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米8月新車販売、インセンティブ鈍化が響き2ヵ月連続で1,700万台割れ

by • September 11, 2018 • Latest News, NY TipsComments Off2446

New Auto Sales Loses Momentum Again With Incentive Down.

ワーズオートが発表した米8月新車販売台数は、四半期に一回のみ結果を公表するGMを除き年率1,660万台と市場予想の1,680万台を下回った。前月の1,668万台に届かず、ハリケーン「ハービー」や「マリア」が直撃する直前の2017年8月以来の低水準となる。

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(作成:My Big Apple NY)

オートデータが発表した米8月新車販売台数は、GMを含め年率1,672万台だった。前月の1,677万台を下回り、ワーズオートと同じく2017年8月以来の低水準を示す。

米欧首脳会談で欧州自動車への関税賦課懸念が後退したものの、トランプ政権による鉄鋼・アルミ関税に7月6日からの対中知財制裁関税の発動が加わるなか、自動車メーカーは利鞘縮小トレンドが鮮明となり、4~6月期決算資料などに基づくとインセンティブ支払い余地は狭まりつつある。販売台数はトラック部門(スポーツ多目的車、SUV含む)のうちトラックが好調を維持しただけでなく、SUVも前月から改善した。乗用車部門は、5~7月に続き2桁減が目立つ。

原油先物は7月3日に2014年11月以来の75ドル超えを記録したが、その後に70ドル手前で上げ渋り、ガソリン価格は8月に一時2.821ドルと6月の2.940ドル以下の水準を保った。ガソリン価格の高騰を回避したため、トラック・SUVの売れ行き増加につながった可能性がある。

ケリー・ブルー・ブックによると、平均販売価格は前年同月比1.8%上昇の3万5,541ドル(約390万円)だった。前月の2.9%から上昇率は鈍化している。なお、1月は2017年上半期ぶりの高い伸びを示し3.9%。前月比では0.1%上昇、年初来で2番目の上昇を示す。メーカー別の平均価格で、前月比にて上昇が目立ったのは日産、VW、GM。前年比ではホンダ、GM、フォードが並ぶ。詳細は以下の通り。

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(出所:KBB)

自動車メーカーからディーラーへの1台当たりインセンティブ予想は前年同月比0.7%上昇の3,757ドルと、前月の伸び(3.2%上昇)に届かなかった。3~4月の推計値8%台から一段と鈍化している。前月比では0.6%下落、2ヵ月連続でマイナスヘ沈んだ。前年比で伸び率が最大だったメーカーはもともとインセンティブが低いスバルでトップに立ち、次いでBMW、キアが続いた。前月比では1台当たりインセンティブ額が低いスバルやホンダ、フォード、キアが上昇した。

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(出所:ALG/Press release)

1台当たりのインセンティブの割合予想は平均で11.3%と、7月の11.4%、6月の11.5%を下回った。最大は3~7月に続きキアで19.1%、次いで日産が14.7%、ヒュンダイが13.3%と続く。

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(出所:ALG/Press release)

8月は27 営業日となり、前年同月と変わらず。自動車メーカー別でみると、新車販売台数はフォードのみ市場予想を上回った。主要メーカーはほとんど市場予想に届かず、フィアット・クライスラー、ホンダ、日産は増加、トヨタは減少している。新車販売動向のうち、利鞘の薄いレンタカーや自動車販売店向けのフリート販売は、フォードとフィアット・クライスラーで共に前年比で上昇した。

なお6月までの結果を受け、コックス・オートモーティブは2018年の新車販売台数予想を従来の1,680万台から1,670万台へ引き上げた。IHSは1,690万台で維持。いずれも、2018年の1,720万台を下回る。

以下、米系と日系などの自動車メーカー別動向。

【フォード】

フォードは前年同月比4.1%増の21万8,504台と、市場予想の0.8%減に反し増加した。前月から増加に反転している。小売販売台数は1.1%増の16万5,794台と、増加に転じた。車種別では、トラックが5.7%増の10万2,173台と8ヵ月連続で増加した。一方で、SUVは20.1%増の7万8,809台と前月から増加に反転乗用車は引き続き、21.3%減の3万7,522台と10ヵ月連続で落ち込んだ。レンタルや自動車ディーラー向けのフリート販売台数は15.0%増の5万2,710台と、2ヵ月連続で増加した。

在庫は乗用車、SUV、トラック含め全体で前年比1.2%増の60万5,851台となった。75日相当となり、前年同月と横ばいだった。

なおフォードは3月5日、ピックアップ・トラックの「レンジャー」と「ブロンコ」の新型モデル生産を控えた設備一新を理由に、ミシガン州の工場の従業員2,000人を対象として一時解雇を発表した。4月25日には、米国での乗用車販売を2モデル(マスタングと2020年モデルのフォーカス・アクティブ)に限定する方針を発表した。

