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米4月耐久財受注、コア資本財は改善も設備投資見通しに不穏な影

by • May 30, 2018 • Finance, Latest NewsComments Off1893

Capital Goods Shipment Bounces Back, While Capex Outlook Shows Decline.

米4月耐久財受注は前月比1.7%減となり、市場予想の1.3%減より下げ幅を広げた。前月の2.7%増(2.6%増から上方修正)より弱く、3ヵ月ぶりに減少している。

内訳をみると、輸送用機器を除く耐久財が0.9%増と、市場予想の0.5%増を上回った。前月の0.4%増(0.1%増から上方修正)も超え、過去5ヵ月間で4回目の増加を示す。輸送用機器は6.1%減と、前月の6.9%増(修正値)をほぼ相殺し3ヵ月ぶりに減少。民間航空機が29.0%減と前月(60.7%増、修正値)からマイナスに沈み、輸送機器を支えた。米4月新車販売台数が芳しくなかったものの、自動車は1.8%増と前月を含め4ヵ月連続で増加した。防衛財は3.1%増と、前月の21.2%減(修正値)から小幅改善した。

企業の設備投資を表す民間航空機を除く非防衛財(コア資本財)は1.0%増と、市場予想の0.7%増を上回った。前月の0.9%減(0.4%減から下方修正)のマイナス分を打ち消した。内訳をみると、電気機器が2.6%増と3ヵ月連続で2%台の伸びを維持したほか、一時金属や組み立て金属も好調。コンピューター・電子機器も1.1%増と、2ヵ月連続で1%台の伸びを保つ。反対に、機械は0.8%減と2ヵ月連続で減少。過去4ヵ月間で3回目のマイナスとなった。

耐久財出荷は前月比0.1%減となり、前月の0.7%増(修正値)を下回り増加トレンドに終止符を打った。国内総生産(GDP)に反映されるコア資本財の出荷は0.8%増と市場予想の0.4%増を超え、前月の0.7%減(修正値)から改善している。

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(作成:My Big Apple NY)

耐久財在庫は0.3%増となり、前月の0.2%増(修正値)を含め16ヵ月連続で増加した。出荷が減少し在庫が増加した結果、在庫相当は1.63ヵ月と直近で最短だった前月の1.62ヵ月から延びた。

――耐久財受注は、GDPに反映されるコア資本財出荷が好調な半面、機械が振るいません。そこで、あらためて各連銀が発表する製造業景況指数をみてみましょう。

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(作成:My Big Apple NY)

製造業のセンチメントは5月に上昇が目立ち、良好に見えます。設備投資見通しはというと、NY連銀や原油生産地域を網羅するダラス連銀では6ヵ月先の設備投資見通しが年初から低下にブレーキを掛けた後、5月に小幅改善。しかしフィラデルフィア連銀(フィリー)の6ヵ月先の設備投資見通しは、トランプ政権が発足した2017年1月以降の上昇を打ち消しました。そのフィリーと言えば、耐久財受注に含まれGDPに反映されるコア資本財の出荷とゆるやかな相関性が確認できます。

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(作成:My Big Apple NY)

米1~3月期実質GDP成長率・速報値では、固定資本形成のうち設備投資にあたる機器投資が鈍化していました。4~6月期は改善が期待されていますが、2017年に確認できたような加速を遂げるかは、未だ不確実と言えそうです。米中通商協議の妥結を経て、トランプ政権が500億ドルの知財制裁関税賦課の選択肢を残しているのであれば、尚更です。

(カバー写真:darkday/Flickr)

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