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米5月新車販売台数、年率で2017年7月以来の水準へ減速

by • June 4, 2018 • Latest News, NY TipsComments Off2917

New Auto Sales Slow Down In May.

ワーズオートが発表した米5月新車販売台数は、GMを除き年率1,681万台と市場予想の1,670万台を上回った。ただし、前月の1,707万台に届かず、2017年7月以来の低水準となる。

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(作成:My Big Apple NY)

オートデータが発表した米5月新車販売台数は、GMを除き年率1,691万台だった。前月の1,717万台に届かず、2017年8月以来の1,700万台割れを示す。

原油先物が一時70ドルを超え2014年11月以来の高値を達成する過程で、ガソリン価格は5月に一時2.962ドルと2014年10月以来の3ドル乗せに接近した。それでも販売台数は、トラック部門(スポーツ多目的車、SUV含む)のうちトラックが好調を維持。一方で、SUVはまちまちだったほか、乗用車は前月に続き2桁減が目立った。なおフォードは4月25日に公表した決算資料で、米国での乗用車販売を2モデル(マスタングと2020年モデルのフォーカス・アクティブ)に限定する方針を発表した。

ケリー・ブルー・ブックによると、平均販売価格は前年同月比3.4%上昇の3万5,635ドル(約390万円)だった。前年比の伸びは2~4月の2%付近を経て、少なくとも2017年上半期ぶりの高い伸びを示した1月の3.9%に接近している。前月比では0.4%下落、5ヵ月連続でマイナスとなった。メーカー別の平均価格を前月比でみると、最も上昇率が高いメーカーは米系御三家、次いで日産とスバルが続いた。一方で最も下落率が大きかったのはVW、トヨタ、ヒュンダイ・キアとなる。前年比ではVW、フォード、GMの伸びが最も強かった。詳細は以下の通り。

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(出所:KBB)

自動車メーカーからディーラーへの1台当たりインセンティブ予想は前年同月比5.0%上昇の3,679ドルとなり、3~4月の推計値8%台から鈍化した。前月比では逆に1.0%上昇し、過去5ヵ月間で2回目のプラスとなる。前年比で伸び率が最大だったメーカーはもともとインセンティブが低いスバルでトップに立ち、次いでGM、BMWが入った。前月比では日産の上昇率が最も高く、続いてGM、トヨタとなる。

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(出所:ALG/Press release)

1台当たりのインセンティブの割合予想は、平均で11.1%と前月と変わらず。前年同期の10.9%からは上昇した。最大は3~4月に続きキアで16.7%、次いでGMが15.1%、日産が12.0%となる。

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(出所:ALG/Press release)

自動車メーカー別では、米5月新車販売台数は4月から減速したものの、5月の営業日は26日と前年同期の25日から延びるなか事情もあり、米系から日系まで全て市場予想を上回った。新車販売動向のうち、利鞘の薄いレンタカーや自動車販売店向けのフリート販売はフォードとフィアット・クライスラーで共に前年比で低下した。

以下、米系と日系などの自動車メーカー別動向。

【フォード】
フォードは前年同月比0.7%増の24万2,824台と、市場予想の0.6%減に対し好結果となった。前月から増加に転じ過去5ヵ月間で2回目の増加に。小売販売台数は3.5%増の16万3,796台と、過去6ヵ月間で2回目の増加を示す。車種別では、トラックが9.4%増の10万8,605台と5ヵ月連続で増加。SUVは0.5%増の8万1,701台と過去5ヵ月間で2回目の増加を迎えている。一方で、乗用車は13.3%減の5万2,518台と7ヵ月連続で落ち込んだ。

レンタルや自動車ディーラー向けのフリート販売台数は4.6%減の7万9,028台と、過去5ヵ月間で4回目の減少となっている。在庫は乗用車、SUV、トラック含め全体で前年比1.9%減の67万8,396台となった。73日相当となり、前年同月の86日から短縮した。小売販売価格は3万5,800ドルと前年比で上昇したものの、前月比では下落した。

