。住宅市場は人口動態の恩恵も重なり、 上記のNAHBのエコノミストが指摘する通り、ゆるやかに拡大しそうです。

(カバー写真:Ann Wuyts/Flickr)

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