2大ブランド別では、フォードが3ヵ月ぶりに減少、リンカーンは再び減少に転じた。単月の結果は、以下の通り。

・フォード 4.2%増の20万9,559台、3ヵ月ぶりに減少した前月から増加に反転
→アルミ製ボディのトラック「Fシリーズ」は6.3%増の8万1,839台と16ヵ月連続で増加した。大型SUV「エクスプローラー」は19.2%増の2万1,599台と2ヵ月連続で増加したほか、「エクスペディション」に至っては94.6%増の5,485台となった。「エッジ」も6.7%増の1万1,563台と、4ヵ月ぶりに増加した。小型車・セダンは「フィエスタ」が減少に転じるなか、「トーラス」を除き他の車種も全て減少。小型車「フォーカス」は30.1%減の8,978台と5ヵ月連続で減少、「フュージョン」も35.1%減の1万1,286台と6ヵ月連続で2桁減だった。

・リンカーン 2.7%増の8,945台、過去12ヵ月間で2回目の増加
→SUVの「MKC」が3.4%増の2,423台と5ヵ月連続で増加したほか、「MKX」も1.0%増の2,394台と健闘している。新型SUV「ナビゲーター」が101.6%増の1,522台と4ヵ月連続で全体を押し上げた。結果、6車種中3車種で増加した前月の2車種を上回った。

【フィアット・クライスラー】

フィアット・クライスラー・オートモビルは前年同月比10%増の19万3,718台となり、市場予想の12%増を下回った。2ヵ月連続で増加している。小売販売台数は17%増の16万4,277台となった。フリート販売台数が全体に占める売上シェアは前月の10%から15%へ上昇した。なおフィアットは6月1日に向こう5年先の経営計画を発表、2022年までにディーゼル・エンジンの乗用車販売を終了させ電動化に振り向ける方針を打ち出したほか、「ジープ」のSUVシェアを2017年の6%付近から8%超えを目指す。

5大ブランド別では、前月に続き2ブランドで増加した。単月の詳細は、以下の通り。

・ジープ 20%増の8万7,502台、9ヵ月連続で増加し過去最高を更新
→「チェロキー」が85%増の2万168台と6ヵ月連続で増加したほか、「コンパス」も76%増の1万6,339台と8ヵ月連続で大幅増を果たす。「ラングラー」は14%増の2万1,308台と8ヵ月連続で寄与し結果、単月で最高を記録。その他は軟調で「グランド・チェロキー」など3車種は6~7月に続き減少した。

・ラム 27%増の5万4,808台、5ヵ月連続で増加し単月で過去最高
→主力の「ラム」が33%増の4万9,912台と、4ヵ月連続で増加し全体を支えた。一方で、「プロマスター・バン」が17%減の3,830台と3ヵ月ぶりに減少したほか、「プロマスター・シティ」も5%減の1,066台と6ヵ月連続で減少した。

・ドッジ 18%減の3万5,575台、前月の横ばいから減少に反転
→「ジャーニー」が28%増の7,243台と5ヵ月連続で増加し、全体を押し上げた。「デュランゴ」は7ヵ月ぶりに増加し、5,354台となる。その他は軒並み減少し、「キャラバン」は24%減の1万3,039台と2ヵ月連続で減少。「チャージャー」は45%減の5,280台と3ヵ月ぶりに減少に反転したほか、「チャレンジャー」も26%減の4,647台と2ヵ月連続で減少した。

・クライスラー 3%減の1万2,219台、5ヵ月連続で減少
→新型「パシフィカ」のミニバンが20%増の9,167台と5ヵ月連続で減少した。「300」も26%減の3,013台と5ヵ月連続で減少している。

・フィアット 35%減の1,374台、32ヵ月連続で減少
→「500」が40%減の563台と17ヵ月連続で減少したほか、「500X」も50%減の332台と全体の重石となった。「スパイダー」も10%減の343台と8ヵ月連続で減少するなど、軒並みマイナスを示す。

【トヨタ】

トヨタは前年同月比2.0%減の22万3,055台と、市場予想の0.7%減より下げ幅を広げた。過去7ヵ月間で6回目の減少となる。トラック部門の販売台数が7.4%増の14万4,645台と単月で過去最高を塗り替えたが、乗用車部門は15.6%減の7万8,410台と引き続き足を引っ張った。

なおトヨタは、2017年11月新車販売台数を発表した時点で2018年の米国新車販売台数を1,700万台割れと予想した。2年連続の前年割れを見込んだだけでなく、2014年の水準への鈍化を見込む。

