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米4月個人消費は所得を上回る勢い、貯蓄率は金融危機前の水準に接近

by • June 2, 2018 • Finance, Latest NewsComments Off2384

Personal Spending Accelerates, Saving Rate Down In April.

米4月個人消費支出は前月比0.6%増と、市場予想の0.4%増を上回った。前月の0.5%増(0.4%増から上方修正)を超え、5ヵ月ぶりの高水準となる。前年比では4.7%増と前月の4.4%増を超え、4ヵ月ぶりの水準を回復している。インフレを除く実質ベースでの個人消費は0.4%増と、市場予想の0.2%増を上回った。前月の0.5%増(0.4%増から上方修正)に届かなかったとはいえ、2ヵ月連続で増加している。前年比では2.7%増となり、2016年3月以来の水準へ鈍化した前月の2.4%増を上回ったとはいえ、前年平均の2.8%増に今一歩届かなかった。

個人消費の内訳は、前月比で以下の通り。新車販売台数が4月に再び芳しくなく、耐久財は弱含んだ。一方で、ガソリン価格が上昇したため、非耐久財は回復。サービスは増加トレンドを保った。

・モノは0.712%増、前月の0.463%減から改善
>耐久財 0.290%増、前月の1.561%増を下回りつつ2ヵ月連続で増加
>非耐久財 0.931%増、前月の0.096%増を上回り過去5ヵ月間で3回目の増加
・サービス 0.513%増、前月の0.571%増を含め少なくとも19ヵ月連続で増加

米4月個人所得は前月比0.3%増と、市場予想と一致した。前月の0.2%増(0.3%増から下方修正)を含め、10ヵ月連続で増加している。前年比では3.8%増と3ヵ月ぶりの水準を回復。実質ベースでは前月比0.1%増と、10ヵ月連続で増加した。前年比は1.8%増と、6ヵ月ぶりの低い伸びにとどまった前月から改善したが、減税実現の割に伸び悩みが続く。

可処分所得は前月比0.4%増となり、前月の0.2%増を超え10ヵ月連続で増加した。前年比は3.9%増と、前月の3.7%増を超え3ヵ月ぶりの水準へ戻した。実質ベースの可処分所得は前月比0.2%増と前月と変わらず、7ヵ月連続で増加。前年比は1.9%増と16ヵ月連続で増加しつつ、2015年の4~5%増には程遠い。

貯蓄率は2.8%となり、前月の3.0%を下回った。所得の伸びが支出を下回る結果と整合的に、4ヵ月ぶりの水準へ低下。2005年9月以来の水準へ低下した2017年12月の2.4%が視野に入りつつある。

実質ベースでの個人消費の伸びは引き続き所得を上回り、貯蓄率は低下。

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(作成:My Big Apple NY)

所得の内訳は、前月比で以下の通り。

・賃金/所得 0.4%増、前月の0.2%増を上回る(民間が0.4%増と前月の0.2%以下に、サービス部門が0.4%増と前月の0.2%増を上回り、財部門(製造業、鉱業、建設)が0.9%増と前月の0.9%減を相殺)
・不動産収入 0.1%増、前月の0.3%増を下回る(農場が4.3%増と4ヵ月連続で増加、非農場は0.1%増と4ヵ月連続で増加)
・家賃収入 0.3%増、前月の0.6%増を含3ヵ月連続で増加
・資産収入 0.3%増と前月の0.2%増を含め3ヵ月連続で増加(配当が±0%と是月の0.8%増を下回り、金利収入は0.4%増と4ヵ月ぶりに増加)
・社会補助 0.3%増、増加トレンドを維持
・社会福祉 0.2%増、前月の0.4%増を下回る(メディケア=高所得者向け医療保険は0.5%増と増加基調を維持、メディケイド=低所得者層向け医療保険が0.1%増と11ヵ月連続で増加、失業保険は1.9%減と3ヵ月連続で減少、退役軍人向けが3.7%増と4ヵ月連続で増加)

個人消費支出(PCE)デフレーターは原油価格が70ドルを超え2014年11月以来の高値をつけるなか、前月比0.4%上昇し市場予想の0.2%を超えた。前月の±0%を超えている。前年比は市場予想と前月と一致し2.0%上昇、FOMCのインフレ目標値に並んだ。コアPCEデフレーターは3月と同じく前月比0.2%の上昇、市場予想の0.1%を上回った。前年比は1.8%上昇、市場予想と前月(1.9%から下方修正)と変わらず、2012年4月以来の2%乗せを視野に入れている。

PCEはFOMCの目標値に到達。

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(作成:My Big Apple NY)

――個人消費は春の芽吹きとともに増加したとはいえ、所得の伸びを上回る勢いを保ち持続的とは言えません。おかげで、貯蓄率は3%を割り込み金融危機前の水準へ接近しました。米5月雇用統計では生産労働者・非管理職の賃金の伸びが漸く強含み、家計の借入状況も延滞率をみれば健全と言えますが、慢心の時に問題が生じるもの。Fedは5月FOMC議事要旨でも資産価格の「高まり(elevated)」が指摘されており、Fedは年内3回の利上げつまり、あと2回は規定路線として、年内4回、あと3回の余地を残すと考えられます。

(カバー写真:Hamza Butt/Flickr)

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