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米9月消費者信頼感、追加関税発動でも快進撃続く

by • September 26, 2018 • Finance, Latest NewsComments Off1522

Consumer Confidence Hits Highest In 18 Years Again In September.

米9月消費者信頼感指数、米7月S&P/ケースシラー住宅価格指数をおさらいしていきます。

米9月消費者信頼感指数は138.4となり、市場予想の132.1を上回った。前月の134.7(133.4から上方修正)も超え、2000年9月以来の高水準を達成。内訳をみると、現況指数が172.2と、前月の166.1(165.9から上方修正)を超え、2000年12月以降で最高に。見通し指数も107.6と、前月の102.4(101.7から上方修正)から上振れし、2000年9月以来の高水準を遂げた。期間中、対中追加関税措置の第3弾の実施が決定的となったものの、米株高を背景にセンチメントは上振れを続けた。

発表元であるカンファレンス・ボードのリン・フランコ経済指標ディレクターは、結果を受け「過去最高をつけた2000年の144.7が視野に入り、現況指数も非常に力強く、経済成長は年後半も3%成長が見込まれる」と楽観的にまとめた。

消費者信頼感指数、ITバブルに沸いた2000年9月以降で最高。

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(作成: My Big Apple NY)

現状の労働市場に対し「職が豊富」から「職探しが困難」を引いたDIは32.5と、前月の30.2を超え2001年1月以来で最高となる。以下は、結果の詳細。

ビジネス環境については、「良い」が上昇し「悪い」が低下
「良い」41.4%→前月の40.5%から上昇、前年同月は33.4%
「悪い」9.1%→前月の9.3%から低下、前年同月は13.2%
「普通」49.5%→前月の50.2%から低下、前年同月は53.4%

労働市場については「豊富」と「困難」が上昇も、「あまり豊富でない」が低下、「豊富」から「あまり豊富でない」を差し引いたDIは久々のプラスを回復。
「職が豊富」45.7%→前月の42.3%から上昇、前年同月は32.7%
「あまり職が豊富ではない」41.1%→前月の45.6%から低下、前年同月は49.3%
「職探しが困難」13.2%→前月の12.1%から上昇、前年同月は18.0%

6ヵ月先のビジネス環境への見方は「良くなる」が上昇、「悪化する」が低下
「良くなる」27.6%→前月の24.4%から上昇、前年同月は20.9%
「悪化する」8.0%→前月の9.9%から低下、前年同月は9.6%
「変わらず」64.4%→前月の65.7%から低下、前年同月は69.5%

6ヵ月先の労働市場への見方は「増加」が上昇し「減少」が低下、「増加」は23ヵ月連続で「減少」を上回る
「雇用が増加する」22.5%→前月の21.5%から低下、前年同月は19.2%
「雇用が減少する」11.0%→前月の13.2%から低下、前年同月は13.0%
「変わらず」66.5%→前月の65.3%から低下、前年同月は67.8%

6ヵ月先の所得への見方は「増加」と「減少」が低下
「増加する」22.6%→前月の25.4%から低下、前年同月は20.5%
「減少する」6.5%→前月の6.9%から低下、前年同月は8.6%
「変わらず」70.6%→前月の67.7%から上昇、前年同月は70.9%

購入見通しは、家電以外で上昇した。自動車は13.4%と前月の13.0%を超え、8ヵ月ぶりの高水準となる。住宅も6.6%と、5ヵ月ぶりの水準を回復。家電のみ52.9%と、前月の53.6%から低下したが、2015年1月以来の水準に落ち込んだ6月の46.5%を上回る水準を保つ。

購入見通しは、2項目で上昇。

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(作成:My Big Apple NY)

所得層別では、直近では低所得者層ほど改善。

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(作成:My Big Apple NY)

――9月ベージュブックや8月FOMC議事要旨で企業、FOMC参加者のトランプ政権の通商政策への懸念が強まったにも関わらず、米9月消費者信頼感指数は18年ぶりの高水準を塗り替えてきました。購入見通しも家電以外が上向き、GDPの約7割を占める個人消費が力強さを維持する見通しがです。一方で、所得の6ヵ月先見通しは上昇せず、横ばいを予想する声が強まりました。米8月雇用統計では平均時給が2009年以来の強い伸びを達成したとはいえ、なぜなのでしょうか?

NY連銀の調査をみると、賃金見通しが前年比2.54%である一方で、1年先のインフレ期待は同3.0%へ上昇していました。

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(作成:My Big Apple NY)

インフレ期待が徐々に上向くなかで、賃金見通しから楽観度が後退している様子が見て取れます。2019年からは減税効果の低減も体感すると考えられ、2018年で米国は成長のピークアウトを迎える可能性が強まります。

▽米7月S&P/ケースシラー住宅価格指数、20都市は約1年ぶりに6%割れ

米7月S&P/ケースシラー住宅価格指数(季節調整前)は前年同月比6.0%上昇の205.35となり、前月の204.44(修正値)を抜け過去最高を更新した。20都市別の季節調整前では5.92%上昇の213.76となり、市場予想の6.20%に届かず。前月の6.36%(6.31%から上方修正)も下回り、2017年8月以来の6%割れを示した。季節調整済み・20都市別の前月比は0.09%の上昇と、市場予想の0.10%を下回った。前月の0.16%(0.11%から上方修正)にも及ばず、4ヵ月ぶりのマイナスを意識した。

20都市別での季節調整済みベース・前月比でトップは前月に続きネバダ州ラスベガスで1.14%の上昇、2位はカリフォルニア州サンフランシスコで0.90%上昇、3位はオハイオ州クリーブランドで0.75%上昇した。ワースト1位は5~6月に続きNY州NYで0.47%の低下、続いてマサチューセッツ州ボストンが入り0.21%の低下、3位は前月と変わらずイリノイ州シカゴで0.15%低下した。なお、20都市中で7都市が低下しており、前月の3都市を超え、少なくとも年初来で最多を数えた。

▽米7月住宅価格指数は上昇基調を維持も、前月比でペース鈍化

米住宅金融公社(FHFA)が発表した米7月宅価格指数は前月比0.2%上昇し、市場予想の0.3%を下回った。前月の0.3%(0.2%から上方修正)にも届かず。前年比は6.4%上昇、前年同月の6.6%から鈍化した。国勢調査ベースの9地域別では、前月比にて4地域で上昇した。

FHFAが公表する住宅価格指数は、米連邦住宅貸付機関監督局(OFHEO)傘下のFHFAの場合はプライム層向けの住宅価格がメインで、融資額が政府保証機関(GSE)の買取基準額を超えるジャンボ・ローンや、低所得者層向けのサブプライムを含んでいない。従ってS&Pケース/シラー住宅価格指数とは対象が異なり、数字自体は現状より強めの数字が出ると言われている。こうした背景からFHFAは2011年6月分から、フレディマックやファニーメイなどGSE以外のローンを含んだ住宅価格指数を拡大版として、公表を開始した。

(カバー写真:elysiumcore/Flickr)

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