なおフォードは3月5日、ピックアップ・トラックの「レンジャー」と「ブロンコ」の新型モデル生産を控えた設備一新を理由に、ミシガン州の工場の従業員2,000人を対象として一時解雇を発表した。4月25日には、米国で販売する乗用車モデルを2種にとどめる方針も表明した。

2大ブランド別では、フォードが増加に転じたものの、リンカーンは8ヵ月連続で減少した。単月の結果は、以下の通り。

・フォード 4.3%減の20万4,651台、過去4ヵ月間で3回目の減少
→アルミ製ボディのトラック「Fシリーズ」は11.3%増の8万4,639台で、2000年以来の最高を記録した。しかしSUVはガソリン価格の上昇を一因に軒並み減少、「エクスプローラー」は14.3%減の1万9,470台、「エッジ」も10.3%減の1万2,332台とそろって減少に反転。「エスケープ」も3.0%減の2万6,993台と5ヵ月連続で減少した。小型車・セダンも「フィエスタ」と「GT」を除き全て減少。小型車「フォーカス」は6.4%減の1万6,144台と2ヵ月連続で減少したほか、「フュージョン」に至っては29.4%減の1万5,253台と3ヵ月連続で2桁減だった。

・リンカーン 5.2%減の9,755台、8ヵ月連続で減少
→SUVの「MKX」が5.5%減の2,535台と6ヵ月連続で減少したほか、「MKT」も弱い。一方で、セダンの「MKC」は6.1%増の2,677台と増加に反転。新型SUVの「ナビゲーター」のみ13.7%増の7,295台とプラスに転じた。

【フィアット・クライスラー】
フィアット・クライスラー・オートモビルは前年同月比11%増の21万4,294台となり、市場予想の7.4%増を上回った。小売販売台数は10%増の16万7,785台と、単月としては2004年以来の最高を記録。フリート販売台数が全体に占める売上シェアは前月に続き22%、前年同月の21%から上昇した。なおフィアットは2022年までの経営計画を発表、2022年までにディーゼル・エンジンの乗用車販売を終了させ電動化に振り向ける方針を打ち出したほか、「ジープ」のSUVシェアを2017年の6%付近から8%超えを目指す。

5大ブランド別では、3ブランドで増加し4月まで2ヵ月連続で2ブランドを上回った。単月の詳細は、以下の通り。

・ジープ 29%増の9万7,287台、6ヵ月連続で増加し過去最高を更新
→「ラングラー」が26%増の2万5,102台と5ヵ月連続で寄与しただけでなく、単月での過去最高を更新した。新型「コンパス」は223%増の1万7,327台と5ヵ月連続で3桁増を果たしたほか、「チェロキー」も63%増の2万3,789台と3ヵ月連続で増加した。「グランド・チェロキー」は4%増の2万1,494台と3ヵ月ぶりに増加。一方で「レネゲード」は4%減の9,512台と2ヵ月連続で減少した。

・ドッジ 4%増の4万6,581台、2ヵ月連続で増加
→「ジャーニー」が37%増の1万969台と2ヵ月連続で増加したほか、「キャラバン」も12%増の1万5,487万台と4ヵ月連続で増加した。一方で、「デュランゴ」が15%減の6,222台と4ヵ月連続で減少、「チャージャー」も9%減の6,869台と2ヵ月連続で減少した。

・ラム 2%増の5万1,884台、8ヵ月ぶりに増加
→主力の「ラム」が4%増の4万6,781台と、7ヵ月ぶりに増加した。一方で「プロマスター・バン」は3%減の4,092台と8ヵ月連続で減少、「プロマスター・シティ」も48%減の1,011台と3ヵ月連続で減少している。

・クライスラー 18%減の1万4,724台、2ヵ月連続で減少
→新型「パシフィカ」のミニバンが5%減の1万1,151台と2ヵ月連続で減少した。「300」も11%減の3,484台と2ヵ月連続で減少している。