2大ブランド別では、トヨタとレクサスがそれぞれ減少した。詳細は、以下の通り。

・トヨタ 1.2%減の19万4,433台、過去6ヵ月間で5回目の減少
トラック部門は8.6%増の12万9,949台と、6~7月に続き過去最高を更新した。一方で、乗用車は15.1%減の6万9,484台と6ヵ月連続で減少している。車種別では大型SUVの「ハイランダー」が23.6%増の2万3,300台と8ヵ月連続で増加し、4~7月に続き単月で史上最高記録を塗り替えた。「4ランナー」も24.2%増の1万2,862台と4ヵ月連続で増加し、単月で過去最高を記録。トラックの「タコマ」も35.3%増の2万3,534台と4ヵ月連続で大幅増を遂げ、前月に続き単月で過去最高を更新している。ただし、日本で販売・生産を打ち切ったSUV「RAV4」は2.4%減の4万2,222台と2ヵ月連続で減少した。一方、セダンは減少が優勢で「カローラ」は5.4%減の2万6,155台と10ヵ月連続で減少し、「カムリ」も18.6%減の3万141台と4ヵ月連続で減少した。

・レクサス 7.1%減の2万8,622台、6ヵ月連続で減少
SUVはほぼ横ばいの1万9,696台と横ばいとなったが、単月では過去最高を更新した。主な4車種中、2車種で増加。「NX」が2.3%増の5,644台と単月で過去最高を示した。主力の「RX」も4.7%増の1万875台と増加している。一方で「GX」は16.9%減の2,773台と2桁減に反転し、「LX」も9.4%減の404台と減少している。乗用車部門は引き続き弱く19.7%減の8,926台と20ヵ月連続で落ち込み、主な6車種のうち「LS」を除き5車種で減少した。

【ホンダ】

ホンダは前年同月比1.3%増の14万7,903台と、市場予想の2.2%増に届かなかった。前月から増加に転じている。車種別ではトラック部門が18.9%増の8万4,027台と4ヵ月連続で増加した半面、乗用車部門は14.9%減の6万3,786台と4ヵ月連続で減少した。

2大ブランド別では、ホンダが2ヵ月連続で減少した半面、アキュラが増加に転じた。

・ホンダ 0.1%減の13万2,831台と2ヵ月連続で減少
トラック部門が17.1%増の7万1,982台と3ヵ月連続で増加した半面、乗用車部門は14.9%減の6万849台と3ヵ月連続で減少した。ブランド別ではSUVの「CR-V」が11.8%増の3万4,610台と4ヵ月連続で増加し、新型の「パイロット」は60.2%増の1万5,332台と4ヵ月連続で2桁増を達成。ミニバン「オデッセイ」も13.5%増の9,887台と3ヵ月ぶりに増加した。乗用車の主力「シビック」は24.1%減の2万7,677台と、2ヵ月連続で減少。セダンの「アコード」も11.0%減の2万6,725台と、7ヵ月連続で減少した。

・アキュラ 14.8%増の1万5,072台と前月から減少に反転
トラック部門が30.8%増の1万2,045台と増加に転じた半面乗用車は22.8%減の3,027台と5ヵ月連続で減少した。SUVの「RDX」が23.8%増の5,793台と3ヵ月連続で増加したほか、「MDX」も38.0%増の6,252台と9ヵ月ぶりに増加している。セダンは逆に、前月に続き4車種中3車種で減少した。

【日産】

日産は前年同月比3.7%増の11万2,376台となり、市場予想の9.2%増を下回ったトラック部門が18.9%増の7万3,065台と増加に転じた一方、乗用車部門は16.2%減の3万9,311台と減少トレンドをたどった。

2大ブランドでは、日産が増加したものの、インフィニティは9ヵ月連続で減少している。詳細は、以下の通り。

・日産 4.4%増の10万1,580台、増加に反転
→トラック部門が21.7%増の6万5,800台と増加に転じた半面、乗用車部門は17.3%減の3万5,780台と7ヵ月連続で減少した。主力のSUV「ローグ」が11.9%増の3万3,400台と増加に転じたほか、「ムラノ」が96.5%増の9,619台と5ヵ月連続で増加した。「パスファインダー」は31.2%増の4,889台と2ヵ月連続で増加。一方で、SUVの「フロンティア」は1.4%減の4,573台と5ヵ月連続で減少している。乗用車では主力の「アルティマ」が1.6%増の1万4,925台と7ヵ月ぶりに増加した程度で、ほぼ軒並み前年比マイナスだった。

