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米5月ISM製造業景況指数、2017年7月以来の低水準から回復

by • June 4, 2018 • Finance, Latest NewsComments Off2049

ISM Manufacturing Index Bounces Back From 9-Month Low.

5月のISM製造業景況指数とマークイット製造業PMI・確報値、米4月建設支出をおさらいしていきます。

米5月ISM製造業景況指数は58.7となり、市場予想の58.2を上回った。2017年7月以来の低水準だった前月の57.3から改善、20ヵ月連続で分岐点を超えている。その半面、2004年5月以来の高水準を達成した2月の60.8以下の水準を保った。トランプ政権の鉄鋼・アルミ関税発動への影響が懸念される半面、米中通商協議の妥結もあり、製造業センチメントは明るさを取り戻しつつあります。その後、再びトランプ政権が対中知財制裁関税の賦課の検討に入ったほか、欧州連合(EU)やカナダ、メキシコに対する鉄鋼・アルミ関税を6月1日から発動すると発表。トランプ政権の保護主義寄りの通商政策を受けても、景況感の高止まりを維持できるか注目される。

内訳をみると、新規受注をはじめ生産、雇用や新規輸出受注など軒並み前月を上回った。仕入れ価格は前月に続き、約7年ぶりの高水準を示す。詳細は、以下の通り。

・生産 61.5、3ヵ月ぶりの高水準>前月は57.2、6ヵ月平均は61.9
・新規受注 63.7>前月は61.2、6ヵ月平均は64.0
・雇用 56.3>前月は54.2と2016年12月以来の低水準、6ヵ月平均は56.6

・在庫 50.2、5ヵ月ぶりの分岐点割れに接近<前月は52.9、6ヵ月平均は52.7
・新規輸出受注 55.6>前月は57.7、6ヵ月平均は58.7
・仕入れ価格 79.5、2011年4月以来の高水準>前月は79.3、6ヵ月平均は75.4

ISMのティモシー・フィオーレ会長は、結果を受け「18業種のうち16業種で拡大した」と明かした。ただ2業種は横ばいとなり、4月に続き縮小を報告した業種はみられていない。

▽米5月IHSマークイット製造業PMI・確報値、2014年9月以降で2番目の高水準

米5月IHSマークイット製造業PMI確報値は56.4と、市場予想と速報値の56.6を下回った。2014年9月以来の高水準だった前月の56.5をわずかに下回る。新規受注が2014年9月以降で2番目の高水準だったほか、仕入れ価格は2011年9月以来、販売価格も2011年6月以来の水準へ加速している。

クリス・ウィリアムソン首席ビジネス・エコノミストは、今回の結果を受け「製造業者の受注状況は、生産量を上回るペースとの報告を聞いている」と振り返った。生産が間に合わず入荷時間は「過去10年間で最長」となり、「人材不足に直面」する状況。ビジネス見通し良好で「生産見通しは約3年ぶりの高水準」であり、「夏にかけ力強い成長が期待できる」と結んだ。

ISM製造業景況指数、再び雇用統計の内容と比例し上向きに。

ism

(作成:My Big Apple NY)

――ISMとマークイット製造業PMIは、まちまちの結果に終わったとはいえマークイット製造業PMIは2014年9月以降で2番目の高水準であり、製造業活動の拡大を示唆したと言えそうです。米4月耐久財受注のコア資本財の回復と、整合的。フィラデルフィア連銀の製造業景況指数は2017年2月以来の水準へ落ち込みましたが、単なるノイズに終わるのでしょうか。

▽米4月建設支出、民間が改善し前月分の減少を相殺

米4月建設支出は前月比1.8%増の年率1兆3,100億ドルとなり、市場予想の0.8%増を上回った。8ヵ月ぶりに減少した前月の1.7%減を打ち消している。内訳をみると、住宅が4.4%増と5ヵ月ぶりに減少した前月の4.1%減を相殺。一方で、非住宅は±0%と増加基調を8ヵ月で止めた。4月初めこそ北東部で積雪に見舞われたものの以降は気温上昇もあって、建設活動が活発化したようだ。建設支出の前年比は7.6%増と、2017年1月以来の高水準を遂げた。

民間は前月比2.8%増と、5ヵ月ぶりに減少した前月の2.6%減を打ち消した。住宅が4.5%増と6ヵ月ぶりに減少した前月の4.0%減から回復したほか、非住宅も0.8%増と前月の0.6%増から改善した。公共は1.3%減と、逆に前月の1.2%増からマイナスに反転。住宅が0.2%減と3ヵ月ぶりに減少したほか、非住宅も1.4%減と前月の1.2%増から減少に転じた。

――米4月建設支出まで一連の経済指標を受け、アトランタ地区連銀は米4~6月期実質GDP成長率予測値を前期比年率4.7%増から4.8%増へ引き上げました。目を疑うほどの力強さですよね。翻ってNY地区連銀は3.3%増、民間エコノミストはというと、ブルームバーグ調べで2.8%増でした。アトランタ地区連銀とNY地区連銀の予測値は経済指標のリリースと共に変化するとして、再び3%成長が視野に入る状況です。通商政策が与える不確実性が懸念されるものの、Fedが「資産価格の高まり」を重視するならば、12~13日開催のFOMCで年4回の利上げの選択肢を残し、リスク・オン相場の加速を回避するのでしょう。

(カバー写真:Washington State Dept of Transportation/Flickr)

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