・フィアット 46%減の1,441台、29ヵ月連続で減少
→「500」が79%減の264台と14ヵ月連続で減少したほか、「500X」も19%減の568台と全体の重石となった。「スパイダー」も25%減の425台と5ヵ月連続で減少するなど、軒並みマイナスを示す。

【トヨタ】
トヨタは前年同月比1.3%減の21万5,321台と、市場予想の2.2%減より下げ幅を縮小した。市場予想を上回ったとはいえ、2ヵ月連続で減少している。トラック部門の販売台数が5.8%増の13万2,757台となり、トヨタとレクサスのブランド共に過去最高を更新した。一方で、乗用車部門は11.0%減の8万2,564台と足を引っ張った。

なおトヨタは、2017年11月新車販売台数を発表した時点で2018年の米国新車販売台数を1,700万台割れと予想した。2年連続の前年割れを見込んだだけでなく、2014年の水準への鈍化を見込む。

2大ブランド別では、トヨタが2ヵ月連続で減少、レクサスも3ヵ月連続で減少した。詳細は、以下の通り。

・トヨタ 1.5%減の18万9,930台、2ヵ月連続で減少
→トラック部門は5.7%増の11万5,543台と、過去最高を更新した。一方で、乗用車は10.9%減の7万4,387台と3ヵ月連続で減少している。車種別では大型SUVの「ハイランダー」が17.6%増の2万1,312台と5ヵ月連続で増加し、4月に続き単月での史上最高を塗り替えた。「4ランナー」は6.6%増の1万1,739台と前月から増加に反転。トラックの「タコマ」も21.1%増の2万1,380台と全体を支えている。一方で、日本で販売・生産を打ち切ったSUV「RAV4」は0.4%減の3万8,202台と2ヵ月連続で減少した。セダンは減少が優勢で、「カローラ」は10.2%減の2万9,578台と8ヵ月連続で減少したが、「カムリ」も7.9%減の2万9,965台と7ヵ月ぶりに減少した。

・レクサス 0.1%減の2万5,391台、3ヵ月連続で減少
→SUVを含むトラックが6.8%増の1万7,214台と5ヵ月連続で増加した。主な4車種中、「NX」以外全てが増加している。乗用車部門は引き続き弱く12.0%減の8,177台と17ヵ月連続で落ち込み、主な6車種のうち3ヵ月連続にて4車種で減少していた。

【ホンダ】
ホンダは前年同月比3.1%増の12万5,701台と、市場予想の1.1%増を上回った。過去6ヵ月間で2回目の増加となる。車種別ではトラック部門が9.2%増の7万9,808台と過去5ヵ月間で2回目の増加を示し、過去最高を更新している。乗用車部門は2.7%減の7万3,261台と過去6ヵ月間で5回目の減少を示した。

ブランド別では、ホンダが4.3%増の14万250台となり前月から増加に転じた。トラック部門が11.6%増の7万1,006台と増加に転じ、過去最高を更新。乗用車は2.2%減の6万9,244台と2ヵ月連続で減少した。ブランド別ではSUVの「CR-V」が11.6%増の3万5,905台と5ヵ月ぶりに増加。ミニバン「オデッセイ」は9.6%増の9,861台と4ヵ月連続で増加し、「パイロット」も36.1%増の1万3,573台と販売台数に寄与。乗用車の主力「シビック」は7.4%増の3万4,349台と、増加に反転。逆にセダンの「アコード」は15.9%減の2万8,212台と、4ヵ月連続で減少した。

アキュラは8.0%減の1万2,819台と、2ヵ月連続で減少した。トラック部門が10.4%減の4,107台だっただけでなく、乗用車も6.9%減の8,802台と2ヵ月連続でそろって減少した。主力のSUV「RDX」が8.6%減の4,704台と3ヵ月ぶりに減少したほか、「MDX」も4.9%減の4,098台と6ヵ月連続で減少。セダンも主力車で減少していた。

【日産】
日産は前年同月比4.1%減の13万1,832台となり、市場予想の7.6%減より下げ幅を狭めた。4ヵ月連続で前年比マイナスとなる。トラック部門が2.8%増の7万4,181台と増加に転じた半面、乗用車部門も11.7%減の5万7,651台と減少をたどった。

