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米2月鉱工業生産は4ヵ月ぶりの高水準、公益除き全般的に上昇

by • March 19, 2018 • Finance, Latest NewsComments Off1714

Industrial Production Surges, Consumer Sentiment Jumps To 13-year High.

米2月鉱工業生産と米3月ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値、米2月住宅着工件数をおさらしていきます。

米2月鉱工業生産指数は前月比1.1%上昇し、市場予想の0.4%を上回った。前月の0.3%の低下(0.1%の低下から下方修正)から改善し、4ヵ月ぶりの力強さを示す。2月は平年を上回る気候を受け、機械やコンピューター・電子機器などが増加に転じた。米2月新車販売台数が弱含んだものの、自動車関連も堅調に推移。鉱業は前月から大幅に改善した。自動車関連を除いた場合は1.0%上昇し、前月の0.2%の低下から改善し3ヵ月ぶりにプラスを回復した。

稼働率は78.1%となり、市場予想の77.7%並びに前月の77.4%(77.5%から下方修正)を超え、2015年1月以来の大台乗せを達成した。税制改革法案が成立し、原油価格が約3年ぶりに60ドル台で推移するなか、年内にリセッション前の80%台を回復できるか注目される。

内訳をみると、製造業(全体の76.5%)は上昇に転じた。自動車を除いた製造業も、力強くプラス圏を回復。鉱業(全体の14.9%)も堅調な原油価格に支えられ、2008年10月以来の大幅上昇となる。公益(全体の10.5%)は気温上昇を背景に暖房需要が後退し、3ヵ月ぶりに大幅低下した。

・製造業 1.2%=前月は0.2%の低下、6ヵ月平均は0.5%の上昇
>自動車 3.9%の上昇>前月は0.2%の低下、6ヵ月平均は1.2%の上昇
>機械 0.5%の上昇>前月は2.2%の低下、6ヵ月平均は0.7%の上昇
>コンピューター/電気製品 1.5%の上昇>前月は0.7%の上昇、6ヵ月平均は0.7%の上昇

・公益 4.7%の低下<前月は1.3%の上昇、6ヵ月平均は0.2%の上昇
>電力 3.3%の低下<前月は2.2%の上昇、6ヵ月平均は0.3%の上昇
>天然ガス 13.8%の上昇<前月は4.7%の低下、6ヵ月平均は0.6%の低下

・鉱業 4.3%の上昇>前月は1.5%の低下、6ヵ月平均は1.4%の上昇

前年比では引き続き製造業や鉱業の寄与度が高い。
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(出所:My Big Apple NY)

――鉱工業生産は2017年12月~18年1月は軟調だったものの、積雪など天候要因が影響した可能性があり、2月は大幅に上昇しました。NY連銀やフィラデルフィア連銀の製造業景況指数をみると、前者が上振れしたように明るさを保ち、引き続き上向き基調をたどる公算が大きい。設備稼働率も漸く2015年以来の78%台回復を遂げ、税制改革法案の実現により設備投資が拡大するトレンドに変わりはなさそうです。

▽米3月ミシガン大消費者信頼感・速報値、現況指数が過去最高で13年ぶりの力強さ

米3月ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値は102.0と、市場予想の99.3を下回った。前月の99.7も超え、2004年1月以来の高水準を遂げている。内訳をみると、現況指数が112.8と前月の114.9から急伸し、過去最高を達成見通し指数は逆に88.6と、4ヵ月ぶりのレベルへ上昇した前月の90.0を下回る

原油先物が約3年ぶりに60ドル台に乗せるなか、1年先インフレ見通しは前月まで3ヵ月連続で2.7%を経て、今回は2.9%と2015年3月以来の水準へ上振れした。ただし5~10年先インフレ見通しは、3ヵ月連続で2.5%となる。なお税制改革実現を意識し、FOMCは2017年12月分の経済・金利見通しで成長見通しを上方修正したが、インフレ見通しを据え置いた。

ミシガン大学消費者信頼感は高止まりも、インフレ見通しは上げ渋り。

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(作成:My Big Apple NY)

ミシガン大学の主席エコノミスト、リチャード・カーティン氏は、結果を受け「現況指数が過去最高となり、全体のセンチメントは2004年以来の高水準に到達した」と評価した。所得層別でみると、「下位1~3位でセンチメントが15.7ポイントも急伸し全体を支えた半面、上位3位は7.3ポイント低下した」という。上位3位のセンチメント下振れは、「経済見通しと家計見通しが押し下げた」と分析。消費者全体のうち「5人に1人がアルミ・鉄鋼の関税賦課にネガティブな見解を寄せ、税制改革法案のポジティブ面を相殺した」とされる。特に高所得者層で不安がくすぶっているとみられ、「金利上昇見通しの回答が2004年以来で最大となったほか、インフレ見通しが約3年ぶりの水準へ上昇したように、所得見通しが慎重さが増した」。一連の結果を受け、今回カーティン氏は2018年の個人消費予測を示していない。2月時点では「2.9%増」を見込んでいた。

▽米2月住宅着工件数、複合住宅が弱くリセッション前の高水準から減速

米2月住宅着工件数は年率123.6万件と、市場予想の129.0万件に届かなかった。景気後退入りする前の2007年8月以来の高水準を遂げた前月の132.9万件(132.6万件から上方修正)7.0%下回った。

内訳をみると、一戸建てが前月比2.9%増の90.2万件と過去5ヵ月間で4回目の増加を示した。複合住宅は26.1%減の33.4万件と3ヵ月ぶりに減少、2016年10月以来の高水準となった前月から後退した。前年比では、住宅着工件数が4.0%減と前月の7.5%増から減少に反転。一戸建てが2.9%増と2016年9月から続く増加トレンドを維持した半面、複合住宅は18.7%減と前月の7.4%増から減少に転じた。

4大地域別では、3地域で減少し前月の1地域から増えた。今回、唯一増加した地域は中西部で7.6%増(4ヵ月ぶりに増加)の15.5万件となる。その他は全て落ち込み、西部が12.9%減の33.9万件と4ヵ月ぶりに減少。南部は7.3%減(前月から減少に反転)の63.3万件、北東部は3.5%減(前月から減少に反転)の10.9万件だった。

米2月建設許可件数は129.8万件となり、市場予想の132.0万件以下に終わっ。2007年6月以来で最高だった前月の137.7万件(139.6万件から下方修正)を5.7%下回る。内訳をみると、一戸建てが0.6%減の87.2万件と2ヵ月連続で減少し、複合住宅も14.8%減の42.6万件と過去4ヵ月間で3回目の減少を示した。

米2月建設中件数は前月比0.1%増の111.5万件となり、2007年6月以来の高水準となる。一戸建てが0.2%増の50.1万件だった半面、複合住宅は±0%の61.4万件と横ばいに転じた。

住宅着工と建設中件数、そろって増加もリセッション後の減少を相殺も2005年のレベルには程遠い。

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(作成:My Big Apple NY)

――住宅着工件数の一戸建てのうち75%が住宅市場に流入すると試算されるため、67.7万件が販売向けとなる見通しです。足元の新築販売件数を上回るため在庫逼迫の解消には繋がる可能性を残すものの、足元のニーズにマッチするかは微妙な情勢。労働市場の拡大が続くものの、住宅の値上がりペースは賃金の伸びを上回り、そこへ物価上昇まで重なれば、富裕層でない限り住宅購入への障害は高いと言えそうです。

(カバー写真:JAXPORT/Flick

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