・インフィニティ 1.7%減の1万796台、9ヵ月連続で減少
→トラック部門が1.2%減の7,265台と2ヵ月連続で減少したほか、乗用車部門も2.8%減の3,531台と少なくとも5ヵ月連続で減少した。SUVの「QX50」が78.8%増の2,449台と2ヵ月連続で2桁増だったものの、「QX60」が22.4%減の2,870台と2ヵ月連続で減少するなど、他も減少が優勢だった。セダンは主力の「Q50」が0.4%増の2,551台と4ヵ月ぶりに増加した程度で、前月に続き全て前年比マイナスに沈んだ。

GMを除く自動車メーカー別の年初来別シェアは、以下の通り。GMを含まない順位で1位は前月に続きトヨタとなり、2位のフォード、3位のフィアット・クライスラーも前月と変わらず。今回、ジャガーがボルボを抜いた。

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(作成:My Big Apple NY)

高級車部門別ランキングは、以下の通り(%は全て前年比)。レクサスが前月に続き1位を堅持し、2位以下も前月と変わらず。今回、四半期ベースで発表するGMを含まないため、ビュイックとキャデラックは登場しない。前月に初めて創業以来となる上位8位に入ったテスラは、アウディを抜き去り高級車市場で4位に食い込んだ。

1位 レクサス(トヨタ) 7.1%減の2万8,622台
→年初来で初の1位を飾った。これまでは2017年10月~18年6月は、3位を堅持。年初来では1.9%減の18万9,019台で3位となる。2017年通期では8.0%減の30万5,132台で3位。2016年は3.9%減の33万1,228台で2位、2015年は10.7%増の34万4601台で3位となる。2011年まで11年間連続で首位を飾ったが、東日本大震災後に順位を落とし2014年、2013年、2012年に続き3位にとどまった。

2位 メルセデス・ベンツ 26.3%減の2万4,084台
→3月と6~7月に続き2位。これまで2017年9月~18年2月、18年4~5月は首位だった。年初来では15.0%減の22万4,081台で首位を維持している。2017年通期では0.2%増の37万5,240台で堂々の3年連続首位。2016年は前年比0.4%増の37万4,541台だった。なお2013年は1位だったが、2014年ではBMWに1位を明け渡していた。

3位 BMW 1.0%増の2万3,789台
→7月に続き、3位。これまでは2017年10月~18年2月、同年4~5月に2位、3月と6月は1位だった。年初来では2.3%増の19万9,157台で2位を維持した。2017年通期では2.4%減の30万5,685台と2位をキープ。2016年は9.5%減の31万3,174台で3位、2015年は1.8%増の34万6023台で首位の座を宿敵メルセデス・ベンツに明け渡していた。2014年では1位、2013年は2位だった。

4位 テスラ 393.2%増の2万1,700台
→GMの高級車を含まないとはいえ、同社創業以来で初登場5位を飾った7月から今度は4位に浮上。アウディを抜き去った。年初来では192.3%増の9万17台となる。

5位 アウディ(VW)7.4%増の2万907台
→2~3月と5月の5位を経て、4月と6~7月に続き4位。年初来では4.2%増の14万5,484台となる。GMを含んだ場合の6月は5位だった。2017年通期では7.8%増の22万6,511台と、4位。2016年は4.0%増の21万213台、2015年は11.1%増の20万2,202台で共に5位だった。

6位 アキュラ(ホンダ)14.8%増の1万5,072台
→テスラの上昇により、前月の5位から転落。これまで4~5月と7月はGM抜きで、5位だった。年初来では0.2%減の10万972台と、7位となる。2017年通期では4.2%減の15万4,602台と7位を維持。2016年は8.9%減の16万4,126台で7位、2015年は5.6%増の17万7165台で6位に収まっていた。

7位 インフィニティ(日産)1.7%減の1万796台
→前月と同じく7位。年初来では8.2%減の9万2,713台と暫定8位となる。2017年通期では8.0%減の15万6,440台で6位となる。2016年は3.0%減の17万6台で6位だったが、「インフィニティ」に追い抜かれた。2015年は2.6%増の17万5,262台で、7位だった。

米国内で最も売れた自動車、SUV、トラックの順位はGMを除き以下の通り。今回、フォードのエクスプローラーがランクダウンし、代わりにエスケープが浮上した。

1位 Fシリーズ(フォード)6.3%増の8万1,839台
2位 ラム(フィアット・クライスラー)33%増の4万9,912台
3位 Rav4(トヨタ)2.4%減の4万2,222台
4位 CR-V(ホンダ)11.8%増の3万4,610台
5位 ローグ(日産)11.9%増の3万3,400台

6位 カムリ(トヨタ)18.6%減の3万141台
7位 シビック(ホンダ)24.1%減の2万7,677台
8位 アコード(ホンダ)11.0%減の2万6,725台
9位 カローラ(トヨタ)5.4%減の2万6,155台
10位 エスケープ(フォード)3.2%増の2万6,155台

(カバー写真:Ford

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