2大ブランドでは、日産が5ヵ月連続、インフィニティは6ヵ月連続で減少している。詳細は、以下の通り。

・日産 3.8%減の12万207台、5ヵ月連続で減少
→トラック部門が3.5%増の6万6,739台と増加に転じた一方で、乗用車部門は11.6%減の5万3,468台と4ヵ月連続で減少した。SUVで主力の「ローグ」が18.1%増の3万8,413台と増加に転じたものの、「ムラノ」が8.2%減の5,881台と2ヵ月連続で減少したほか、「フロンティア」も10.5%減の6,938台と2ヵ月連続で減少している。乗用車では主力の「アルティマ」が4.0減の2万3,030台と4ヵ月連続で減少したほか、「マキシマ」も37.9%減の3,694台と減少するなど、軒並み弱かった。

・インフィニティ 7.1%減の1万1,625台、6ヵ月連続で減少
→トラック部門が3.5%減の7,442台と2ヵ月連続で減少したほか、乗用車部門も12.9%減の4,183台と2ヵ月連続で2桁減だった。SUVの「QX60」が7.8%増の3,718台と5ヵ月連続で増加し「QX50」も51.1%増の1,859台と2ヵ月連続で2桁増を遂げた、他SUVは2桁減となる。セダンは主力の「Q50」が12.6%減の2,945台だったように、全て前年比マイナスに沈んだ。

GMを除く自動車ブランド別の単月シェアは、以下の通り。今回、4位に日産が浮上しジープ(フィアット・クライスラー)が5位に転落した。

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(作成:My Big Apple NY)

高級車部門別ランキングは、以下の通り(%は全て前年比)。2017年9~12月、2018年1~2月までトップを走り続けたメルセデス・ベンツが首位を維持した。

1位 メルセデス・ベンツ 1.1%増の3万77台
→4月に続き首位。2017年9月~18年2月まで1位を堅持し、3月は2位に陥落していた。年初来では11.1%増の14万6,759台で首位を維持している。2017年通期では0.2%増の37万5,240台で堂々の3年連続首位。2016年は前年比0.4%増の37万4,541台だった。なお2013年は1位だったが、2014年ではBMWに1位を明け渡していた。

2位 BMW 3.3%増の2万6,662台
→4月に続き2位。2017年10月~18年2月の2位を経て3月にトップに立っていた。年初来では3.2%増の12万3,979台で2位となる。2017年通期では2.4%減の30万5,685台と2位をキープ。2016年は9.5%減の31万3,174台で3位、2015年は1.8%増の34万6023台で首位の座を宿敵メルセデス・ベンツに明け渡していた。2014年では1位、2013年は2位だった。

3位 レクサス 0.1%減の2万5,391台
→2017年10月~18年4月に続き、今回も3位だった。年初来も2.0%増の11万1,250台で3位となる。2017年通期では8.0%減の30万5,132台で3位。2016年は3.9%減の33万1,228台で2位、2015年は10.7%増の34万4601台で3位となる。2011年まで11年間連続で首位を飾ったが、東日本大震災後に順位を落とし2014年、2013年、2012年に続き3位にとどまった。

4位 アウディ(VW)0.6%増の1万9,315台
→2~4月の5位を経て、4月に続き4位。ただしGMがビュイックを発表していないため順位を上げた格好だ。年初来では5.9%増の8万8,471台で、暫定4位となる。2017年通期では7.8%増の22万6,511台と、4位。2016年は4.0%増の21万213台、2015年は11.1%増の20万2,202台で共に5位だった。

5位 アキュラ 8.0%減の1万9,315台
→3月まで3ヵ月連続で8位を経て、4月に続きGM抜きで5位へ浮上した。年初来では2.9%減の5万8,121台となる。2017年通期では4.2%減の15万4,602台と7位を維持。2016年は8.9%減の16万4,126台で7位、2015年は5.6%増の17万7165台で6位に収まっていた。

(カバー写真:Ford

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