2557325722_d5440da8b6_z

米5月消費者信頼感は高止まりも、住宅購入見通しは大幅低下

by • May 30, 2018 • Finance, Latest NewsComments Off1721

Consumer Confidence Remains Historical High, But Buying Plans Drop.

米5月消費者信頼感指数、米3月S&P/ケースシラー住宅価格指数をおさらいしていきます。

米5月消費者信頼感指数は128.0となり、市場予想と一致した。前月の125.6(128.7から下方修正)を超え、2000年11月以来の水準へ上振れした2月の130.0に近い水準を保つ。期間中、米中通商協議妥結で両者の貿易戦争懸念が後退、米株安が一服したためセンチメントを支えたようだ。内訳をみると、現況指数が161.7と、前月の157.5(159.6から下方修正)を上回り、2001年3月以降で最高を更新している。見通し指数は105.6と、前月の104.3(108.1から下方修正)から小幅改善したが、2001年5月以来の高水準だった2月の109.2には距離を残す。

発表元であるカンファレンス・ボードのリン・フランコ経済指標ディレクターは、結果を受け「現況指数が約17年ぶりの高水準で、経済活動は4~6月期に前期を上回るペースが見込まれる」と予想した。見通し指数が小幅改善にとどまったため「著しい成長加速の可能性は低い」と指摘しつつ、「個人消費は底堅さを維持していく」と楽観的な見方に変わりはない。

消費者信頼感指数、2000年11月以来の高水準近くを維持。
cc
(作成: My Big Apple NY)

現状の労働市場に対し「職が豊富」から「職探しが困難」を引いたDIは26.6と前月の22.7(修正値)を上回り、2001年2月以来で最高だった。以下は、結果の詳細。

ビジネス環境については、「良い」が上昇し「悪い」が低下
「良い」38.4%→前月の34.8%から上昇、前年同月は29.8%
「悪い」12.0%→前月の12.3%から低下、前年同月は13.9%

労働市場については「豊富」が上昇し「困難」が低下、DIは23ヵ月連続でプラスを示す
「職が豊富」42.4%→前月の38.2%から上昇、前年同月は30.0%
「あまり職が豊富ではない」41.8%→前月の46.3%から低下、前年同月は51.7%
「職探しが困難」15.2%→前月の15.7%から低下、前年同月は19.4%

6ヵ月先のビジネス環境への見方は「良くなる」と「悪化する」が低下
「良くなる」23.1%→前月の23.6%から低下、前年同月は21.5%
「悪化する」8.3%→前月の9.8%から低下、前年同月は10.3%
「変わらず」68.6%→前月の66.6%から上昇、前年同月は68.2%

6ヵ月先の労働市場への見方は「増加」が上昇し「減少」が低下、「増加」は19ヵ月連続で「減少」を上回る
「雇用が増加する」19.7%→前月の18.6%から上昇、前年同月は18.6%
「雇用が減少する」13.9%→前月の13.2%から低下、前年同月は12.1%
「変わらず」66.4%→前月の68.2%から低下、前年同月は69.3%

6ヵ月先の所得への見方は「増加」が低下し「減少」が上昇
「増加する」21.3%→前月の21.8%から低下、前年同月は19.1%
「減少する」8.2%→前月の7.9%から低下、前年同月は8.7%
「変わらず」70.5%→前月の70.3%から上昇、前年同月は72.2%

購入見通しは、前月と反対に全てが低下した。自動車は11.8%と、前月の12.6%から低下下。家電も51.1%と、前月の54.3%を下回る。住宅に至っては5.5%と、前月の6.9%に届かず、2015年11月以来で最低を更新した。

――米5月消費者信頼感指数は、4月ベージュブックで企業によるトランプ政権の通商政策への不安感が示された動きと対称的に、好調を維持しました。所得層でみると、米株相場の戻りを好感したのか、低所得者層以外で全般的にセンチメントの改善がみられます。

cc_income

(作成:My Big Apple NY)

労働市場に対し「雇用が増加する」との見通しが前月を上回った半面、所得見通しは低下しました。インフレ見通しが影響したと考えられ、実質所得が細るリスクを見込んだのかもしれません。ガソリン価格は5月、一時2.962ドルと2014年10月末以来の3ドル乗せに迫りました。NY連銀のインフレ見通しも、4月に2017年1月以来の高水準でしたよね。センチメントが高止まりを保ちながら、購入見通しが住宅をはじめ自動車、家電など全て低下していた点もあり、物価動向が与える消費者へのインパクトには要注意。直近ではイタリアやスペインの政局混乱で米債利回りが低下し、原油相場も産油国の減産緩和観測で下落しているものの、米株安による購入意欲が後退する恐れもあり、安穏としていられません。おまけに、トランプ政権は中国への500億ドル関税賦課の可能性を残すだけに、緊張は続きます。

▽米3月S&P/ケースシラー住宅価格指数、予想上回るも上昇率鈍化

米3月S&P/ケースシラー住宅価格指数(季節調整前)は前年比6.53%上昇の198.94となり、前月の197.29(197.01から上方修正)を抜け過去最高を更新した。20都市別の季節調整前では前年同月比6.79%上昇の208.62と市場予想の6.45%を上回った。ただし、前月の6.76%(6.86%から下方修正)には届かず。季節調整済み・20都市別の前月比は0.53%の上昇と、市場予想の0.75%を下回り前月の0.84%(0.83%から上方修正)にも及ばなかった。

20都市別での季節調整済みベース・前月比では、1都市が下落。今回、オハイオ州クリーブランドが0.2%の下落を示した。ワースト2位はテキサス州ダラスで0.16%の上昇、次いでニューヨーク州NYの0.30%の上昇、イリノイ州シカゴの0.32%の上昇となる。逆にトップはミネソタ州ミネアポリスで1.35%の上昇。2位はワシントン州シアトルとネバダ州ラスベガスで1.27%の上昇だった。

(カバー写真:Anna/Flickr)

Comments

comments

Pin It

Related Posts

Comments are closed.